表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第1話 婚約破棄

「エレナ、婚約は破棄する」

「……そ、そんな。約束が違うではありませんか」


「確かに君は美しくて特別な人間――聖女だ。けどね、君は俺の魔力にしか興味がないんだろ? 俺が特別な魔術師の家系だから……だから、魔力だけなんだ。本当に愛しているわけではないんだろ」


 帝領伯と名高いエリックは、最近冷たかった。……明らかに態度がおかしかったし、無視されることも多かった。それでも、わたしは彼を愛していた。婚約は約束された未来だと思っていたのに。


 彼の魔力は膨大で、聖女であるわたしにとっては魅力的ではあった。でも、それは二の次。純粋にエリックが好き。なのに彼は冷めていた。


 どうして……。


「愛しています! この気持ちは変わりません。魔力の供給がお嫌でしたら、止めてくださって構いませんから!」


「もう遅い。君のような魔力バカ食い女とは付き合えない。……エレナ、君は暴飲暴食すぎるんだよ」


「そ、そんな言い方をしなくても」


「それにね、もう次のパートナーを決めてあるんだ」

「そ、そんな!」

「しかも君の妹さ」


 よりによってドロテアと……最悪だ。

 きっと妹が裏でコソコソしていたに違いない。ドロテアはわたしを嫌っているようだったから……十分にありえた。


 酷い……酷過ぎる。


 こんなのってないわ。


「お願いです、考え直してください」

「もう関係を修復することはできない。エレナ、屋敷から出ていってくれ」

「そんな……」


 わたしは屋敷を追い出された。

 しかも、目の前で婚約指輪を捨てられ……魔力を完全に失った。あれは、わたしと彼を繋ぐ愛の証であり、唯一の生命線でもあった。


 これで魔力ゼロ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ