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アルヴァンスの世界  作者: ナルセ コガネ
2/6

山の少年 二

デクソンから魔力猟銃を受け継いでから半年。

アルゴーはいつものように狩りに出かけた。


狩りでは鹿や猪の他にも、魔獣であったり魔物を狩ったりする。

魔獣の代表としてヘリス(猪に似ている)がいる。魔物はゴブリンやオークがいる。

これらを狩る理由としては、森にある拠点や資源を荒らさせないようにするためだ。

ゴブリンは人に似た魔物で人が住めるような場所によく住み着こうとする。アルゴーが狩りに出かけている間にも一回だけ拠点を占拠されていた。

ヘリスやオークは普通の獣より食べる量が多い上に、鹿や猪も食べるのだ。気が付いたら山の獣がいなくなっていることもあるらしい。ちなみに美味しいらしい。

そのためこれらの魔獣、魔物も狩るのだ。


狩りを終え日が高くなり、昼食の準備をしているときにアルゴーはあることに気づく。

川のそばで10歳くらいの少女が倒れていた。

アルゴーは急いで少女を担ぎ、荷物をまとめて拠点まで走った。

そして夕食の準備をしているときに少女は目が覚めた。


「ぅう、ここは――」

「お、目が覚めたか。ここは、ワシの拠点だよ。」

「ワシ?おじいさんなの?」


少女はおかしなことを言う。

どこをどう見ればこの青年がおじいさんに見えるのか。


「何を言っている。ワシはまだ18だよ。」

「えっ、18?」


そう、アルゴーはまだ18歳だ。


「でもワシって」

「すまんな、ワシは昔からワシのことをワシと呼んでいる。」

「そ、そうなんだ...」

「ところで少女よ、お前はなんであんなところで倒れていたんだ?」

「倒れて...?あっ、お父さん!お母さん!」


少女はようやく落ち着いて何があったのかを話してくれた。

どうやら近くの町が魔物に襲われてこの少女―アマンダはここまで逃げてきたらしい。

聞くと目が見えないらしくて、川の音だけを頼りにあそこまで登ってきたらしい。

今すぐにでも町の様子が確認したいようだ。


「じゃあ見に行ってみる?」

「い、いえ、助けてもらったのにこれ以上迷惑をおかけする訳には」

「いいよ、今日の狩りは終えてあとは家の点検をするだけだったからね、それは後でやればいいさ」


そんなわけで無理やりアマンダを連れて町までやってきた。

自分で歩けるといっていたが、遅かったので抱えて移動した。なぜかとても恥ずかしがっていた。


「これは...」

「い、いったいどうなっているのですか!」


とても人の住める状況じゃなかった。

家々は壊され、人は死に、あたりは一面真っ赤だった。


「どうすればここまでひどいことができるのか...」


すると奥のほうから男の人が出てきた。


「アマンダ!どうして帰ってきたんだ!逃げろといっただろ!」

「おじさん!お父さんとお母さんは!」

「すまん...ロイとロゼは...」

「そんな...」


少女は泣き崩れてしまった。


「あの、何があったんですか?」


アルゴーは気になって聞いてみた。

すると昨日の晩、魔物の軍団が襲ってきて町は全滅。この人は地下にいて運よく助かったらしい。

朝になって外に出たらこの状況で、町のみんなの遺体を埋葬していたらしい。

その時にアマンダの父さんと母さんの遺体を発見したらしい。


「その時の魔物は?」

「朝にはもういなかったよ。何もなくなった町に用はなくなったんだろうさ...」


なぜだかアルゴーはとてもイライラした。

その相手が魔物なのか、この目の前のおじさんなのか、いつまでも腕の中で泣きじゃくっているアマンダに対してなのか。わからなかったが、とても魔物にぶつけたくなった。


「アマンダ、父さんと母さんの仇を討ちたいと思うかい?」

「あんた何言ってるんだ!アマンダにそんなことをさせるんじゃない!」

「アルゴーさん...あなたならできるの?私に仇を討たせてくれるの?」

「アマンダ!」

「わからない。ただ無性にイライラして、魔物をぶっ飛ばしたいと思った。だからついでにアマンダも仇を討つかい?」

「アルゴーさんがやるなら私もついていく。ここに居てもお父さんとお母さんは帰ってこない。だったら何かしているほうが私は気がしっかり持てる。」


アマンダはやる気になってくれたみたいだ。

後ろでうるさいおじさんを無視してワシたちは町から出た。


「改めてよろしくお願いします、アルゴーさん。私はアマンダ、目が見えないけど、足手まといにはならないようにします。」

「ワシはアルゴー。山で10年ぐらい過ごしている。もしかしたらそれ以上かもしれないけどな。野生で生きていく術ぐらいはある。とりあえず、家に帰って準備をしていいか?それにおなかも空いているだろう。」

「はい!これからよろしくお願いします!」


今日のところは家に帰って、ご飯にした。アマンダは何を食べているかわからないみたいだったから説明してあげた。


「これはヘリスの肉だ。きちんと処理すれば柔らくて美味しいんだ。」

「へぇ、アルゴーさんはほんとに山で過ごしていたんですね。」


そこから他愛ない話をして食事を済ませ、アマンダを先に寝かせたアルゴーは準備に取り掛かった。

数日分の食料、替えの衣服、アマンダが着れそうな衣服。デクソンから預かった魔力猟銃。昔、デクソンから貰った銀色のナイフ。それらを狩りに使う籠に入れて準備を終了した。

旅に出たアルゴーとアマンダです。

ここで一旦山の少年編は終了です。前回説明し忘れてましたが、今後アルゴーを「山の少年」、アマンダを「盲目の少女」と呼びます。称号です。

次話から盲目の少女目線になります。

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