私魔王として働きます(4)
え、なに?!
驚き声の出ない私の代わりにヴィアベルがその兵に問いかける。
「何事だ騒々しい。一兵如きが我々の会議を中断するなど…貴様の持って来た重要事項はそれ程の事柄なのだろうな?」
眼光鋭く兵を睨むヴィアベル。睨まれた兵はまるで蛇に睨まれた蛙のようである。生唾を飲み込み発言しようとするが威圧されてるためか青ざめ言葉が出てこない様子であった。
「ヴィアベル。その辺にしておけ。
ここの兵はしっかりと重要事項の判断はできるように教育してある。それはこの私が保証する。
…貴様の威圧は強すぎるぞ。」
「…ドラゴニカ様がそうおっしゃるのなら抑えましょう。」
ヴィアベルは威圧を解く。すると、兵も解放されたのか勢いよく息を吸い始めた。
どうやら息もできなかったようだ。可哀想なことをした。
「…んで?そんなに焦って一体どうんなネタを持って来たんだぁ??」
ヒューゲルが再度問いかける。息を整えたその兵は一つ深呼吸する。
「申し上げます!
…ぜ、前勇者が亡くなったとの報告がありました!
そして同時刻に新たな勇者の覚醒を観測!
新たな勇者は仲間を募っているとの報告も受けました!」
ピリッと、空気が凍りつくのを感じる。
これは、何という…
「…仲間を募っている目的は?いや、それよりも何故今になってそのようなことを…」
ヴィアベルの眉間に皺が寄る。
「はっ!そ、それが目的が不明でして…」
「目的は不明ってぇのはちと厳しいもんがあるなぁ…」
「現在目的等不明瞭な点を急ぎ探らせている状態です!」
「…ドラゴニカ様。これはもしかすると…」
「…そうだな。考えたくはないが…
我々魔族の殲滅を考えていると思っても良いかもしれぬ…」
人間と友好関係を築きたいと思った矢先のこの出来事…
幸先不安だ…
それに、この報告でみんな殺気立ってしまっている…どうしたものか…
「やられる前にやっちまったほうがいいんじゃあありませんか?
奴らもまさか俺たちが攻めてくるとも思っていないでしょう。その隙をつくしか勝機が見えねぇ気がするんですが、どうしやすか。王よ。」
皆の視線がドラゴニカに向けられる。
確かに今この時点で奇襲をかけるのが1番良いのだろう。
しかしだ。争いなど…
せめてもう少し詳しく情報が得られれば…
その時、ある考えが浮かんだ。
「…皆、よく聞いてくれ。
奇襲はかけぬ。」
「んなこと言ってる場合じゃありませんぜ!?」
「王よ。その返答はあまりお勧めできるものではありませぬ。」
「ドラゴニカ様。それは…」
各々が不安を口にする。
「待て。話を最後まで聞くがよい。
…奇襲はかけぬ。
だが、今のままでは民の不安も解消されぬであろう。
…私が人里に行き情報を得てくる。
そして奴らがもし、我々魔族を倒すために仲間を募っているのなら…
その時は私がこの手で勇者を葬り去ってやろう。」
皆呆けた顔をし、口を開けていた。
何とまぁ間抜けな顔をしている。
「なッ!!
そ、そんなの危険すぎます!!!」
その状態から1番に戻ってきたのはアガルスだった。