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私、成功したようです。

「…そうか。女か…」


少し驚いたけど、安心している自分がいた。

人型になるのは成功…かな?

尻尾や角が生えてる感じもないし、一見普通の人間に見える。

これなら人間界に買い物しに行ってもバレなさそう…



「…そうだ!人間界にこの姿で行けばなんの問題もないではないか!

幸い魔力は無尽蔵。何かよっぽどのことがない限りこの魔法が解けることもないだろう!

よし、そうと決まれば…」



ウキウキと人間界に行く計画を立てていると、再度扉を叩く音がした。



「なんだ?アガルスか??

入って良いぞ!今私はすこぶる機嫌が良い!!」



はっはっは!と高笑いしていた私の耳に、「失礼します。」ガシャン!と、何かが落ちる音がした。

ん?何が落ちたんだろう?


振り返るとそこには顔を真っ赤にしたアガルスがいた。彼の足元には、砕けたカップが。あれ、あのカップ…アガルスが大事にしていたやつじゃなかったっけ?というか、なんでそんな真っ赤なの?




「どうしたアガルス?

なんだか顔が赤いようだが、もしや風邪か?

それに、その無残に砕け散ってしまったカップはお気に入りだったのでは…」



「な、な、な、な!!!!

なぜこの部屋に人間の女が?!」



女…?

そこで気づく。あ、人間の姿のままだった。と…




「アガルス、待て落ち着け。

私だ。ドラゴニカだ!」



「おのれ人間風情が!!ドラゴニカ様を語るとは恥知らずが!!消し去ってくれる!!!」



アガルスは何を血迷ったのか、例の氷槍を出現させ、私に向かってなんの戸惑いもなく投げてきた。

前世の私なら、驚いて腰を抜かしているところだろう。だがドラゴニカとしての私は違った。自分に向かって来る槍に向かい、手をかざす。するとその手から炎が出現し、氷槍は溶けて消えていた。



「そ、その魔力は…まさか、本当に…」


驚くアガルスに私はゆっくりと近づく。

するとアガルスは血の気の引いた顔で跪いた。


「も、申し訳ございません!!!我らが王に、よもや、手を挙げるなど…!!このアガルス、命を持って詫びる覚悟…!」


尋常じゃないほど震える彼の肩に、私はそっと手を置いた。



「良いのだ。私も軽率に人の姿をとったのが悪かった。よってこれは私にも罪がある。そなたの行動は不問とする。さぁ、顔をあげよ。」




「はっ、もったいなきお言葉!」




アガルスはそう答えるが、一向に顔を上げる気配がない。



「アガルス?」




「申し訳ありません、ドラゴニカ様。

その、貴方様の裸体は少々私には刺激が強く…できれば、お召し物を纏っていただきたいのでございます…!」



そこで気づく。あ、私、半裸やん…

突然羞恥心が襲って来る。そこからの私は早かった。クローゼットまで瞬時に移動すると、中に入っている身近な服を風の速さで纏った。

あ、人型も解いておこう。



「…すまない、アガルス。みっともないものを見せてしまったな。もう心配ない。顔をあげよ。」




「はっ!」



そう言って顔を上げたアガルスはいつもの私の姿を見るとホッと、息を吐いた。

よほど緊張していたようであった。なんだか申し訳ないことをしてしまったな。

自分の行いを見直そうと思った瞬間だった。

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