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練習編2

神様との神経衰弱は、接戦だった。神様といえど、記憶力は衰えてはいない。というか、神様のくせに、記憶力は俺とどっこいなのか、という気もする。

「よしラスト6枚、一気にいく!」

「待て、ラストはまぜまぜルール発動だ。」

「くっ。もうちょいなのに、やっぱそのルールは全国共通なのか?!」

神様パペットが口をパクパクして、笑う。

「勝ち確定なんてつまらんじゃろ。当然じゃ。」

そういうと、カードは、神様の力で混ぜられた。

これで、どのカードがどこにあるかわからなくなった。

でも、運があれば、余裕で勝てる。運がなかったら勝てない。

「運がものをいうゲームと運ではどうにもならないゲーム、どちらが選挙に出るかな。」

今までのゲームでは、神経衰弱やかるたは出たことがない。神経衰弱はある程度記憶力がものをいうし、かるたは瞬発力がものをいう。逆にババ抜きは、ポーカーフェイスがある程度できれば、運だ。そのババ抜きは数年前に競技として使われた。負け大臣と勝ち大臣が決まるのだから、運の要素も大事だというところだろう。でも・・・

「運要素の強いゲームは、練習のしようがないからなあ。」

思わず苦笑してしまった。よく考えてみれば、出馬さえすれば、運でだれでも選ばれる可能性のある選挙とは何なのか。この世は努力だけではどうにもならないこともあるということなのだろうか。考えてみても、この制度を作った人の考えていることはわからない。

「お前のターンじゃ、はやくしろ。決着をつけるのじゃ。」

神様に急かされて、カードを引く。1枚目、ハートのクイーン、2枚目、スペードの3。

「ここではずすとはな。これで勝ちはもらった。」

神様が意気揚々とカードをめくる。

「くう。はずれか。運がないことだ。」

この応酬は、3回にわたって行われた。まぜまぜルールが効いている。

「よし、ラスト2組だ!いけっ!」

ハートのクイーンとハートのクイーン、二つそろった。ガッツポーズが決まった。

ラストの数字は見なくてもわかる。スペードの3だ。

「神様に勝ったぞ!」

「ふむ、わしが負けたか。まあ、こういうこともあろう。全勝するつもりだったが、しょうがない。もう一戦じゃ!」

意外と負けず嫌いなのかもしれない。表情はまったくわからないが、悔しそうだ。

「じゃ、あと2戦して、寝ますか。」

この勝負、神様に勝っても、負けても、それは運なのか、運じゃないのかわからなかった。選挙では、運が強いのも当然運だし、運がないのも、つまり負け続けるのも運があるということになる。勝ち続けることも、負け続けることも容易ではないが、どっちにより可能性があるのか。


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