いざ人里へ!(3)
話していると宿屋についた。
アガルスが話をつけ、部屋を借りる。
「…ふむ。オススメと言うだけあってなかなかよい所だな。」
部屋に入りベッドに腰掛ける。
うむ。なかなかフワフワと柔らかい。これなら安眠できそうだな。
そんなことを考えていると、アガルスの様子がおかしいことに気づく。
「…?
どうしたアガルス。そんな端っこで縮こまって…」
「いえ、ドラゴニカ様…我が主人よ。
恐れ多くも、私は貴方様のところへ近づけません…」
「…は?」
何を言っているんだ。
心底理解できないと言う顔をするドラゴニカ。
そんな彼女の表情から、彼女が何を思っているのか汲み取ったのだろう。
アガルスは部屋の隅で跪いた。
「ご理解いただきたい!
主人よ。貴方様は本来、私のような一介の部下と共にこのように、ど、同室で泊まることは許されないお方なのですッ
現に、この手を見てくだされ…っ」
そう言って出されたアガルスの手は微かに震えていた。
「…何故、そんなに震えておるのだ…」
理解できず、問いかける。
するとアガルスはやっと顔を上げた。
「これは!喜びでございます!!
貴女様と共に旅路に着くことができて、ただでさえ私は感極まり、涙を流さずにはいられませんでした!
それなのに、よもやこのように同室で共に過ごすなどと…同じ部屋でですぞ?!
私を消滅させるおつもりでしょうか?!」
「それは仕方なかろう。
部屋はこの一室しか空いておらぬと宿主に言われたではないか。
アガルス。貴様が何か納得のいかぬことがあるのであれば、その意見を尊重しよう。
私は別に、どこで休むことになっても構わぬ。」
「違います。そう言うことではありませぬ!
貴女様は、私が神のように崇拝し、敬愛しているお方なのですよ!
そんな方と一緒の部屋で過ごすなど、私の身がもたないと言っているのです!」
最後は半ギレ気味に言われた。
「…よい。わかった。なら貴様がこの部屋を使え。
私は他のところで宿を取る。それならば問題あるまい。」
「だから、そういうことではないのですよォォオ!!!」
「あ、おい!アガルス!!」
アガルスは叫びながら、部屋を飛び出していった。
わからない。
なぜ彼がそんなに私を崇拝…否、神格化するのか。
それよりも、だ。
「… 探しに行かねば、だな」
ドラゴニカは小さく溜息を吐くと、アガルスの後を追った。




