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皆さん、こんにちは。
生徒会会計改め、生徒会長の田沼です。
気付けばこの地位に押し上げられていた。
食堂での騒動の次の日、臨時生徒総会が開かれ、俺以外の役員は全員リコールされた。いや、まさか全校生徒がリコールに賛成するとは思わなかった。さすがの会長たちも呆然としていた。
桐野先輩の手腕は見事で、口を挟む余地のない演説で、俺が会長に任命された。
吉田は、過去にも何度か同じような恋愛トラブルを起こしていたらしく(桐野先輩が調べ上げてた)、両親が性根を叩き直すと言って、退学させた(神崎が色々絡んでいたらしく、「このまま通わせて天音の側をうろうろしてほしくない」と言っていた)。
会長たちは、職務放棄やら何やらの
ペナルティーで停学処分となったが、停学明けから始まった針のむしろの如き生活に耐えきれず、自主退学していった。
そして、現在。
生徒会室で弁当を食べている俺の目の前では、ピンクな空気が生まれている。
「静稀、あーん」
「・・・・・・」
顔を赤くしながら、もぐもぐと弁当を食べる神崎と、それを見てにこにこしてる桐野先輩。
桐野先輩は引き続き風紀委員長をしている。現在は、神崎を口説いてる真っ最中らしい。あの時で既に付き合ってると思っていたが、ただ犬が飼い主にじゃれるようなものだった、とか何とか。
神崎は、何と生徒会書記を引き受けてくれた。人数が足りず、ダメ元で頼んだところ、あっさりOKをもらえたのだ。「友達の頼みだからね」とのこと。やっぱり、持つべき者は友達だ!
「愛してるよ、静稀」
「~~~~っ!!!」
これ以上ないくらい、真っ赤っかな神崎をすっぽり包み込むように抱きしめる桐野先輩。
ここ最近で見慣れた光景である。
神崎と桐野先輩両名にちょこちょこ恋愛相談されるのも、ここ最近の定番。ほぼ惚気なので、生温かい目で聞いている。
神崎は真正面からのアプローチに弱いらしく、固まってしまうし、桐野先輩は、ぐいぐい行くと見せかけ、肝心な所では止まってしまう。
進展しているようでしていない二人。
今日も俺はこの二人の変わりそうで変わらない関係性を見守っている。
本編はこれで完結です!
活動報告に後書きを掲載しています。