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第一章:夢の始まり 2話
次の日、俺はいつものように会社に行った。
俺の勤めている事務所は、小さいくせに仕事は多い。
みんなこんなに狭い部屋の中、デスクにしがみつき仕事に躍起になっている。
まぁ今から俺もその一人になるんだけど。
デスクの列で一番右端の一番手前にある自分のデスクに着く。
自分のパソコンの電源を入れたとき隣から低い、なんだか嬉しそうな声がした。
「おい、橘。お前昨日の愛ちゃん見たか?」
ニヤニヤしながらそんなことを聞いてきたのは進藤裕介だ。
「見てませんよ。仕事でそんな暇なかったんで」
「おっ前どんなに愛ちゃんが可愛かったことか!」
進藤はいつもこうだ。
愛ちゃん。愛ちゃんとアイドルの話を持ちかけ、いかに愛ちゃんが可愛かったかを熱烈に話しててくる。
俺がさりげなく言った嫌味にも気付いていないようだ。
進藤はいつもその愛ちゃんとやらをテレビやDVDでチェックしている。
そうやって自由気ままに過ごしているが、仕事は必ずきちんと済ませているもんだから、誰もこいつには何も言えない。
まぁさすが先輩と言いたいところだが、進藤の場合はただ生まれつき要領がいいだけのようだ。
俺も、進藤のように要領がよけりゃこんなに残業することもなかったのに。
仕事だけじゃない。
俺がもっと要領がよけりゃ、もっといろんなことが変わってた。
もっと要領良くやれていたら・・・




