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醜男だった俺が、男女比1:500の世界で王と呼ばれるまで  作者: きなこもち
第2章

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プロローグ ――王の采配


契約は、制度だった。


感情よりも先に、書類がある。


国家指定希少男性である俺の契約は、法的効力を持つ。


支援金。

優先権。

住居提供。

メディア露出。


すべてが、数字で動く。


麗華との契約が発表されてから一ヶ月。


その数字は跳ね上がった。


そして今。


俺の前には、九人の候補者が並んでいる。


---


特区大学・VIP会議室。


長い楕円形のテーブル。


その片側に、俺。


向かい側に、麗華、透子、ひより、そして他七名。


それぞれが、この世界では“低評価顔”に分類される女たち。


整いすぎた顔。

儚い輪郭。

細すぎる体。


だが、俺の基準では違う。


価値は、俺が決める。


空気は静まり返っている。


誰も不用意に口を開かない。


分かっている。


今日で、序列が確定する。


「ローテーション制を導入する」


俺が口を開くと、全員の視線が集まる。


「公平に時間を割り振る。公開スケジュール制だ」


ひよりが小さく笑う。


「王様っぽい」


皮肉ではない。


楽しんでいる。


透子は緊張で背筋を伸ばしている。


麗華は無表情だが、指先がわずかに強く組まれている。


他の七人は、息を詰めている。


俺は続ける。


「嫉妬で潰れるのは非効率だ」


淡々と。


だがその言葉の裏にあるのは、支配だ。


「俺が決める」


その一言で十分だった。


会議室の空気が、完全に固定される。


誰も反論しない。


反論できない。


俺は、中心だ。


---


一人目、透子。


二人目、麗華。


三人目、ひより。


順番を告げるたびに、わずかな感情の揺れが見える。


期待。

安堵。

悔しさ。

焦り。


それを観察するのが、楽しい。


自分が動かしている。


その実感が、強い。


---


会議後。


学内SNSは爆発した。


【十人契約成立】

【王、完全体】

【ローテーション制導入】


“王”。


その単語が、自然に定着していく。


俺はスマホを置き、窓の外を見る。


中庭で、女子学生たちがこちらを見上げている。


羨望の視線。


嫉妬の視線。


崇拝に近い視線。


胸の奥が、じわりと熱くなる。


これだ。


これが欲しかった。


笑われない立場。


選ばれる立場。


いや──


選ぶ立場。


---


夜。


ひよりが配信を始める。


「今日は王様とディナーだったよ」


匂わせ投稿。


コメント欄が荒れる。


透子は何も言わない。


だが既読がつくのが遅くなる。


麗華は生徒会経由で、学内の噂を抑え込む。


派閥が、静かに生まれている。


俺はその中心で、微笑む。


「面白い」


誰にも聞こえない独り言。


彼女たちは、俺を巡って争う。


俺は、その構図を維持する。


与えすぎない。


奪いすぎない。


不安を少しだけ残す。


それが、依存を強める。


---


ベッドに横になる。


十人の名前を思い浮かべる。


それぞれに、役割がある。


透子は救済枠。


麗華は公式。


ひよりは拡散。


他の七人も、位置づけがある。


構造は完璧だ。


王の采配は、機能している。


だが。


ふと、由愛の顔が浮かぶ。


静かな目。


「誰も好きじゃないよね」


その言葉が、なぜか消えない。


俺は眉を寄せる。


くだらない。


今は、頂点だ。


陶酔は完成している。


それなのに。


なぜか、静かな夜だけは、少しだけ空気が薄い。


俺は目を閉じる。


王でいる限り、考えなくていい。


そう自分に言い聞かせながら。



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