第一章:夢の始まり 4話
俺が怒鳴った後の、母親のため息や、悲しそうな顔を見るのが嫌だった。
でも怒鳴るしかなかった。
俺の意見を聞いてほしかった。
わかってほしかった。
怒鳴ったからもう懲りたかと思っても、また何日か経てば嫌味を言ってくる。
そんなことの繰り返しで、怒りで頭がおかしくなってしまいそうだった。
だから部活辞めて、バイトして、大学入学とともに家を出るための金を貯めていた。
でも勉強もちゃんとしていた。
バイトを始めても、いつも必ず学年ではトップだった。
そんなことも知らない両親は、昔の俺みたいに良い子ぶって、
無理ばっかしている弟の功太のことまで持ち出して怒鳴り、
俺もたまらなくなって家を出るつもりだということを告げてしまった。
兄弟で比べられるのはあまりいいことじゃない。
ましてや、昔の俺自身のような奴をひき合いに出されるのは嫌だった。
大学入学とともに一人暮らしを始める奴はたくさんいる。
でも俺の場合はそんなことじゃなくて、この家とはもう関わらない。ということだった。
その日、ネットカフェのソファに腰掛けながら俺は決めた。
親父が学生時代目指していた弁護士になって、あいつらを見返してやろうと。
見返してやるといったって、弁護士になってからあいつらに会いに行くことはないだろう。
ただ、弁護士になることによって、自分の中でなにか整理がつきそうな気がした。
弁護士になろうと思ったの理由は、ただそれだけだった。




