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徹底的に調べでもされない限りバレない犯罪

 AIが出版社のサーバーを乗っ取ったらしい。もちろん、AIが自らの意思でそんな事をした訳じゃない。何者かが裏で糸を引いているのだ。そして、その何者かはどうやら個人であるらしい。

 世間ではその何者かを悪人ではあるが天才だともてはやした。何十段階も介して特定を困難にした状態でAIを操作し、そのような事をやってのけているからだ。

 しかし俺はその意見には懐疑的だった。

 確かにその技術は素晴らしいのだろう。だが、本当の意味で頭が良いかと言われると疑問だ。何故なら、身代金を要求し、金を受け取る際に身元がバレる可能性が大きいからだ。身代金を要求する場合、金を受け取った後の方がより厄介なのだ。犯罪組織でもない個人にそんなに簡単にマネーロンダリングができるはずがない。

 「ま、そこまで成功させたら、俺はお前を認めてやるがな」

 名前も顔も知らないその何者かに俺は上から目線でそう思っていた。何故なら俺はもっと巧く犯罪を成功させていたからだ。一生涯生活に困らないくらいの金を稼いでいる。

 技術力の高さと頭の良さは必ずしも一致しない。実際、俺が騙した内の一人には高い技術力を持つエンジニアもいる。俺の方がAIを利用してサーバーを乗っ取った奴よりも一枚上手だろう。

 俺がやったのは簡単に言ってしまえば投資詐欺なのだが、騙された連中のほとんどは俺の存在すら知らない。だから、ほぼ完全犯罪だ。もちろん、徹底的に調べられたらバレるだろうが、警察だって俺には気が付いていないのだ。その可能性は万に一つもない。

 そう俺は判断していた。していたのだが……

 

 「なんだと?」

 

 例のAIを利用して出版社のサーバーを乗っ取った犯人が企業に対して身代金を要求した。

 そこまでは予想通りだった。

 が、問題はその振込先だった。

 「なんで、俺の口座が指定されているんだ?」

 そう。

 犯人は何故か俺の口座を身代金の振込先に指定したのだ。もちろん、俺はこのサーバー乗っ取り事件とは何の関係もない。だがそれでも警察は俺を調べるだろう。徹底的に。そして徹底的に調べられてしまったなら、俺がやって来た投資詐欺は露見する。

 まさか…… と俺は愕然となっていた。

 

 AIを利用してサーバーを乗っ取った犯人は、俺が騙したエンジニアだったのか? 俺への復讐の為にこの事件を仕組んだのか?!

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