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ファンタジー世界を旅する小説  作者: 才練人
〜魔術師は何故か俺を選んだ〜 第2章 冒険者として生き続ける道
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第10話 原初魔法

「……さて、練人。

 君に関しては魔法の使い方を覚えてもらう」

 ある程度のトレーニングを終えてからサイレンはそう言った。

 時間としてはまだ昼過ぎで空は青かった。

「俺でも使えるもんか?」

「ああ……

 杖があるからな……

 幼い子どもならば自分の杖は持てないが、今の練人の年齢なら問題はない」

「幼い子どもは持てへんのか?」

「……杖だけじゃない。

 剣のような刃物も法律では使えない。

 使えるようになるのは十四歳を過ぎてからだ」

「十四歳……

 サイレンも最初はその杖やなかったんか?」

「……その時になるまで私が使っていたのは大量生産の訓練用の杖だ」

「訓練用の杖」

「……その杖でも簡単な魔法は使えるが属性攻撃魔法ではある一つの魔法を除いて使うことは不可能。

 使おうとしても魔力に耐え切れず、杖は壊れる」

「……壊れるんか」

「ああ……

 その例外の魔法も一発限り……

 完成版を使えば確実に壊れる」

「……それってまさか『()()』のことですか?」

「あれ?」

「……でも、あれって訓練用の杖を使うのは不可能ですよね?

 完成なんて机上の空論扱いじゃないんですか?」

「……そうだな」

(何やろう?

 ダイヤナさんの断言にも似たような言い方とサイレンの含みのある笑いは)

「……とにかくそのような杖がある。

 それが十四歳になるまでにお世話になる杖だ。

 もちろん、杖だけではなくーー」

「剣や槍も似たような殺傷力のない武器を使う。

 せやろ?

 包丁やナイフは使うこともあるやろうけど、冒険者が先生なら簡単に取り上げるしな」

「話したのですか?」

「……冒険者が転職して様々な職業に入るとまではな。

 練人、意外と想像力が豊かなんだ」

「へぇ~」

「……だからこそ、練人に魔法は合うんだと私は思っている」

「それに関してはホンマか?」

「……大丈夫さ。

 これから練人が使ってもらう魔法は一番簡単な……

 “原初魔法”だからな」

「“原初魔法”?

 言葉を素直に受け取るんやったら世界最初の魔法か?」

「ああ……

 そして、魔力を使うのに必要な魔法だ」

「へぇ~……」

「……“原初魔法”には種類が六つある。

 火属性の《ファイア》。

 水属性の《ウォーター》。

 風属性の《ウィンド》。

 地属性の《ストーン》。

 闇属性の《ダーク》。

 光属性の《シャイン》」

「ふむふむ……」

「……まずはどれでもいいから一つの原初魔法を発動してもらう」

「……魔法を使うことで大事なことは?」

「……イメージ」

「イメージ?」

「ああ……

 練人のイメージで魔法は決まっていく」

「イメージで……

 魔法は決まる」

「……私から言えることはそれだけだ」

「それだけって……」

 すると、サイレンは黙って見守るようになった。

「くそ……

 どうやって使うかもわからんのに」

 とにかくがむしゃらにやってみるしかないか。

「とりあえず、上から順に!

 《ファイア》!」

 杖を使って魔法を使おうとするが、魔法は出なかった。

「《ウォーター》!

 《ウィンド》!

 《ストーン》!

 《ダーク》!

 《シャイン》!」

 しかし、当然ながら杖からは何も出ない。

「やっぱりダメか……」

 だが、サイレンが言う以上できると言うことなのだろう。

「……杖の振り方か?

 杖の振り方で魔法使える?」

 そして、俺は様々なポーズで手当たり次第使おうとする。

 その間にサイレンとダイヤナさんは俺を見てコソコソと話をしている。

 それに構わずに魔法と使い続ける。

 発音を変えたり、カッコよく杖を振り回したり……。

「はぁはぁ……」

 そして、()()()()()()()()()()()()もどれだけやっても魔法は使えない。

 ポスっと失敗する効果音すらない。

(だ、ダメか……

 やっぱり、俺じゃ……)

 そう考えた、その時だった。

「……あっ」

「……?」

「……《ファイア》」

 俺は杖をまるでマッチをつけるように持って擦った。

 すると、何時間も使えなかったのが不思議なくらい、あっさりと杖から火が出た。

「……!?

 で、できました!」

 それを見てダイヤナさんは驚き、サイレンはどこか嬉しそうだった。

「……早かったな。

 私としては次の日にならないとできないと思っていたが……」

「サイレン」

「……さっきの顔、切っ掛けがあったんだろ?」

「ああ……

 せやな。

 俺はさっきまで魔法とか魔力は不思議な力やと思っとった。

 魔法は使ったことはないけど、何もないところから不思議な現象が起きたりな」

「……そうだな」

「だから、魔法名を言えば杖から魔法が出ると思って、何も考えずに使いおった」

「そうですね、そう思って魔法が出ない子も多くいます」

「そうやって、夕方になるまで必死にやったのに結果が出ない。

 やっぱ、俺に魔法は無理やったとか思いそうになった」

「……魔法が苦手な子の大半はそれですね」

「せやけど、サイレンが言っとった“()()()()”を思い出して、気づいたんや」

「何に?」

「俺は魔法を難しく考え過ぎとったって……

 火が出せるなら何でもいい。

 自分がイメージしやすい方法で出せればええって。

 ほんで試しに自分が火を出すならわかりやすいのは何やと思ったのがマッチや」

「マッチ……

 確かにあの仕草はそれに似ているな」

「マッチを擦って火を出すなら誰でもできる。

 そうやったら出たんや。

 同時に魔法ができひん理由もそれやったなとも」

「できない理由?」

「魔法がイメージ大事ちゅうんやったらできないってちょっとでも思っとったらできひん」

「……!」

「例えば最初から才能がないと思ったらどれだけイメージが完璧でもできひん。

 できひんかった記憶を引きずっといたら余計にできひんようになる。

 難しい魔法を使う時もできなくてしゃーないとか練習し続ければいつかのような失敗を前提しとるんやったらそれもダメ。

 失敗のイメージに引きずられて必ず失敗する」

「……そこまでとはな」

「ん?」

「……練人の言う通りだ。

 魔法を使う上で大事なことは“できるというイメージを持て”。

 そして、“必ずできると自分をブレずに信じろ”。

 それができなければいくら魔法に才能があってもできないままだ」

 サイレンの言い方はまるで自分もそういう体験をしとったという実感を込められての発言だった。

「……そして、練人の属性も決まったな」

「そうですね、とりあえずは」

「属性?」

「……練人は“火属性だ”」

「え?

 それすぐにわかるん?」

「……もちろんだ。

 ()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()

 これに関しては例外は一人もない」

「複合もあらへん?」

「ありませんね。

 その属性で固定されます。

 属性攻撃魔法や属性を使ったスキルも同様です」

「さ、さよか……

 つまり、水属性に相性悪い?」

「……練人、イメージに引きずられているぞ」

「あっ……」

「……それにその理屈なら火事も水一滴で解決できることになる」

「……そう言うことか。

 焼き石に水。

 どれだけ相性が悪い言っても水一滴やとすぐに蒸発するもんな」

「……そう言うことだ。

 ちなみに言っておくが、属性自体に善悪はないし、属性だから性格も決まるものじゃない」

「火属性は熱血みたいな?」

「……そうだ。

 光と闇は善悪に分かれてて常に仲が悪いと思われがちだが、そうでもない」

「大昔では流行っていた考え方ですけどね」

「へぇ~……

 原初魔法は火属性しかできん?」

「そんなことはありません。

 あくまで原初魔法が決めるのはその人の属性と属性魔法やスキルがその属性に染まるだけで、他の原初魔法も使えます」

「それやったらええわ。

 他も試してええ?」

「……その勢いでできるのならな」

「よっしゃ!

 やり方がわかったら後は簡単や!

 《ウォーター》!」

 ウォーターはホースから水を出すイメージ。

「《ウィンド》!」

 ウィンドは大団扇を仰ぐようなイメージ。

「《シャイン》!」

 シャインは杖の先から懐中電灯のようなイメージ。

「《ダーク》!」

 ダークは杖の先から黒い風船を出すイメージ。

「《ストーン》!」

 ストーンは近くにあった石を複製するようなイメージ。

「……全部できましたね、練人くん」

「……練人は想像力が豊かだからな」

 サイレンはまるでわかっていたように頷いていた。

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