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掌編集

キミの誕生日

キミの誕生日


 テーブルの上にはキミの年の数だけろうそくが立っているケーキと、私が作ったキミの好物ばかりが並んでいる。

 屈託なく笑って喜ぶキミを見て、こっちまでうれしくなってくるけどそんなこと気付かれるのは恥ずかしいので照れ隠しにクラッカーを鳴らす私。更にはしゃぐキミ。


「これ全部私の為に作ってくれたの?」

「そうだよ。あ、ケーキは買ったものだけど」

「うれしい。どれもすぐに食べたい」

「最初にろうそく消して、乾杯してそれからね」


 私がろうそくを灯し、バースデーソングを歌い終わるとキミは火を吹き消した。笑いながら拍手してから用意していた飲み物で乾杯。私は缶のカクテルで、キミはウーロン茶。

 キミは唐揚げとカプレーゼのどっちから食べるか悩んで、ツナサラダから箸をつける。

 私が落ち着かない様子でいるのに気付いてキミは、どうしたの? と声をかけてきた。


「これ」


 そっと水色の包み紙の誕生日プレゼントを差し出すと、キミも何故か同じくらいのサイズのピンク色の箱を取り出した。


「なに? それ」

「なにって、プレゼント」

「今日はキミの誕生日でしょ。私の誕生日は来月だよ」

「そんなこと言ったって、用意しちゃったんだもん」

「なんでよー」


 私はキミへのプレゼントを渡し、差し出されたサプライズプレゼントを渋々と受け取った。


「なんで祝われる側がプレゼント用意するかな?」

「ねぇ、開けていい?」

「いいよ。キミへのプレゼントだから」


 キミはあまり器用ではない手つきで包み紙を外し箱を開けると、瞳を輝かせた。

 その表情が見たかったんだよね。

 小さなルビーが赤くキラキラ光るシルバーのリング。私からキミへのプレゼント。

 

「いいの?」

「いいよ」

「えへへ。ありがとう。……ねぇ、プレゼント開けてみて」


 私も箱を開ける。

 一瞬何が入っているか理解できなかった。


「これ……」

「悩んだんだけどね。イメージ」


 それは同じデザインの石違い、サファイアが青く輝くシルバーのリング。キミから私へのプレゼント。

 なんて言ったらわからない。数秒止まってからなんとか言葉をひねり出す。


「……バカ」

「バ、バカ?」

「誕生日はキミなのに。バカ。でも、ありがとう、うれしい」


 二人で微笑んでそれから大きく笑う。

 キミはそばに寄ってきてキスしてきた。


 今日はキミの誕生日。おめでとう。

 生まれて来てくれてありがとう。


 愛してる。



2020/07/03

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