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ニート狐たちのフォックストロット  作者: ポテンティア=T.C
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2.2-13 うみ?5

『どう?みんな着いた?』


『えぇ、着きましたよ?それも寸分違わずに、ね。流石はルシアちゃんです!』


『そっかぁ……。じゃぁ、もう寝るね?』


『いや、寝ちゃダメですって』


ポテちゃんからの連絡によると、当初の計画通り、みんな私の転移魔法で無事に目的地に到着したようです。


つまり、今度は私たちが、目的地に向かう番ですが――


「眠い……」


そう、すっごく眠いです。

朝なんて来なければいいのに……。

あー……アメちゃんの尻尾……頭を乗せて眠ったら、すっごく気持ちいいんだろうなぁ……。


「……これ、ルシア嬢?寝るなら鉄の馬車の中で寝がよい。ここで寝たら、主殿に迷惑がかかるぞ?」


「……うん。我慢する……」


幸い、何か準備する必要があるわけではなく……。

荷物は前日の内に車に詰め込んでおいたので、後は私たちが乗り込めばいいだけの話なんですけど…………眠いです。



というわけで、主さんの車に乗り込んで。

私たちも出発することになりました。

ちなみに、お姉ちゃん――ワルツお姉ちゃんは、今回も用事があって来れないとのこと。

残念ですけど仕方ありません。


車内での座席の配置ですが、私もアメちゃんも、後部座席に乗り込むことにしました。

私の場合は、助手席で眠って主さんに迷惑をかかっちゃうのを避けるため。

そしてアメちゃんの場合は――


「……こ、怖いゆえ、後ろで構わぬ……」


主さんの運転が怖い――のではなく、車に乗ることになれていないのか、見晴らしのいい助手席にはあまり乗りたくないみたいです。

アメちゃんって、意外に小心者かもしれません。


「あー……こんなところに、ふかふかとした黄色い枕が……」ぽふっ


「……これ、ルシア嬢?馬車の中で寝るために、わざわざ自分の枕を持ってきたんじゃろ?そっちは使わんのか?」


「こっちのほうが気持ちいいから……こっち使う!」


「まったく困った童じゃ……」


アメちゃんは普段、寝相の悪い私から逃げて、テレサちゃんのところで寝るので、なかなか尻尾を枕代わりに使わせてくれません。

なので、こうした移動の時間は、絶好の機会です。


というわけで、おやすみなさい……zzz。



「……んっ……」


「……ようやく起きたようじゃな?」


「…………おやすみ……zzz」


やっぱりアメちゃんの尻尾……最高です……。

私の尻尾も頭まで届けばいいのに……。


ちなみにテレサちゃんの尻尾は、私やアメちゃんの3倍増なので、もう、ふっかふかなんですけど……。

テレサちゃん尻尾って考えると、なんか……ちょっと嫌?


「これ……ルシア嬢。そろそろ、ワシの尻尾の感覚が無くなりそうじゃから、頭を退けてくれんかの?」


「あ、そっか……ごめんねアメちゃん。私の頭、重かったでしょ?」


「……お主、気づいてないのか?」


「え?何に?」


「…………何でもない」


そう言って、私の頭の下から、尻尾を引き上げるアメちゃん。

そんな彼女の尻尾が、まるで何かバンドのようなもので長い間締め付けていたように段差がついているのは……私の頭のせいじゃ無さそうです。

それに、なんとなく湿ってたような……。


「も、もしかして、私……無意識のうちに齧ってた?!」


「いや、それは流石になかったぞ?」


ということは……やっぱ、よだれかぁ……。

変な体勢で寝ると、よだれ、出ちゃいますよね。

ごめんね、アメちゃん……尻尾、汚しちゃって……。


その後でアメちゃんは何かを言おうとして、一旦は口を開いたのですが……。

何故かすぐに閉じちゃいました。

何かあったのかなぁ……まぁ、いっか。


「今、どのへん?」


「ワシには分からぬ……」


「あ、そっか。アメちゃん、こうして車で移動するのって、慣れてなかったもんね。静岡県とか初めてじゃないの?」


「徒歩でなら何度か来たことがあるが、鉄の馬車で移動するのは、今回が初めてじゃ。しっかし……人というものは恐ろしい生き物じゃ……。どこまでも切れ目なく続く石の道を、いつの間にどうやって造ったというのか……」


「そうだね。でも多分、一瞬で造ったわけじゃなくて、それなりの月日と手間暇を掛けて、ゆっくりと伸ばしていったんだと思うよ?」


「ふむ……ちりも積もれば、というやつか……」


そう言って、周囲の景色を眺めながら、感慨深げな表情を見せるアメちゃん。

そんなに景色が見たいなら、助手席に乗れば良かったのに……。


「それで……今どこなんですか?主さん」


「…………」


「え?沼津で高速を降りるどころ?」


「いや、絶対にそんなこと言ってないじゃろ……」


「そんなことないよ?ねー?主さん?」


「…………」こくり


「ほらね?」


「…………もう何がなんだか良く分からぬ……」


そう言って、呆れたような表情を浮かべるアメちゃん。

なんで分かんないのかなぁ……。

どうして皆、主さんが何を言わんとしているか分からないんだろ……。

確かに喋ってはいないけど、気配で分かると思うんだけどなぁ……。

……え?気配じゃ無理?

それはもう、訓練あるのみです。


ところで……。

私には一つ、とても気になることがありました。

ものすごく気になるというか……ちょっと困ったことになったというか……。


「ねえ、主さん。今日の降水確率、何パーセントだったっけ?」


「…………」


「だよね?私もゼロ、って見た気がするんだけど……」


そう。

出発したときには、真っ青な空が広がっていたはずなのに、私が眼を覚ますと、車の外を――


ザァァァァァァッ!!


――という、横殴りの雨が降っていました。

降水確率0%のはずなのに……。


「…………」ぷるぷる


「……ねぇ、アメちゃん。何で震えてるの?」


「わ、ワシは……ワシの名は”アメ”であって、雨女ではないのじゃ?」ぷるぷる


「「…………」」


どうやら原因は、この車に雨女が乗っていることだったみたいです……。

大丈夫かなぁ……テレサちゃんたち……。



ポテちゃんは先に移動しちゃったので、ここからは私、ルシアが、お送りします。


ていうか、夏……終わっちゃいそうですね……。

長い間、書けなくて、ごめんなさい……。

魔法で夏を伸ばすという手もあるんですけど、個人的には冬が好きなので……夏が終わってしまう前に急いで書いてしまおうと思います。


……でもすぐに書けるかなぁ……。

私も暇ってわけじゃないし……。

でも書かないと、先に進めないので……頑張って書きます!


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