2.1-08 ゆきおんなとおんせん?3
誤字を見つけたゆえ修正したのじゃ。
リサの存在を忘れておったゆえ、発言を追加したのじゃ?
『浴室』と書かれた扉を開けて、その向こうに行けば、温かな湯船が眼前いっぱいに広がっておる……!
……妾にもそう考えておった時期があったのじゃ。
いや、普通、温泉といったら、そういうものじゃろう?
ガラガラ……
「「「寒っ?!」」」
そのあまりの冷気に、妾とルシア嬢、それにイブ嬢は、思わず声を上げたのじゃ。
……冷凍庫。
きっとそう表現するのが適切ではなかろうかのう。
今は冬では無いはずなのじゃが……いや、そもそも屋内じゃし。
それから寒さに我慢しつつ、浴室へと入る妾たち。
じゃが、そこに広がっておる光景を目の当たりにして、思わず愕然としてしまったのじゃ。
「「「なに……これ……」」」
お、おかしいのう。
風呂というものは、本来、温かなお湯が湯船に溜まっておる、というもののはずなのじゃ。
じゃが、妾の眼がおかしいのじゃろうか。
どう見ても、風呂いっぱいに半透明の固体が詰まっておるようにしか見えないのじゃ。
……氷が、の。
するとのう。
「すみません、皆さん……。冷花ちゃんがお風呂に入ったら……」
「あ、熱すぎるのは嫌です!」ぐすっ
「……って言って、凍らせちゃったんですよ……。お風呂の水……」
先に入っておったユキ殿が、泣きじゃくる冷花嬢を連れて、入り口近くにあったシャワーの所まで戻ってきた来たのじゃ。
どうやら冷花嬢が、その有り余る魔力(?)を暴発させてしまったようなのじゃ。
これでは、仕方ないのう。
しっかし、ユキ殿はすごいのじゃ。
流石は、冷気を司る元魔王なのじゃ?
身体を洗って濡れたところで冷花殿が暴発したせいか、全身につららが付いて凍っておる……。
なのに、寒そうな素振りがまったく無いのじゃ。
サイボーグになったとて、寒いのには変わらぬはずなのじゃがのう。
「フェックション!んあー。うむ……。これは困ったのじゃ……」
このまま放っておくと、風邪を引いてしまいそうなのじゃ。
こんな身体になっても、風邪は引くからのう……。
あ、ちなみに、どんな身体なのかは、ネタバレになるゆえ、本編の方で確認してほしいのじゃ?
それはそうと……。
先に入った主殿たちは、いったいどこに行ったのじゃろうかのう?
それが気になったゆえ、事情を知っていそうなユキ殿に、聞いてみたのじゃ。
「のう、ユキ殿?主殿たちがどこに行ったのか、お主は知らぬかの?」
すると、殆ど冷水に近いぬるま湯のシャワーを使って、自身の身体を解凍をしつつ、冷花嬢のことも洗い初めておったユキ殿は、こう答えたのじゃ。
「主様やユリアたちなら、露天風呂の方へ行きましたよ?内湯の方は全滅していますので……。あ、ちなみに、テラ様は、そこの浴槽で凍ってます。逃げ遅れたみたいですね」
「…………」カチーン
「……うむ。あれは……死んでおるの」
「……うん、そうだね。お客さんが私たちの他に居なくてよかったね」
「テラちゃん……短い付き合いだったかもだね」
「うぅ、寒いのじゃ。さっさと身体を洗って、外に出るのじゃ?」
こうして妾たちは、隣家の家主であるテラ殿を冷凍温泉に放置して、寒さを我慢しつつ、いつもどおり身体を洗ってから、露天風呂に行くことにしたのじゃ。
まぁ、主殿の姉ゆえ、問題は無かろう……多分の。
◇
そしてやって来た露天風呂は、確かに凍っておらず、モクモクと湯気を上げておったのじゃ。
うむ。
妾たちが求めておったのは、この光景なのじゃ。
そんな露天風呂には、岩を積み重ねてできた高い壁があって……。
岩の隙間からお湯が滲み出て来てくる、という作りになっておったのじゃ。
これが本物の岩風呂なら、岩がいつ崩れてくるのか分からず、冷や汗をかきながら風呂に浸からねばならぬ、なんてことになるのかも知れぬのう。
じゃが、幸いというべきか、あるいは残念というべきか。
岩は人工的に重ねられたもので、隙間がコンクリートで固定されておるゆえ、まず崩れてくることは無いのじゃ。
ちなみに、壁がある場所と湯船を挟んで反対側には、休憩スペースがあるゆえ、のぼせそうになったらそこで休めるのじゃ。
長湯をする者たちのための配慮、といったところかのう。
で、主殿と狩人殿、ユリア、シルビア、リサ、それにアメは、そこで湯船に浸かりながら、まったりとしておったのじゃ。
じゃから、妾たちも、そこにお邪魔するのじゃ?
「うぅ……寒ッ……」さぶざぶ「ふわぁ〜……」
「イブ嬢が溶けてしまったのじゃ……」ざぶざぶ「ふわぁ〜……」
「テレサちゃんも溶けてるよね……」ざぶざぶ「ふわぁ〜……」
と、連続で溶ける3人。
冷えた身体を急速に温めてくれるこの温泉……。
むしろ、溶けぬほうが難しいのじゃ。
そんな浴槽にいた先客5人たちは、妾たちが入った時点で、こんなやり取りをしておったのじゃ。
「ホント、極楽ですよね……先輩」
「うん。そうね……。でも私たちこんなところで温まってて良いのかしら……。ユキ様、大変そうだけど……」
「まぁ、良いんじゃないか?本人が、先に行っててくれ、って行ってたわけだし……」
「そうじゃのう。後で埋め合わせできることを、今のうちに何か考えておくと良いじゃろうて」
「…………」こくこく
要するに、皆、冷花嬢と、彼女に付きそうユキ殿のことで、頭を悩ませていたのじゃ。
じゃが、ユリアたちに、何処か慣れたような雰囲気があるのは気のせいじゃろうか。
いつもなら、『ユキ様のためならたとえ火の中、氷の中!』などと、わけの分からぬことを言っておるはずじゃからのう。
「のう、ユリアたちよ?もしや……主らの家の中でも、冷花嬢はあんな感じなのかの?」
「いえ、そういうわけではないですよ?冷花ちゃん、基本的にはいい子ですからね」
「後輩ちゃんの言う通り、彼女、普段はいい子なんですが……」
「そうですね……ちょっと問題が無いわけでもないですね……」
そう言って、口ごもるユリアとシルビア、それにリサ。
何やら3人とも、言いにくいことがあるようじゃのう。
それが分かったのか、ルシア嬢が問いかけたのじゃ。
「たまに、力が暴走しちゃうんだね?」
「「はい……」」
「冷花ちゃん自身もそれには悩んでるみたいですが、粗相のようなものなので、今はどうにもならないみたいです……」
「そっかぁ……。冷花ちゃん、日本全国を雪景色に変えるくらい、大っきな力を持ってるからね……。なんとなくだけど、冷花ちゃんの気持ち、分かるかなぁー……」
と、冷花嬢と出会ったときのことを思い出しておる様子のルシア嬢。
強大な力を持つルシア嬢だからこそ、冷花嬢のことを理解できるのじゃろうのう……。
前回の更新から、随分と時間が開いてしまったのじゃ……。
本編も書きながら、並列にこちらも書くというのは、中々に大変なことなのじゃ。
まぁ、それも、土日くらいならどうにかなりそうじゃったから、こうして久しぶりに更新してみたのじゃがの?
なのに、文量が少ない……。
内容も薄い……。
もうダメかも知れぬ……。
なお、本編の書き方のスタイルに合わせて、段落の切り替わりで『◇』を使うことにしたのじゃ。
今後も、本編の変化に追従する形で、変化していく、かも知れぬのじゃ?
その点、ご理解いただけると幸いなのじゃ。




