第二章:夢の中 12話
事務所に着くと、いつもと変わらずみんなせかせかと働いていた。
俺に気付いて話しかけてくれた人達と軽く挨拶してから、自分のデスクへつく。
「お、橘。どうだ、ゆっくり休めたか?」
「はい、進藤さんのおかげで」
「そうか、なら良かったな。どうせならもっと有給取っとけばよかったんじゃないか?」
「でもみんなに迷惑かけちゃいますし」
「まぁそれもそうだな」
そう言って進藤は仕事に戻った。
デスクに荷物を置き、所長のところへと向かう。
エレベーターを使わずに階段で上の階へ上がった。
所長室は上の階の会議室の奥にある。
会議室横の廊下を通りって所長室のドアの前に立ち、ドアを叩く。
「はい」
低いしっかりとした声がする。
石橋所長は正直言って、よくわからない人だ。
普段は人の良い温厚な普通のおじさんなのだが、俺達一人ひとりの仕事量を正確に把握していて、どんどん仕事を増やしてくる。
「失礼します」
ドアノブを回して中へ入る。
「橘君か、めずらしいしいな。有休はどうだった?」
「はい、とても良かったです。あのそれで、お願いしたいことがありまして」
「へぇー何だね?」
「率直に言いますと、僕の仕事の量を減らしてほしいんです!」
勢いよく頭を下げる。
「どうしても今の量じゃ無理なのかね」
「はい」
「でも今までちゃんとやれてたじゃないか」
顔をあげる。石橋所長は少し不機嫌そうな顔をしている。
ヤバイ、怒らせたかな。
「それは、何と言いますか、その、無理をしていたんです」
「無理ねぇ・・・」
「はい」
「よし、いいよ。具体的にはどれくらい減らしてほしいんだね?」
「は?・・・あ、いやはい、そうですね・・・」
一通り話し終え、署長室を出た。




