↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/67

秘密兵器は秘密のままにしておくのが吉



 人工魔王製造機あるいは異世界蠱毒のようなものは本来どういうことになる予定だったのか知りませんが、最強の1頭の魔獣ができるのではなく、結構たくさんの魔獣の巣となっていました。


 まあ、小さいダンジョンでは効果が薄いですし、高難易度の大きなダンジョンだと深さだけでなく、横方向にも広がっていますから、すべてを立坑として掘ると広すぎて蓋ができなくなりますよね。


 ここにある巨大マンホールだって、どうやって作ったのか前世の日本ならオカルト雑誌が取材にくるレベルのオーパーツですし、さらに裏側に結界の魔法をかけて中の魔獣が出られないようにするのも規格外。現物を見ることなく、もし話を聞いただけなら信じませんよ。


 その底の底、一番奥にいるのは……ベヒモス? あとサイプロクス。


 ボスが1頭だけで、全部の魔獣を率いているわけではないような。


 ベメロガ様がベヒモスに魔法を撃ち込んでいますが、1人でコツコツと削りダメージを与えて倒そうとしているようなもの――つまり倒せません。


 どこかにベメロガ様が何人かいてパーティーを組んだら――そんなレベルではないですね、帝国ドリームチームのようなパーティーをいくつも集めてのレイドならば勝てるかも。


 つまり、やっぱり勝てないというのが結論となります。


「外にいる奴らにも協力させよう」


 とうとうベメロガ様が撤退を選んだときには、もう魔獣の群れはすぐそこまできていました。


 幕の外、ロープの周辺にいた騎士たちに戦闘準備させます。


 私はリフーノさんを抱えて逃げていました。さっきまで魔獣の群れをストランブール王国にぶつけてしまえ! と強気に発言していた人物には見えません。大量の魔獣が這い出てくる様子に腰を抜かしかけて、真っ青な顔でブルブルと震えています。


 この状況で、ここに残るとは言わないでしょう。


 殺気立っている騎士たちの間をすり抜けて、馬車に向かいました。


「ベン、アン、いませんか?」


 無人のようでしたので声をかけましたが、いつの間にかベンは御者台に、アンはドアを開けてくれていました――どこにいっていて、いつ現れたのでしょう?


「帝都に戻りたいのだけれど、なにか問題あって?」


「いえ、ルイーズ様のおっしゃる通りに」


 遠まわしに侯爵からの密命は果たしたのかと質問してみたところ、もういいみたい。


 視察団とその護衛、近衛騎士団は穴から這い出た魔獣と戦うつもりみたいですが、私はそこまで付き合う気はありません。


「すぐに出して」


 馬車を全速力で走らせます。


 10分ほど進んだところで、アンにリフーノさんを任せて、私は馬車から降りました。あんな魔獣の群れから3人をかばいながら脱出するのは無理だと判断したので馬車が動く内に逃げ出しだけで、私1人だけならなんとでもなります。


「ルイーズ様」


 アンがなにか言いたそうに口を開け……閉じてしまいました。心配して止めようとしてくれたのでしょうか? しかし、たぶんマーケレス公爵から私の行動に干渉しないように命じられているはず。ここらへんのジレンマでしょう。


「わたくし、自分だけならどんな状況であろうと逃げ切れる自信がございます。あなたたちは公爵様に報告を。そして、できましたら途中の街に避難勧告を」


 報告はともかく、避難勧告についてはEランク冒険者ルイーズだと誰も真剣に取り上げてくれないでしょうね。こういうときは高位貴族の使用人のほうが信用されます――まあ、それまでにリフーノさんが正気を取り戻しててくれればいいのですが。


 馬車を見送ると、すぐに遺跡に戻りました。しかし、どうやら手遅れだったみたい。


 穴からあふれた魔獣を包囲していた騎士団と護衛でしたが、完全に押されています。横穴から登ってきたゴブリンやオークですら数が多すぎて、1頭を倒しても、その間に2頭が地上に出てくる始末。とてもではないですが魔獣の出現スピードに追いついてません。


 秒間火力が弱すぎます。


 もっと!


 もっと!


 もっと!


 もっと削らないと!


 ですが、これは帝国の武人たちが低レベルということではありません。あまりにも魔獣が多いのです。


 ボスを殴り倒せば従わせることができるとか、殺せば新しいボスとして残りの魔獣を支配下にできるとか、そんな構想みたいでしたが、まったく問題外。おそらく穴の底の底にいたベヒモスあたりがボスなのでしょうが、もう本当にラスボス状態ですよ。たどり着く前の雑魚があまりに多すぎるし、雑魚といっても戦闘力は結構なものだし。


 もし雑魚を蹴散らしてラスボスのところまでいけたとしても、そのときには配下の大半がいなくなってしまいます。なにしろ従わせる予定の魔獣を討伐しながら進むわけですから。


 魔獣の群れに視察団も、その護衛も、近衛騎士団も飲み込まれていきました。














ブックマークありがとうございました。ポイントがつくと、モチベーションも上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。