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ニート狐たちのフォックストロット  作者: ポテンティア=T.C
64/66

2.2-15 うみ?7

ザァァァァァ……


「「「…………」」」しょんぼり


「この中に――――雨女がおるのじゃ!」ちらっ


「…………」ぷるぷる


ルシアちゃんたちが到着しても、雨が止むことはなく……。

むしろ、彼女たちが近づくにつれて、天候は悪化していきました。


そして今の降水量は、1時間に5mm前後のかなり勢いのある雨。

皆さん、水着を付けているので、濡れてもまったく問題はありませんが、決して海水を楽しめる雰囲気ではなさそうです。


それでもまぁ――


「取ったどぉぉォォォォ!!」


海に潜って、何やら叫んでる海猫(?)や――


「あー、これ以上焦げなくてよかったー」


と、肌の色が濃いことを気にしていたサキュバス。

あるいは――


「雨だと涼しいですから、冷花も泳ごうと思うです」

「マリーは、雨でも晴れでも泳ぐです!」


雨を歓迎していたり、そもそも雨を気にしてなかった人たちなどなど……。

決して、憂鬱な空気が、その場を支配していた、というわけではなかったようです。


もちろん()()一部に――


「……全然、焦げない……」しょんぼり


と、雨の中、ビーチソファーに寝そべりながら空を眺めて、憂鬱そうな表情を浮かべている元魔王な雪女さんもいましたが……。

まぁ、彼女は色々と特殊なので、そっとしておいてあげましょう。


ちなみに。

それ以外の人たちが何をしていたのか、というと――


「黒部ダム、完成したかもだし?」

「佐久間ダムも完成しましたよ?もちろん、発電所付きです!」

「ダム穴も作ってみたんですけど……小さすぎて全然怖くない……」しょんぼり


といったように、僕の分身たちで作った大きなビーチパラソルの下で、砂遊び(?)をしていました。


なお、どうしてダムを作っているのかは不明です。

砂遊びと言えば、お城を作るのが普通だと思いますが……。

彼女たちに限った話で言えば、それよりもダム作りが流行っているのかもしれませんね。

まぁ、確かに、流れる水を堰き止めるのは、それだけで面白いですけど。


とまぁ、それは置いておいて。

ルシアちゃんや家主さん、それにアメさんの3人が到着したので、僕もテレサ様と一緒に、荷降ろしを手伝いに行こうと思います。


『お疲れ様ですルシアちゃん。僕も手伝いますよ?』カサカサ


「……ねぇ、ポテちゃん。その格好で手伝うのはどうかなぁ、って思うんだけど?」


『その格好?あぁ、僕の分身たちって、今、殆どが海中にいるんですよ。それで、人の姿を形作れるだけの分身たちを陸に上げたんですけど……今、ビーチパラソル化してるので、ここには最低限の分身たちしかいないですからね……』


もちろん、ビーチパラソルを分解すれば、人の姿に戻るのは簡単ですが……。

もしもそんなことをしたら、せっかく作ったダムが決壊しちゃうと思います。

決壊したところでどうってことはないダムですけど、イブちゃんたちに嫌われるのは避けたいので、今回それは無しです。


「んー、じゃぁとりあえず、本物の方のビーチパラソルを運んでもらって、ポテちゃんの身体を取り戻してから、本格的に手伝ってもらおっかなぁ?今は私たち以外に人が居ないから良いけど、もしも誰かに、今の姿のポテちゃんが手伝ってるのを見られたら……変な人たちだと思われちゃうかもしれないしね」


『そうですねー。分かりました。じゃぁ、主さん!僕に傘ください!』カサカサ


「…………」こくり


と、頷いてから、車から下ろしたビーチパラソルを、僕の分身たちの上に置こうとする主さん。

その際、彼女の表情が少し引き気味だったのは、やはり今の僕の姿に、抵抗感を感じていたからでしょうか。


ちなみに。

昆虫のような見た目の僕の姿が嫌いすぎて、いつも無意識の内に殺虫剤をこちらに向けてくるアメさんですが、今日は事情があって、殺虫剤を手にできなかったようです。

って言っても大それた理由があったわけではなく、荷物を持っていたので、単に両手が塞がっていただけなんですけど……。


あと、それ以外にも、もう一つ、理由がありました。


「……白状するのじゃ?”アメ”よ?お主、何か言いたいことがあるのではなかろうかの?」


テレサ様にイジられていたせいで、こちらに(かま)けている余裕が無かったみたいです。

ただ、いつまでもそのまま、というわけではなかったようですが。


「……ふっ。まさかお主、ワシが天候をどうにかしておるとでも……言いたいのかの?」にやり


「ほう?では、この雨は、アメのせいではない、と断言できるのかの?」


「……なら、証明してみせるが良い。ワシが雨を振らせておるという証拠を、の!トンチじゃ、トンチ」どや


「仕方ないのう……。のうのう、ユキ殿ユキ殿ー!ちょっと妾の代わりに、アメに質問してほs」


「ちょっ、テレサ!それはダメじゃ!ユキ殿はそっとしておいてあげるべきじゃ!」


「……ボクのこと呼びましたか……?」げっそり


「「…………」」ふるふる


ビーチベッドの上で上体を起こしたユキ様を前に、揃って首を振るテレサ様とアメさん。

2人とも、今の話題にユキ様を巻き込むのは、かなり残酷なことに気がついたようです。

なんと言ったって、今のユキ様は、ここに来た理由の大半を失っているのですから……。


それから2人は、話題を変えることにしたようです。


「しっかし、主は、本当に雨女なのじゃのう?」


「……否定はせん。これにはいくつか理由があってのう……」


「理由?主の名前かの?」


「それは関係無いぞ?”アメ”という名は、単に付けられた名でしか無いからのう」


「なら何なのじゃ?」


と、バーベキュー用の荷物を運びながら、質問するテレサ様。

すると、アメさんは、遠い視線を雨の降りしきる曇天へと向けながら、こう言いました。


「……前に、神通力の話はしたじゃろ?」


「うむ。ルシア嬢が手から稲荷寿司を出せるようになる、あの意味不明な力のことじゃろ?」


「その表現で間違ってはおらんが……まぁ良いか。実はのう……ワシの場合、しばらく神通力を使っておらんと、力が勝手に暴走するんじゃ。それが、雨という形になって、地に降り注ぐ、というわけじゃ」


「ふむ……なら、普段、何もイベントが無い時に、神通力を使って力を消費すれば良いのではなかろうかの?」


「意味もなく力を使うことなど、出来るはずがなかろう……。どうする?もしも、家の中で狐火が跳ね回るようなことがあったなら。そんなことがあったら……ワシは間違いなく、主殿に家を追い出されるじゃろうて……」


「他にも何か力の使いようはあるじゃろ……」


と、呆れたような表情を見せるテレサ様。

それに対し、アメさんが言い返さなかった――――いえ、言い返せなかったのは、前に僕たちに見せてくれたように、神通力の使いみちが”狐火”しか無かったから、でしょうか。


それからアメさんはしょんぼりとしたまま無言になるのですが……。

そんな彼女に対し、希望を与える人物が現れるのは、それからしばらく経ってからのことでした。



ここからは、テレサ様の活動報告にあったように、僕、ポテンティアが再開して書きます。

……って言っても、諸事情があって、またルシアちゃん視点に戻るんですけどね。

だって、帰り道……いえ。

何でもないです。


ところで。

話の内容が『ほたる?』と『うみ?』で全然違うのに、どうして同じナンバリングのままなのか……。

これ、変えるのが面倒くさかったから、って理由じゃないんですよ?

最初はうっかりだった、って可能性も否定は出来ないですけど……実はちゃんと理由があったりします。


その詳しい内容については、前述の通り、ルシアちゃんが書く予定ですが……んー……。

……もしかするとルシアちゃんじゃない人が書くかもしれないですね。

その辺は、乞うご期待、ってことで。


あー……。

早く書かないと夏が終わr……え?もう終わった?

またまたー。


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