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目的地はここですか?




 情報収集と好感度アップを狙って話を盛り上げていきました。


 アルフレッド様が嬉々としてとして説明してくれます。


「アグリファットから近いダンジョンで巨大なものはどこかと考えたら、ここが思い浮かんだのだよ」


「マグラナカン峡谷のダンジョンは巨大ですが、アグリファットに近いというのはどうでしょうか?」


「うん。地図上はそんなに近いとはいえない。ただ、このダンジョンは世間で言われているより、ずっとずっと広いはずで、一部は我が伯爵領まで続き、他にも帝都の近くまでいけるルートもあるんじゃないかと思うのだ。帝都の近くだったら、アグリファットの近くともいえるだろう?」


「ここで兵を休めて、王都の近くの出入り口からアグリファットに出撃していくというイメージでしょうか?」


「そのように考えて、ここまできてみたものの、まったく基地という感じがしなくてな」


「天然の洞窟でしかありませんわ」


「手をくわえた痕跡すらない」


「はい」


「魔獣に知性がないとしたら、魔王に従ったという部分については矛盾が生じるが、ここを軍事拠点にしていた可能性については有望かもしれない」


「手をくわえてない天然の洞窟だから、知性のない魔獣の休憩場所のように使っていたわけでしょうか?」


「そういうことだ」


「残る問題は、ここがアグリファットまで続いているか否かになりますわ」


「まず自分の領地である伯爵領まで続いていることを証明し、実績を示せば帝都の近くで発掘許可が下りると思うのだ。わたしは伯爵位をもっているし、この調査は純粋に学術的なものだが、帝都の近くでいろいろやろうとすると過敏になる人物もいてね」


「どこでも首都の近くで、しかも軍事拠点は神経を使うでしょう。現在でも軍事拠点になるかもしれないなど、下手をしたらクーデターを計画しているように見られてしまうかもしれませんわ」


「困ったことだ」


「わたくし、絶対にアルフレッド様を伯爵領まで連れていきますから!」


 こんなふうに好感度アップを図りつつ、情報を仕入れつつ、疲れたら休み、お腹がすいたら私のマジックバッグの中にある携帯食料を囓りながら、およそ3日でアルフレッド様が「ここから伯爵領だ」とおっしゃる場所までやってきました。


「この向こうは我が領地だ」


 たぶん境界になるのでしょうね、アルフレッド様はダンジョンの中で両手を広げました。


 おめでとうございます、と祝辞を送ったあと、サーチライトでダンジョンの先を照らしてみました。おおよそ1キロ先まではさらに続いているようです。


「せっかくここまできたのですから、いけるとこまでいきましょうか?」


「魔獣が吹き出てくるのを封印した遺跡まではいけるはずだ」


「道が悪くないのが助かりますわ」


「ダンジョンというところは、だいたいこんなものではないのか?」


「このダンジョンについてですと、マグラナカン峡谷に沿って進もうとすると、水が障害となります。川の下を通ったりしておりますから、地底湖のようなになっているところもありまして。それを潜ったり、いきなり上から水が流れてきたりと、なかなか大変なところも多い印象ですわ」


「よくそんなところを進もうとするな」


「いずれ王都の方角も調査する予定なのでは?」


「あっ、そっちの方向になるのか……」


「はい」


 もともと私がいく予定だったのですから。


「しかし、どうやったら地底湖を潜って反対側までいくのだ?」


「水属性魔法の得意な魔法士がいればなんとかなりますわ」


「そうするとルイーズ殿は得意なのかな?」


「属性魔法では一番得意ですわ」


「そういうことなら帝都方面の調査が決まったときに、また護衛に雇いたいのだが」


「どうでしょう? いつのことになるかわかりませんが、あまり先でしたら、わたくし、王国に帰ってしまうかも」


「そうなるか……」


 アルフレッド様はなにか考えているようでしたが、ちょうど行き止まりについたので話はそれまでとなりました。


 この上が問題の遺跡なのかと尋ねると、そうだと頷くので土属性魔法 を使うことにします。一番苦手なのですが、まったく使えないこともありません。


「まわれまわれ土の渦、我の通り道を切り開け」


 トンネルを切削して地上に出ました。


 魔獣が吹き出す穴が開通したままだと地元の人が嫌がると思いますのでふさいでおきます。封じたということですから、過去には魔法的な障壁か結界でも張られていたのかもしれませんが、現在はそのような様子はありませんので物理的に埋めておけばいいでしょう。


「ふさげふさげ元のように」


「こんなあっさりと……」


「いえいえ土属性魔法が得意な方なら、もっとスマートにやってのけますわ」


「いや、充分すごい!」


 なんだかアルフレッド様が興奮しています。






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