ストロベリー
「今回のゲーム選挙は・・・・」
「新型ゲーム機「ストロベリー」を使ってお茶当てゲームです!」
新型ゲーム機ストロベリーとは、数年前に発売されたゲームで、専用のヘッドセットを使って、においと味がわかるというゲーム機のことだ。数年前に発売されたことと、当時は精度が怪しかったことから、ゲーム選挙に出ることはないと思っていた。
「アップデートされたこのゲーム機で、戦ってもらいます!」
どうやらアップデートされて、精度が上がったらしい。でも、お茶当てだなんて、どういうつもりだ?ていうか、なんでお茶なんだ?お茶って何なんだ?
そんな疑問を遮るかのように、放送は続いた。
「今からゲーム機を配布します」
展開早いっておい。今まで神様にも適用できた俺が、動揺している。
「神様、これはいったいどういうことなんだ?」
こそこそと肩の付近にいるパペット神様に話しかける。
「ううむ、これは運がものをいうというよりは、実力がものをいいそうじゃな。」
「それはわかっているけど・・・・」
でも、動揺しているのは、俺だけじゃないみたいだ。会場にいる人たちもまたざわついていた。
「静かにしてくださいね。このゲームはアップデートしたおかげで、完全に味を再現できるんですよ。今日の場にぴったりです。もちろん、このゲームは、ゲーム選挙専用です。」
静かにしろと言われてしまったので、神様に話しかけるのをやめざるを得なかった。今日のこのために、開発されたゲームなのか。
「ちなみに、このゲーム機の「ストロベリー」という名前は、一番最初に再現できた味がイチゴ味だったからだそうです。」
放送かかりは二人いるようだ。テンションが違う。「ストロベリー」にそんな逸話があったのは知らなかった。けっこう安直な名前だ。
放送を聞いているうちに、少しだけ落ち着いてきた。やるしかない。
なんだって受けて立とう。
俺は手渡されたヘッドセットを頭に装着した。
「それでは、ゲーム選挙スタートします!画面の前の皆様、今年は名選挙になるかもしれませんよ!」
「それでは、第一問。三つの中で、一番イチゴに合うお茶はどれ?」
えっ。それって個人の感性にまかされるんじゃないの?なにそれ。どういうこと?なにかのひっかけか?
「ゲーム機が設定した一番合う味というのがあるんですねえ。それを見分けられるかどうかの勝負となります!」
はあ!?意味わかんないよ!ゲーム機が設定したって何!?そんなことできるの!?
「そういうのもあるんですねえ、発明ですよ。」
頬についたその機械から、香りと味が伝わってくる。ちょっと渋みがあるが、その中にも、かんきつ系の香りが漂ってくる。これは自分好みのお茶だ。家でよく飲む紅茶ともよく似ている。
二つ目のお茶は、やはり渋かったが、先ほどとは違って少しだけ苦味もあった。
三つ目は、甘く、ミルクティーのような香りがした。
イチゴに合うもの、イチゴっていっても、いろいろな種類があるよな。俺はイチゴの品種を何個か思い出していた。でも、代表的なのってあれしかないな。
えーと、たしかあれは、王道に甘くて、ちょっとだけ酸っぱいものだ。かんきつ系の香りがするお茶は、何か違う気がする。
苦味のあるものか、ミルクティーのようなものか。どっちかだろう。うーん。どっちかわからないなあ。もう運に任せるしかない。
「どうじゃ。わかるか。」
神様が話しかけてきたが、俺は無視した。
いや待てよ。イチゴは、練乳をかけたりするから、ミルクティーっぽいのも合うのではないか。
「三番目で行こう!」
果たして正解は・・・・?
「時間になりました。筆記用具を置いてください。」
「回答、一斉オープン!」