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第二章:夢の中 19話

目を瞑り、体の疲れを感じる。

体が重い。

どんどん沈んでいく。

やがて意識も向こうへ引き寄せられていく。


“落ちる”という不思議な感覚。





いつものように気付けばベンチがあって、そこに彼女は座っていた。


でも、いつもと違う。


彼女はベンチの上で膝を抱え、膝に頭をうずめていた。



「こんばんは」



いつものように俺がそう言うと、一瞬肩がびくっと動いて、ゆっくりと頭をあげた。



「こんばんは」



それはいつものような落ち着いた笑顔ではなくて、何処か寂しげな、悲しそうな笑顔だった。


眼は赤くなく、腫れてもいないようだから泣いていたわけではなさそうだ。


ただそれだけで少し安心した。


彼女のとなりに腰を下ろす。


「何かあった?」とか、ここで普通は聞くのだろう。


実際、俺も何があったのかものすごく気になるけれど、言いたくないことや聞かれたくないことは誰にでもある。


自分自身、あれこれ聞いてこられるのは嫌いだ。


だから、こちらからは聞かないでおこう。

そして彼女が話してくれた時は、ちゃんと聞いてあげよう。



それからしばらく何も話さずにただ座っていた。



もともと話すのは得意じゃないから、その静けさは別に苦じゃなかった。


けれど、どこか淋しいのは何故だろう?


話すのは好きじゃないはずなのに、話したいと思うのは何故だろう?


何か話をしてみようか。


でもそれで彼女が、今抱えているものを言うタイミングを逃してしまったらどうしよう。


それ以前に、話す気がないかもしれない。


でもできれば、話してほしい。


知りたい。


聞きたい。


彼女のことを。



何だかだんだん落ち着かなくなってきた。


彼女の方を見ると、彼女はまだ頭をうずめて何か考えているようだった。



もういっそのこと、思い切って聞いてしまおうか?


案外さらっと言ってくれるかもしれない。


でも不快に感じてしまったら?


聞いてほしくなかったら?



そんなことをぐだぐだ考えているうちにも、時間は経っていった。



きっと言いたくないんだろう。


それならそれでいいじゃないか。


なんで知りたがるんだ。


自分らしくない。



目を閉じ、ここに吹くわずかな風を感じる。


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