私、魔王として働きます。(1)
朝のひと騒動の後、アガルスはいつもの調子を取り戻したようであった。
朝食を食べ(朝からステーキだったが意外とペロリと食べれた。しかし何肉だったのかは怖くて聞けなかった)、会議室に向かう。
それにしてもこの城、凄いセンスだなぁ。
辺りをキョロキョロ見渡しながら、改めて思う。
城全体の雰囲気は暗いし、なんかよくわからない銅像が並んでるし、大広間には歴代の王の肖像画が飾られてるし…
あんまり趣味がいいとは思えない。
「ドラゴニカ様、着きましたよ。」
「ん?あ、あぁ。そうだな。うん。行こうか。」
会議室の扉を開く。
部屋の中には長机が置いてあり、そこには4つの椅子が並べられている。
アガルスとともに空いている席に腰を下ろすと、その人物は声をかけてきた。
「これはこれはドラゴニカ様。昨日は雷に打たれたと聞きましたが、体調はよろしいのですか?」
蒼い髪を1つに纏め、深い蒼い瞳で私を見つめながら問いかけてきたこの男はヴィアベルという。
5元素の一つである水を操ることのできる。
冷静沈着であり、色々と苦労も多いのかその額にはよくシワが寄っている。
「あぁ。問題はない。」
「何事もなければ良いのですが…
…私の愚弟が側近と名乗っておきながら、まさか主人も守れぬ愚か者だったとは…
兄として恥ずかしい限りでございます。
誠に申し訳ありません。」
そう言ってヴィアベルはアガルスをひと睨みし、頭を下げた。
そう、ヴィアベルはアガルスの兄である。
その為、2人の容姿はよく似ている。
「いや、良いのだ。
私も昨日気分が昂ぶっていたのでな。
皆に無礼講と言っていたし。
それに、あの攻撃を自分でどうにかできぬとあれば、この国で王を名乗る資格もないさ。
だからそうアガルスを責めてやるな。
あれは私にも非がある。」
「しかし…!」
「ガッハッハッハ!!
ヴィアベルよいではないか!!我らが王もこう言っておられる!
貴様は考えすぎなのだ!!
そんなんだから眉間のシワも取れんのだぞ!」
ヴィアベルの言葉を遮り、豪快な笑い声が部屋に響いた。
「うるさいぞ、ヒューゲル!
貴様の笑い声は大きすぎて私の頭に響く!
もう少し音量を下げれないのか!」
ヒューゲルと呼ばれたその男は、獅子の顔を持つ。
その鬣は立派だ。
彼は5元素の一つ、土を操る。豪快にして豪傑。
戦になれば、先陣を切って切り込みに行く。そんな男だ。
ヴィアベルとヒューゲルは見ての通り正反対の性格をしている。
そのためかあまり仲は良くない…というか、ヴィアベルがあまりよく思っていないというところか。
「…さて、余談はここまでにしよう。
今日皆に集まってもらったのは他でもない。
我ら魔族の今後について話し合うためだ。」
私の声かけに、先ほどまで言い合いをしていた2人は話をやめ、こちらに視線を向ける。
さすがは領地を統治する者たちだ。
切り替えはしっかりとできているな。
…ちなみに言うと、私が2属性持ちと言うことで2つの領地を治めているはいるのだが、なにせ魔王としての仕事もありなかなか領地の統治ができないのが現状だ。
その為、アガルスにも協力してもらい領主代行をしてもらっている。
何から何まで本当にすまない。