私魔王として働きます(3)
「確かに俺はエルガーと旧知の仲だからその辺りは理解してるつもりですぜ。だがな!だからこそ!俺は人間を許すことはできねぇ!特に勇者!!あいつは、俺が…!」
「わかっている。しかし、勇者とて人間。あの時より100年余り時は過ぎ去っている。勇者がかりに生きているとしても、老体であろう。
やがて散りゆく命、そうむやみに刈り取る必要もなかろう。それに…」
その勇者を倒す。と言う行為が人との争いの火種にもなりかねない。それだけはなんとしてでも阻止したいところ。
私の考えを読み取ったかのように、アガルスが後に続き言葉をつないだ。
「今、勇者を倒しに行けばそれこそ火種になりかねません。
そうした場合、魔族は圧倒的不利な状況に置かれてしまいます。
先ほどの話でもありましたが、今魔族は食糧難です。その状態で戦が始まれば、民への更なる負担に加え、この国自体への不信感も募りましょう。
先を見据えると、今事を起こそうとするのはあまりにもリスクが高すぎると考えられます。」
「…!わかっている!そんなこと、言われずともッ
だが、この、俺の中にある怒りはいつになっても消えることはねぇってことを伝えておきたかっただけだ!
…それに、勇者が爺さんになってヨボヨボなのをいたぶって楽しむほど、俺はまだ落ちちゃあいねぇ!」
ヒューゲルは大きく息を吐きながら椅子に深く腰掛けた。
なんとか怒りは収まったようだ。
そういえば、勇者って…
「…勇者といえば、確かあやつらの力は代々継承されてゆくのではなかったか?」
私の問いに対し答えたのはヴィアベルだった。
「ええ。勇者は死ぬ間際になると力が衰えていくようです。そして、その力が衰えていくのと比例するかのように、次代の勇者に力が継承され、勇者が死ぬと同時に次代の勇者が覚醒する。というような流れになっているようですよ。
同じ次代に勇者は1人しかいない。ですが、永続的に勇者という人間は存在しているようです。」
「ふむ…
では、今この瞬間も、どこかで勇者が生きているということだな。」
沈黙。それをかき消したのは
「会議中に失礼いたします!!魔王様!!!!」
ある兵の来訪であった。