1.拳が交わる時、運命は裂けた
初めまして、LukkyBloomです!
この作品は、不良と番長が異世界に飛ばされ、それぞれ別の世界で生き抜くバトル&友情物語です。
一話目は導入編として、二人の出会いと異世界転移までを描いています。
ぜひ最後までお付き合いください!
夕暮れ時の私立虹星高校裏門。
早乙女琉弥は制服のボタンを外し、ネクタイをだらしなく垂らしたまま、ポケットに手を突っ込んでいた。
十七歳、二年生。
喧嘩で負けたことは1度だってない。──それも、ある男を除いては。
その男、星宮蘭。
私立劉禅学園の番長にして、琉弥と同じく十七歳。
中学時代、偶然の出会いから始まった因縁。
道端、廃ビル、河川敷……あらゆる場所で拳を交わしてきた。
戦績は十四戦七勝七敗、互角。
そして今夜。
決戦の舞台は、近所の古びた神社だった。
「今日で決着つけるぞ、蘭」
「おう、今度こそ泣かせてから覚悟しとけ、琉弥」
合図など要らない。
視線がぶつかった瞬間、二人は同時に踏み込んだ。
拳と拳。
膝と肘。
肉を打つ鈍い音が夜の境内に響き渡る。
呼吸を奪うラッシュ。
そして──互いの顔面に同時に炸裂した一撃が、空気を震わせた。
その瞬間だった。
空間が裂けるような轟音。
神社の中央に、黒い穴が開く。
渦を巻き、強烈な吸引が二人を呑み込んでいく。
気がつけば──琉弥は白亜の巨大な城と、石畳の街並みを見下ろしていた。
見たこともない鎧を着た兵士たちが行き交い、空気は重く張りつめている。
一方、蘭が立っていたのは雲海のさらに上。
浮かぶ島々と、透き通る青空。
そこにも人々が暮らし、活気ある市場が広がっていた。
地上世界の番長と、空中世界の番長。
運命の歯車は、この夜、大きく動き始めた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
琉弥は地上世界、蘭は空の世界…二人の運命は大きく分かれます。
次回、第2話ではそれぞれの異世界での初めての出会いが描かれます。
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