第二章:夢の中 18話
帰り道、空には月が昇っていて星がいくつか輝いていた。
夜風が冷たい。
人の目を気にして、自分を殺すのは嫌いだ。
でも、やめようとしても体が、顔が、口が勝手に嘘をつく。
ああ、こんな自分は嫌いだ。
そう思っても、自然にもう身についてしまって、こびり付いてしまって、自分ではどうにもできない。
少しづつでも変われたら、自分らしくいられたら、すべてを誰かにわかってもらえたら・・・
そう思う反面、誰にもわからないように装う自分がいて、誰にも入って来られないように、心に鍵をかけている自分がいる。
誰かに何かを理解してもらうのは、難しい。
だってその人は自分ではないのだから。
育ってきた環境も、人生も、性格も、想いも違う。
だから、何も言いたくない。
わかってもらえなくたっていい。
そう言い聞かせていたのに。
夢の中で出会った彼女は何だか違った。
自分のことを自分の口で話して、少しかもしれないけれど理解してもらえたのは、なんだか心地よかった。
心が軽くなったような気がした。
やっぱり、心のどこかでは誰かに理解してほしいと願っていたのだと感じた。
そう考えているうちに、いつの間にかマンションに着いた。
自分の部屋へと向かう。
なんだか最近、考えてばかりのような気がする。
この世界はわからないことが多すぎだ。
自分でさえ良くわからない。
でも、少しづつ変わってきていると思う。
自分の部屋のドアに鍵を差す。
少しづつ、少しづつ心を開いて受け止めていくことで、変われるだろうか。
両親とのことも。
靴を脱ぎ、バッグをソファに放り投げ、サイに餌をやってからシャワーを浴びた。
この後にまた仕事をしなくてはならないのかと思うと、全然気持ち良くならなかったし、疲れも取れなかった。
シャワーから出てスウェットに着替え、棚からカップラーメンを出して蓋を開け、お湯を注ぐ。
なんとなく晩御飯を作る気分じゃなかった。
3分待っている間に、バッグから必要な書類を取り出し、パソコンを立ち上げて仕事の準備をした。
ラーメンを食べながら仕事をし、結局今日の仕事を終えたのは夜の一時すぎだった。
それから歯磨きをして、水を一杯飲んでから部屋の電気を消し、ベッドへと潜り込んだ。
早く寝てしまいたい。
あの夢の中の彼女に、今日あったいろんなことを話したい。




