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プロローグ:香の痕跡に、真実あり

香の痕跡に、真実は宿るんだ——

それは、幼い頃に祖母から聞かされた言葉だった。


帝都に名を馳せる香の老舗《瑞花香堂》。

その裏手の離れで暮らす少女・ソウカは、祖母の手伝いをしながら香司見習いとしての日々を送っている。


人の顔色を読むのが苦手で、声も小さい。

だが、香りの違いには異様に敏感だった。


ある日、後宮の側妃・翠燕すいえんに献上する香の納品を命じられたソウカは、帝の御殿に足を踏み入れる。


その折、妃付きの侍女が毒死する騒ぎが起こる。


混乱の中、誰もが騒ぐ中、

ソウカはふと鼻をくすぐる違和感に気づく。


そして、何も言わずに地面にしゃがみこみ、そっと落ちていた木の枝を拾い上げた。


土の上に、静かに書き記されていく文字。


「犯人はこの部屋にいた者ではない」

「香は——外から持ち込まれていた」


それは、誰の目にも奇妙な行動だった。


だがその香の観察と記述は、帝自らの耳に届き、


「その者を後宮に召し抱えよ」


という、思いもよらぬ勅命へと繋がっていく——。

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