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第37話 性悪ヒロイン到来。


 ってか、琴音ことねはなんで俺のことが好きなんだ?

 琴音とは仲悪かったし、自分で言ってて悲しいが、俺は顔や頭が良いわけじゃない。理解不能すぎる。


 とはいえ、琴音は目の前で泣いている。


 確かに腹は立てていたが、自分を好きと言ってくれている美少女を放置するのは心が痛む。


 俺はハンカチを差し出した。

 琴音はハンカチを受け取り、落ち着くと話し始めた。


 「うん。神木はやっぱり優しい。だからって、すぐに付き合って欲しいとかじゃないんだ。……ウチとも普通に話して欲しいだけ」


 「っていうか。なんで俺のこと好きなの? 正直、心当たりが無さすぎて」


 「前にウチのこと先輩から助けてくれたよね? あの時に抱きしめられてから、神木と目が合うと、ドキドキするようになっちゃった」


 「だって、おまえ、加藤のこと好きとか言ってたじゃん」


 「加藤はただカッコよくて憧れていたっていうか。神木は顔は普通だけど、目が合うと顔が熱くなって胸がドキドキする」


 ……さりげなく悪口を言われてる気がするが。お世辞でもいいので、カッコいいと言われたい。


 今の俺は凛のパンツ効果で無敵なので、琴音をどうこうしようという気持ちはないが、普通に話すくらいなら、まぁ、いいか。クラスメイトだし。


 だが、さやかにはちゃんと謝るべきだろう。


 琴音に伝える。


 「別にいいけど、さやかにはちゃんと謝れよ? 俺との友達付き合いは、それからだ」


 琴音は、ひまわりの花のように明るい顔になり、満面の笑みで頷いた。


 こうして話していて思ったんだが、琴音は、たぶん彼氏には従順で相当尽くすタイプだろう。基本的には、そこまで酷い性格でもない気がする。たが、性悪なのも事実だ。


 すごくアンバランスな気がする。なにが琴音をあんな卑屈な行為に走らせたのだろう。



 んじゃ、そろそろ戻るか。

 去り際に、琴音が聞いてきた。


 「神木。ウチ、ちゃんと約束は守るから。その代わり、神木のこと、下の名前で呼んでもいい?」


 俺は了解した。

 琴音はニコニコしている。


 やばい、なんだかすごく良い子に見えてしまう。俺にだけ良い子なのかな。


 空き教室を出る直前、琴音は俺の腕にしがみついてきて、「レン。好きっ」というと、チュっと。


 頬にキスをされた。


 「ちょ、おまえ。なにして……」


 すると琴音はこっちをむいて、またニコニコする。


 「だって。ずっと我慢してたんだもん。気持ちを伝えられるって幸せじゃん」


 琴音はそういうと、後ろ的を組んで、早足で先に行ってしまった。


 って、いきなり呼び捨てだし。



 ………性悪キャラの屈託のない笑顔って、実は可愛いのかもしれない。新しいヒロイン属性だ。

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