分離選択episode2
前回のあらすじ
闇を抱えている高木君
分離選択 episode2
テスト返しが終わり教室は喧騒に包まれた。
まるで波のように人が押し返し、とりとめのない点数を聞きあっている。
「国語やったじゃん!」
さよこが褒めてきたが私は素直に喜べなかった
「数学赤点だったけどね…」
ぐさ
「そこは言わないでぇ…」
「ごめんごめん!」
さよこが笑いながら答える
「でも私なんか全教科平均点よりちょびっとだけ上よ、得意科目あるだけ羨ましいわぁ」
「得意っていうか…好きなだけよ?」
少しだけ謙遜した
「え?高木君??」
少しだけ勃然した
「もー!!知らない!」
「悪かったって唯」
続いてさよこがボソッと囁く
「でもこのままだとまずいんじゃないの、成績はともかくとしても高木君が…理系でしょ?」
「そうなのよ…ねぇ…」
高木君を追いかけて理系に…
…到底無理そう…かな…
帰りの会が終わると5月の夕日は徐々に傾きを始め、私の好きな時間になった。
「唯は部活入らないの?」
「…運動部って…ニガテ…」
別に運動は嫌いなわけじゃない。
玄関へ向かう一階への階段を下ると、下から書類を持った高木君が階段を上がってきた。
「…ょなら…」
何言ってんの私。
「あぁ、じゃあな」
少しだけ、照れた。
家に帰ると時計の針は7時を超えそうな所まで来ていた。
「寄り道、し過ぎちゃったかな」
鞄からガサゴソと放課後買った百人一首解説本をだした。昔の人なら、こんな時どうしただろう。…そもそも文理選択あるのかな…?細かいことは考えないようにした。
百人一首は半分以上恋の歌が選ばれている。
その中でも
「ぁ、これ私っぽいかな…」
わびぬれば 今はたおなじ 難波なる
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
意味だけを捉えれば、会えなければ死んでいるのも同じであり、それならいっそ難波のように身を尽くしてもいいので会いたい。
と言う歌だろう。
詠んだ人が平安随一のプレイボーイでなければ座右の銘にしたのに。な
ブックマーク家族に見られる夢を見ました。