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ふじのたにこそ ~陰キャのおれがクラス一人気の陽キャ女子にパンツの色を聞かれた話~  作者: じゅくうちょ
第1章 最高の返答を求めて

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第7話 絶望のループ

 

 それからもおれはタイムリープするたびに、適塾で考えてもらった新たな返しを、ひたすら全力で今野にぶつけ続けた。


      ******


4回目


「も、もらしちゃったから茶色」


「きゃーーーーー!」



      ******


5回目


「ホップ、ステップ、白パーンツ!」


「……」


      ******


6回目


「レインボー、毛ボーボー!」


「キャーーーーーー!」



      ******


7回目


「青パンツ赤パンツ黄パンツ

 青パンツ赤パンツ黄パンツ

 青ぱんちゅあきゃパンチュ黄ぱんちゅ

 良し! 言えた!」


「言えてねーんだよ!」



      ******


8回目


「今野知ってるか? ブラジャーとパンツの色が違う女子って部屋が汚いんだってさ」


「キモー!」



      ******


9回目


「今野ちゃん、そんなこと聞いたらいけないんダゾ。めっ!」


「可愛くねえ!」



      ******



10回目


Ez(イージー) do(ドゥ) pants(パンツ)! (パンツなんてちょろいぜ!)」


「Oh my god! (頭おかしいのか!)」



      ******



11回目


「おれの右手の鬼が叫んでやがるぜ! 『おれーのパンツはいいパンツ、強いぞー!』」


「色を聞いてんだよ!」



      ******



12回目


「むかーし昔、おばあさんが川に洗濯に行くと、上流の方からどんぶらこー、どんぶらこー、と大きな桃色のパンツが流れてきましたとさ」


「パンツがどんぶらこーっておかしいだろ!」



      ******



13回目


「※*#$%&?!」


「日本語忘れたのか!」



      ******



14回目


「うーん何色だろう? そうだ! 谷藤ルーレットに聞いてみよう! 

 ルーレット、スタート!

 谷谷藤藤、谷谷藤藤、こっちかな、あっちかな、どっちかな、そっちかな。

 右かな? 左かな? 上かな? 下かな? 前かな? 後ろかな?

 あれ? スーパーリーチだ!

 谷藤谷藤谷藤谷藤、

 たーにーふーじ、

 ターニーフージー、

 ターーにーーふーージーー、

 たーーーニーーーふーーージーーー、、、

 

 こーーーう!!


 あれ? 変なところに止まっちゃったぞ? 

 白黒つかなかったんで、グレー!」


「クソ長い上に、クソつまんねーんだよ!」



      ******



??回目


      ……………………



      ******



 ……もう何度繰り返しただろうか? 適塾の総力を持ってしても、たったの、たったの一度もウケない。塾長のつまらないギャグ、リズムネタ、歌ネタ、ラップネタ、中島先輩の勢いだけの下ネタ、その他の適塾生のアイデア等々、ことごとく滑り倒している。気がつけばおれも名スキーヤーの仲間入りだ。おれは途方にくれた。ここに至ってもうおれは、適塾にいる人はほぼ全員とことん笑いのセンスがない、ということを認めざるを得なかった。 そして、唯一センスのありそうな神崎先輩は自分からは一切面白いことを言わない……。


 もしかして、これって詰んでるのか? 何度繰り返そうと、決してウケることはない。ループして永久に滑り続ける。無限滑り地獄。数ある地獄の中でも最も気温が低いと思われるこの極寒の地に、おれは一生どころか永久に縛られ続けるのか……。


 本当を言うと少しはウケた時もあった。しかし、そのたびに賞賛されるのはいつも今野の方だけだった。つまらない陰キャのおれを、面白い陽キャの今野がフォローしてあげている。いつもそんな評価だった。神崎先輩が言っていた、笑いを取るには「まず人気者になってからじゃないと無理ですよ」おれはこの言葉が正しいことをさんざん思い知らされていた。


 どう考えても失礼で人をバカにしているのは今野を含む陽キャ女子グループたちの方だ。それなのに、おれの評価が下がって今野たちの評価が上がる。こんなことが許されていいのだろうか……。おれは生まれて初めて自分が周りから陰キャだと思われていることを呪った。


 せっかくこの修学旅行で、人と触れ合う楽しさを思い出したのに、新たな人生の始まりに立てたと思ったのに、その途端にこんなハメに陥っている。神様って本当にいるのか? 最初はループして黒歴史を上書きできると思い神様に感謝していたが、漆黒を上塗りし続けている今となっては悪魔の仕業ではないかと疑っている。


 毎回、悔いの残らぬようにと、適塾で編み出した返答を全力で演じてはいた。そして地獄のループを繰り返す中で、ちょっとやそっと滑ったぐらいじゃ動じない強さを身につけつつあった。が同時に、どうせウケないんだろうな、またループするんだろうな、という暗い気持ちも積もり重なっていた……。


 

     ******




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