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アンダーコア   作者: T.K.O
2/2

戦いの始まり

僕たちは絶望した。

今から命を摘み取られる事への恐怖と、人生がたった16年目で終えようとしてる事への失望で胸が一杯になった。

オーガブロックは200年前の大戦途中に宇宙から飛来し、人類文明の殆どを海の底へ沈めた。

目的、意思の有無、人類との対話の可能性、その全てが謎に包まれた鉱石生命体だ。

機械ではない。

世界で唯一オーガブロックの死骸を展示してある島がある。

「希望島」だ。

中学の修学旅行で行った時には、こんな奴が宇宙から降ってくるなんて思いもしてなかった。


「にっ、逃げないと…」

僕は右にいるはずの勇をみた。

勇は泡を吹いて気絶している。

「どうすれば…置いて行くわけにもいかないし…」

オーガブロックがこちらを見る。

ギリギリと石の擦れる様な音が響く。

10個ぐらいある翡翠色の瞳が輝く。

ああ…もう終わりだ…

そう諦めて目を閉じた。

オーガブロックが放つ怪光線で僕は骨まで溶かされて死ぬんだ…

そう思った。

だか、僕の体は健在。

勇も無事だった。

少し離れたところに落ちていた自転車はまるでチョコレートの様に溶けていた。


「なんだ…あれ⁉︎」

僕の目の前には巨人の様な物が立っていた。

巨人というか、アニメに出てきそうなロボットだ。

濃いサファイアの様な美しい青を基調とした、まるで海の様な色のロボットだ。

ロボットと呼んでいいのかどうかはわからない。

すると、巨人の背中からスポットライトの様な光が照らされる。

僕と勇はいつの間にか、狭い部屋の様なところに移された。

どうやら、このロボットの中の様だ。

「アナタハダレ?」

頭に声が響く。

「僕はユイだ。君が助けた弱い人間だ!」

僕は叫んでいた。

よくわからないけど、本能的に叫んでいた。

「ユイ、オカエリ」

そう聞こえた瞬間目の前が光、ロボットが見ているものが見えた。

ここはこのロボットのコクピットなのか。

よく見ればレバーやペダルの様な物もある。

僕は何も考えずにレバーを握る。

そして、ペダルを押し込んだ。

「お前達が何を考えてるのか僕にはわからない。

でも、これだけはわかる。」

僕はオーガブロックに向かって叫んだ。

「お前達は僕達の敵だ!」

そう叫ぶと、ロボットは背中のブースターの様な部分から光を放つ。

機体が勢いよく進むと、オーガブロックの顔面の右側に、ロボットの拳がめり込んでいた。

オーガブロックがよろける。

そして、左手の鋏をこっちに向けて振り払った。

しかし、左手の鋏は轟音を立て海に落ちる。

ロボットがビームの剣のような物を使ってオーガブロックの手を切ったからだ。

僕はとっさにレバーを捻り、機体を動かす。

ロボットがビームの剣を逆手に握り、オーガブロックの頭に突き刺した。

大量の火花を散らし、ビームの剣はオーガブロックに突き刺さる。

そして、オーガブロックはゆっくりと海に倒れた。


「はあ、はあ、はあ、倒した?僕が?オーガブロックを倒した?」

僕は訳が分からなくなっていた。

しかし、思考はすぐ現実に戻される。

目の前が明るくなる。

誰かに照らされているのだ。

「そこのロボット!聞こえるか?」

この声は信心島の防衛部隊の隊員の声だ。

目の前には防衛部隊のヘリがホバリングをしている。

「敵意がないなら両手を挙げさせてくれ。」

僕は声に従った。

その瞬間コクピットが開く。

「おや、第四集落高校の制服?」

防衛部隊の隊員は驚いていた。

当たり前だ。高校生が、こんな巨大なロボットを操り、オーガブロックを倒したのだから。

「詳しい話は基地で聞こう。そいつを動かして付いてきてくれ。」

防衛部隊の隊員は、そう言うとヘリを基地の方へ向けて動かした。


「なるほど、君達は帰宅途中にオーガブロックと遭遇。警報装置は起動しなかったと?」

「はい、いきなり海に落ちて、そこからの事はよく覚えていません。」

ここは、島防衛軍の軍施設内だ。

僕はここの会議室で、取り調べの様な物を受けている。

僕は正直に話した。覚えてないことも多かったけど、確かに覚えてるいる事は全て話した。

「君達の安全は保証させてもらう。ただ、あのロボットに関しては、調査したいからここに置かせてくれないか?」

隊員は膝をつきながらため息を吐いた。

「とは言っても、我々ではアレを動かすどころから起動させる事も出来ない。」

隊員は僕をジッと見る。

「おそらく、君の声か、バイオデータが起動のキーとなるはずだと我々は考えている。」

隊員は僕の手を握った。

「実験に協力してくれないか?なんなら貴重な青春の時間だ。実験に伴う拘束時間の対価は用意させてもらう。」

隊員は通信機か何かで人を呼び出した。

「そう言えば君の名前はなんだい?」

隊員は僕に尋ねた。

「あっ、ユイです。ユイ リーブスです。」

「ユイ リーブス…もしかして、アスカ リーブスの息子さんかね?」

隊員が母の名前を口にした。

そう、僕の母は軍関係の研究員だ。

それのおかけで生活に困窮することはないけど、母とは最近全く顔を合わせてない。

家に帰ってこれないのだ。

そう思っていると、会議室のドアが開く。

入口に立っていたのは母だ。

苦笑いを浮かべ、僕を見つめる。

「本当にこの子が動かしていたのね。」

母は呆れた様に隊員に話しかけた。

「ええ、驚きました。アスカさんのお子様とは、優秀な研究員の息子はロボットまで、操縦できるんですね。」

そう言うと隊員は笑い声を上げた。

何が面白いのか理解できない。

「ここは私に任せて、あなたは被害状況を確認してきて。過去最高レベルに抑えられてるけど、道路とか所々破損してるから。」

「了解しました。久しぶりの親子水入らずですので、私はこれにて。」

そう言うと隊員は、会議室から出て行った。

母とは顔を合わせるのはいつぶりだろう。

そう思ってると、

「半年ぶり…かしら?」

母も同じ事を思っていた様だ。

「まだそんなに経ってないよ。せいぜい、2〜3ヶ月じゃない?」

母はクスクスと笑った。

アジア系人種でも特に生き残った数が少ない日本人。

母は純血の日本人だ。

父は僕が小さい頃に何処かへ行った。

「まさか、アレを動かすなんてね。また、失敗して、父さんと同じ様になったらどうしようって思った。」

「えっ?父さんって生きてるんじゃないの?」

僕は驚いた。父は死んでいたのか?

「父さんは生きているわ。でも、あのロボット。アンダーコアの起動に失敗して、その責任を負わされて、希望島の収監施設にいるわ。」

そうだったのか。父はそんなところにいるのか…

「母さんね。まだ、ユイに黙っている事が1つあるの。」

そう母は唇を震わせながら話しだした。


続きます。

書き出すと修正点が多く浮かびなかなか次回が書けずにいました。

これからはちょこちょこ書いていきますけど、かなり不定期になると思います。

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