表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/41

第二章:夢の中 9話

でも彼女は俺の知らない本のタイトルまで言ったわけだし・・・


どうなんだろう?


 

部屋についてからもそのことをずっと考えていた。


「夢には不思議な力がある」って、テレビでなんかの偉い人が言っていたのを見たことがある。

ワールドトレードセンターの同時多発テロの事だって、それが起こる前にその映像を夢で見たって言う人がいっぱいいたらしいし。

それに寝る前に思い浮かべたことが夢になるとか、会いたいと思っている人が夢に出てくるって言うのも聞いたことがある。


 

わけがわからない。


今まで別に夢のことを疑問に思わなかったけど、考えてみれば謎だらけだ。


だいたい、“夢”って何なんだ。


赤ちゃんの時は夢でいろんなことを学習しているらしいけど、大人になっても夢なんて普通に見る。

第一全然学習とはかけ離れている夢を見ることがほとんどだ。


 

どうして人は夢を見るのだろう。


神様は何故、人に夢を見る機能を付けたんだろう。


同時多発テロの時みたいに、何かを伝えるためなんだろうか。


 

わからない。


 

考えるのはもうやめよう。


せっかくの有休なんだから。


彼女が存在してなくても、会えればそれでいいかもしれない。


 

今日は、会えるだろうか。


 


電気を消して、布団にもぐりこむ。

目覚まし時計はセットしない。


できるだけ向こうにいたい。



ゆっくりと目を閉じ、体が沈むのを感じる。


そして、俺は再び落ちた。


 


 


 


目を開けると、そこに広がるのは真っ白な世界。

また、どこかへ向かってただ真っ直ぐ歩く。


気付けばまたそのベンチはあった。


 

彼女はいない。


 

まだ来ていないのか。

それとも、今日は来ないのか。


ベンチに腰掛け、目を閉じる。彼女がそうしていたように、俺もそうして彼女を待った。


この前は気付かなかったけど、少し風が吹いている。

気持ちがいいくらいのとても弱い風。



なんとなく、心が落ち着くのがわかる。


 


「こんばんは」


 


昨日ひたすら話し続けたので、もう聞き慣れてしまった声。

目を開けてみると、やっぱり彼女が立っていた。


 


「こんばんは」


「隣、いいですか?」


「どうぞ」


 


 

彼女が静かに隣に座る。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ