2話:酒場のイーリナ
誤字脱字の指摘お願いします。
軋む階段を降りた先には、丸机が3つとカウンターとこじんまりした10人ほどしか入れない酒場がある。昼前後の時間のため、他に人は居なかった。
カウンター席に座ると
「随分遅いお目覚めじゃねぇーか」
声の方を向くとそこには褐色のお姉さん、イーリナがいた。
イーリナの事をお姉さんとは言ったが実年齢は40とかなんとか…燃えるような赤い短髪に180cm程の長身、そして俺の戦いの師匠でもある。
見た目が全然昔から変わらないのは何故なのか分からないが、おばあさんと言うと殴られるのでお姉さんと言っている。
「おい、お前変なこと考えてるんじゃねぇだろうな?」
(何故イーリナは人の考えてることが読めるのだろうか?)
「何故?みたいな顔してるけど、お前は顔に出過ぎなんだよ。そんなんだから変なやつに絡まれるんだよ。」
(ふん、大きなお世話だ)
イーリナは昔、怪我をしてる所を助けてもらい生きる術を教えて貰った恩人だ。怪我をして話す事が出来なくて昔は意思疎通に困難したが、今では微表情だけで考えてることを読まれてしまう。
決して顔に出ている訳では無い……と思いたい。
「それでなにようだ?飯か?」
(そうだ)コク
頷いて答える。
「今はもう食材がないからパンとスープくらいしかねぇーがいいか?」
(いいよ)コク
またしても頷いて答える。
「少し待ってな、すぐ用意してやるよ。」
(わかった)コク
「……あ、お前こんな時間に面倒なことさせるんだから少しは魔物の肉でも取ってこいよ。どうせ暇だろ。」
(…………ふん)
「返事しろ、じゃねぇと絞めるぞ」
(…………………)
「まぁいい、さっさと食べな」
(相変わず怖い。)
昔の修行から厳しい人だったが今でも厳しいし未だに勝てない。
硬いパンをスープにつけ柔らかくして食べながら思う。
(この人を超えないとあのバケモノ達には戦いにすらならないだろう。まずはこの人を超えて次のステージに行かないと)
そんなことを考えているうちに食べ終わっていた。
コンコン
カウンターを軽く叩く。これが食べ終わる合図になっている。
「ようやく食べ終わったか。じゃあぼーっとしてないで私のために働いてきな。」
(私のためにって欲望少しくらい隠せよな)
そんなことを思いながら軽く頭を下げ、宿屋から出た。