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第三章:夢で逢えたら 7話

気付いた時には自分ではもうどうにもできなくて、ただ見てることしかできないというのは、どんな気持ちなんだろう。


話すことをやめてしまったお姉さんを見る彼女は、どんな気持ちなんだろう。


俺にはその気持ちは確かにはわからない。自分の身に降りかかってこない限りは、多分ずっとわからない。

でも、とてもつらく悲しいということは痛いほどわかる。

どうしようもなく、もどかしい気持もわかる。


でもそれは昨日今日で始まったことじゃないはずだ。



「昨日、姉がいなくなったんです。母の知らないうちに家を出てて、夜になってもずっと帰ってこなくて、もし私のアパートに来たらいけないからって私は探しに行けなかった。母も同じで、父一人で何時間も探しました。結局、夜12時を過ぎてふらっと帰ってきたんですけどね」



先程までの必死に絞り出していたのとは違い、なんだか少し冷静な話し方だった。



「私、死んじゃうんじゃないかなって思ったんです。姉が自殺するんじゃないかって。そう思う自分もすごく嫌で、もし本当に姉が死んだらって思うとすごく怖くて、怖くて怖くてたまらなかった。もし死んでしまうのなら全部話してほしい。いや全部じゃなくても、とにかく前みたいに話してほしい。いっぱい姉に言いたいことはあるのに、何一つ言えない。家族なのに。そんないろんなことを考えてたらいつのまにか眠ってました。でもこっちに来ても、どうしても頭から離れなかった」


「昨日はごめんなさい。なんか勝手に思い悩んでて、気まずかったですよね」


「え? あ、いや全然! そりゃ昨日は驚いたけど、でも話が聞けて良かった」



彼女がいきなりこっちに話を振ってきたため、少し動揺してしまった。



「話してくれてありがとう」



自然とその言葉が出た。

彼女は驚いたような、少し複雑な顔をしている。



「でもさ、お姉さんは言わないと思う。俺にはよくわからないけど、例え普通に話せたとしても君や両親には言わないと思う。家族だからこそ」



言える時が来たら言うのかもしれない。しかしそれはずっと先の事であって、お姉さんが変わらない限りは起こり得ない事だろう。



「家族だからこそ、ですか」


「俺は家族がどうこう言える立場じゃないけど、家族だからこそ言えないことはあると思う。大事だからこそ、悲しませたくないからこそ言えないんじゃない?」

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