また一人として
一人 孤独に川を眺め
一人とて 屈するものかと空を仰ぐ
一人さえ 流れが分からないのに
一人だけ 川も空も独占する
一人より 二人がいいのは分かってる
一人でも 生きていけると信じている
一人から 始めたこの人生も
一人しか 乗れない電車だと思って
一人 ここまでやってきた
「…」
一人きり 座る河川敷
一人ごと 呟く虚しさ
見える景色に色味がない
一人はいいものだ
誰にも邪魔されず、誰にも影響されず、誰も神聖な孤独をおかせない。
誰の邪魔もできず、誰にも影響を与えることができず、誰からも見向きもされない。
これでいいものなのか。
「…」
一人はつらい
一人は残せない
一人は頼れない
寄り添えない、いや寄り添ってくれないのだ
一人 空を仰いでいた
「ニャー」
一匹 近づいてくる
一匹 傍に座ると、俺と同じ空を眺めた
寄り添ってくれているのか
馬鹿な奴だ
俺に寄り添っても何ももらえないのに
俺に寄り添ったところで多数から離れるだけだ
メリットなんかない
「ふっ」
俺の方が馬鹿だったんかもな
寄り添うにメリットなんか考えて、、、
「にゃー」
一人一匹は同じ空を眺めた
また一人として、一人ではない