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過労キラー

電車に乗る前に、本屋よりやっぱり大学に行こうと思った。そのまま授業をとるのもいいかもしれない。電車に乗った。ゆらゆら電車に揺られている間、自分のこれからについて考える。俺の人生は詰んでいるのか。いや、まだ人生終わっていない。大丈夫だ。マイナス思考を打ち消すかのように、首をふるも、やはり、考えてしまう。

結局考えっぱなしのまま、電車を降りてしまった。授業中が始まるには、まだ時間がある。カフェテリアにでも行こう。誰かに会えるかもしれない。イチョウの木々を抜けて、ガラス張りのカフェテリアに到着した。中に入ると、パソコンに向き合っている友人を見かけた。向こうは俺に気づいていない。


「おつかれ。」

自分から声をかける。


「お!おつかれ。」

ちらりと俺を見て、笑顔になった。


軽く近況を報告したあと、切り出す。

「なあ、ちょっと相談なんだけど・・・今いいか?」


「もちろん」

開いていたパソコンを閉じて、改めて向き合った。

俺は、深刻にならないように、そして、軽くなりすぎないように、

「もし、働けなくなったらどうする?」

と少し声をひそめて言った。


相手は驚いたようだった。一瞬固まる。そして、眉間をひそめて、それは難しいというような顔をした。

「んー・・・それって・・・いやなんでもない。もし働けなくなったらかあ。まあ、親の脛を齧るか、国の保護プログラムを頼るかってとこだよなあ。」


親の脛を齧るについては、無理だ。国の保護プログラムは、考えもしたが、いろいろ厄介だ。まず、働けないことを証明することが必要だ。俺がかけられたのは、謎の魔法だ。証明できるはずがない。

「だよなあ・・・・」

「この前、社会保障の授業で、ちょうど保護プログラムについてやってた。それが結構詳しくて、参考になったから受けてみるといいかも。」

友人はそう付け足した。無駄だとはわかっているが、勉強しておくのは悪いことじゃない。その授業、受けてみるか。

「何限?」

「次だよ!あと、10分で始まる!上の大教室でやってるよ!」


友人にお礼を言ってから、授業を受けるために、エレベーターに乗った。


教室は、6割くらい埋まっていた。今、始まるところみたいだ。

「えー、これから講義を始めます。」

40代くらいの教授だ。

「今日は各国の社会保障制度です。」

あれ?今日は、保護プログラムについてやらないのか。

「――国は、国王がいることで有名な国家ですが・・・・」


授業は、淡々と進んでいったが、面白い内容で、いつの間にか聞き入っていた。

「――国の子供を保護するプログラムは・・・」

なるほど!そうやって子供を守ればいいのか!

「――国は、教育減税があり・・・」

なるほど!教育に力を入れる人が増えるかも!

「――国は、国民全員に毎月一定額を給付し、働かなくても困らないようにしています。」

「!?」

それ俺にもできるのでは?

「その国では、お金持ちの不労者が急増しており、困り果てていたところに、国王が富の再分配制度を強行し・・・・」

ふむふむ俺の国にも王様がいる。

できたら、万事解決じゃないか!!

でも、そんなに簡単な話ではないことも俺にはわかっている。

政治を変えるにはどうしたらいいんだ?


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