12 脱出
「そういえば、そのバットどこにあったんだ?」
俺は息をきらしながら佑斗にたずねた。
「あぁ、これか、2年の教室の物置の中にしまってあったんだ」
「そうか…」
(まぁ、何にしても、今の俺達には心強い武器になってくれそうだな)
「俺も、お前に聞いておきたいんだが…」
今度は、佑斗が俺に問いかけてきた。
「さっきの教室にいた、あの女は何者なんだ?」
「…」
しばらくの間、俺は口を閉ざしてしまった。
「…玲駄?」
「…あれは…美冬…なんだ」
「…は?こんな時に冗談言ってんじゃねぇよ」
信じられないのも無理はない。
「…冗談なんかじゃない…浩弥も美冬に殺られた」
俺の、真剣な表情を見て、ようやく佑斗も信じてくれた。
「…あの、美冬が」
やっとの思いで、俺達は玄関に辿りついた。
「よしっ、扉を壊すから少し下がっててくれ!」
そう言い放ち、佑斗はバットを頭上に振りかざした。
俺も、返事をした後に5、6歩程後退する。
【ガシャンッ!】粉々に舞い散ったガラスが床に散らばる。
「よし、ようやく脱出だ」
佑斗の嬉しそうな声に続き俺も外へと飛び出した。
暗かった学校の中と違い、多少の街灯の明かりがある程度周りを照らしてくれる。
そんな中、正面の街灯の下に人影らしいものが見えてきた。