4話:静かな森の奥に
サブタイトルと内容あってないような?
街の北に位置する森がある。
比較的魔物が少なくそのおかげで様々な動物がおり、街の食料が不足することはない。魔物も森の奥にしか生息しておらず、冒険者以外の狩人でも危険は少なく狩りが行える。
しかし薬草は動物達の餌になるため森の入り口には少なく、森の奥に生えていることが多い。なぜならば魔物は肉食で薬草を食べないからである。
魔物に踏み潰されていたりして薬草の状態が悪いことも多々あるが、それでも入り口付近よりは効率よく採取することができる。
(今日はどうするか?)
カイルは迷ったが選択肢は1つしかない。何故なら彼はギルドに登録していないが冒険者だ。冒険者が狩人のように動物を狩ってもニールが稼げる訳でもないので、選択肢は森の奥に行き、ゴブリン又は薬草を取ってくる以外の選択肢はない。
(さて、行くか)
カイルは森の奥地に向け歩き始めた。
カイルの武器は刃渡り20cm程の短剣と銀のナイフだけだ。短剣はわかるが何故銀のナイフを持っているかと言うと、この世界には吸血鬼が存在して戦う時に普通の短剣では太刀打ちできず、銀の入った武器で攻撃しなくてはならない。
吸血鬼を討伐すると冒険者ギルドからではなく王都のお偉い様から報酬が渡されるのだ。その報酬はかなりの額で正式なギルドである訳では無いが吸血鬼ギルドなるものがあるとか噂に聞いたこともあるぐらいだ。
吸血鬼は個体で強さが変わるがそれでも人間が吸血鬼と1対1で勝てる人は片手で数えられるくらいだろう。
だから同じ目的の人達が集まり吸血鬼ギルドなるものが出来たと考えられる。そのくらい吸血鬼討伐の際の報酬が魅力的なのだと思う。
(まぁ関係ないか)
吸血鬼は昼間は人の目のつかない所に隠れているか、他の動物に擬態していて見分けがつかない。
(……ん?)
カイルは森の入り口付近に違和感を感じた。
(動物が少ない……いや、全然見当たらないな)
カイルは狩人ではないので正確には動物の気配がわかる訳では無いが、毎日のように森に足を運んでいるうちに少しだが感じることが出来るようになっていた。
(………気の所為かもな)
カイルは特に気にすることも無く森の奥地に歩き始めた。