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ダンジョンに向けて



 さて、次なる目的地に向かいましょうか


 いま私のいるヌーベルトの街には周辺にいくつかのダンジョンがあります。一番難易度が低いのが観光客用で、いちおう護衛が配備されてはいるものの、魔獣は狩り尽くされ、不気味な雰囲気を楽しんだり、売店で魔獣の牙や鱗をお土産に買うようなところ。


 その次が冒険者が狩り場にしている魔獣がそこそこいるダンジョン。自領の騎士団を自慢したい貴族がいくダンジョンでもありますね。


 強い騎士団を抱えているというのは貴族にとってステータスですから、他の貴族と大金を賭けることも。何層まで早く降りたほうが勝ちとか、1日に何頭の魔獣を狩れるかとか、そんな貴族の遊びに使われる場所にもなります。


 最後の高難易度のダンジョンについては……まあ、近寄らないほうが無難。一攫千金を狙えるけど、ベットするのは自分の命で、勝つ見込みは薄いですよ。


 とりわけ難易度が高いとされているのがマグラナカン峡谷にあるダンジョンで、人の手の入ってない森を進み、道なき道を通って、険しい山を登り、垂直に限りなく近い崖を下ったところにあり、付近には凶暴な魔獣が徘徊しているので、近寄らないほうが無難というより、そもそも近寄れません。


 足場が悪いところで魔獣に襲われたら勝負になりませんから、よほどの腕自慢でも近寄ろうとは思わないみたいですけどね。いくだけでも大変な準備が必要で、食料に飲料水、武器や防具の予備、医薬品など大量の物資とともに遠征に出かけて、ところが途中で魔獣の襲撃で大きな被害を受けてしまいダンジョンにアタックする以前で撤退なんてことになったら採算が合わないどころではありませんよ。


 レアット子爵との会談のあと、護衛を依頼していたユノに契約満了を告げました。その最高難易度のマグラナカン峡谷にあるダンジョンにいく予定だし、そもそも貴族との会談は他にないから、と。


 ユノはダンジョンにいくなら護衛がいるだろうと難色を示しましたが、そういう本人がマグラナカン峡谷にいったことすらないのですから話になりません。だいたい私はダンジョンで遊んでるというアリバイの元、いろいろ調べ物をしたいんですよ。


 はっきりいってユノは邪魔。


 ストランブール王国にとってマグリティア帝国が敵ならば、メーラント共和国は敵の敵に近い関係ではありますが、ちゃんと同盟を結んでいるわけでもないですし、いま帝国と交戦中でもありませんから、完全に味方でもないし、敵の敵にもなっておりません。またストレリツィ侯爵家となにかしら特別な友好関係があるわけでもないんですよ。


 そうなると極秘で動くのに同行させるのは難しい。


「この街でのダンジョンの経験が豊富なら護衛として雇うことも考えますけど、ユノはそうではないでしょう? 護衛にならない護衛では困ります」


「それはそうだろうが……」


「この部屋は借りたままにしておきますので使ってもらってもかまいません。不審者や泥棒が入り込まないか、ときどき見回ってもらえると助かります」


「まあ、こんな高い部屋で寝泊まりしてもいいのなら、見回りくらいはしておくが」


「お願いいたします」


 私はアパラセア・ホテル&リゾーツの部屋をそのまま借りっぱなしにしておいて、あの窓のない馬車も預かっておいて欲しいと頼みました。お金はかかりますが、このヌーベルトにいるというアリバイになりますし、どうせお父様が支払うのですから、私にとっては問題になりません。


 大人数の遠征隊を組織したならマグラナカン峡谷まで10日はみておかなければなりませんが、ストレリツィ侯爵家が何度かヌーベルトでバカンスをすごしたとき、私はここにきたことがありまして、だいたいの地理はわかっていますから、裏技というか、魔法のゴリ押しで1日もかからずダンジョンの入り口に到着。


 ここの特徴は長く長く続く洞窟で、私も何度かもぐっていますが、いまだまったく全貌がわかりません。古代の遺跡に魔獣が住み着いてダンジョン化したものと違い、基本的には自然の洞窟です。


 長く長く続くというのは、少なくとも1本、レアット子爵の領地の外まで続いて、隣の男爵領の片隅にある森の中に、かろうじて人間なら這い出る隙間が開いていることを確認してあるから。


 そこを目的地して、最大速度で突撃です。








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