13 不死身の体
「おい、玲駄。あそこにいる人影見えるか?」
どうやら、佑斗も気付いていたようだ。
「あぁ、助けを呼ぼう!」
俺達は、迷うことなく人影の元へと走り出した。
…
人影が、はっきりと見える位置まで近付いた俺達は、同時に「ピタッ」と足を止めた。
街灯の光が、人影の顔を照らし、はっきりと認識できた。
…
「…う、ぅ嘘、だろ?」
再び、佑斗の声が震えだす。
…
「…こ…浩、弥…」
…
そう、俺達の目の前に現れた人影の正体は…さっき、死んでいたはずの浩弥だった。
…だが、死んだ者が生き返るなどということが起こるはずはない。
「浩弥…生きて…いた…の、か?」
俺は、もう数歩近付いてみた。
その時だった!
突然、浩弥が凄い勢いでこちらに襲い掛かってきた。
浩弥は、俺の両肩を掴み、瞳のない白目を剥き出しにし、凄まじい力で、喉に噛み付いてこようとした。
「…くっ!…お、俺だ、…分からない…のかっ…浩弥っ!」
俺は、押されながら地面に倒れ込みそうになる。
「バキッ!」
後ろから佑斗がバットで浩弥を殴る音だった。
「バキッ!バキッ!」
いくら殴っても、いっこうに怯む様子はない。
…いや、それ以前に【痛み】を感じている様子すらない。
(…まさか)
「頭だっ!佑斗、頭を殴れっ!」
俺が言い放った後、佑斗は思い切り、バットを振り下ろし、浩弥の頭を砕いた。
何回か、渾身の力を込めて殴りつけたらしく浩弥の頭は、「グッシャリ」と爛れたように潰され、割れた頭の中から、頭蓋骨と思われる骨盤のようなモノが飛び出し、更に、その中心部からは、「トロリ」としたゼリー状の物体も赤い液体と共に散っていた。
「大丈夫か?玲駄」
「あぁ、助かったよ」
「それにしても、今度は何なんだ?こいつ、間違いなく浩弥だったよな?」
佑斗は、動かなくなった浩弥の遺体を見ながら言った。
「…ゾンビ……」
口から零れた俺の言葉に、佑斗はこちらを振り向いた。