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ニート狐たちのフォックストロット  作者: ポテンティア=T.C
37/66

2.0-06 いじょうきしょう?6

というわけで……


チーン!


「はい、どうぞ?」


冷凍していた余りのご飯を解凍して、お腹が減ったと言う小さな方の雪女ちゃんにあげてみました。

……もちろん、スパイスは掛けていないです。

あんな毒物、ユキちゃんに好んで食べる人なんて、絶対にいないと断言できますからね……。

どうして食べ物として売ってるのかは、知りませんけど。


食卓に座った雪女ちゃんは、私が差し出したご飯を、普通に箸を使って……


「……はむっ」


と、食べました。

……それ自体には特に変わったことは無かったはずなのに……


『おぉ……』


と声を上げてしまう私、他2名。

どうして声を上げたのか、って聞かれても……なんか、嬉しくなっちゃったから、としか答えられないですよ?


そんな中、アメちゃんだけが、厳しい顔で、まだ警戒しているようでした。

雪女ちゃんの見た目だけを信じるなら、単なる子どもにしか見えないのですが、彼女の本性を知っているらしいアメちゃんにとっては、もしかすると今にも破裂しそうな爆弾か何かに見えているのかもしれません。


ちなみに、テレサちゃんですが……お風呂の方から『圧力鍋の歌 feat.テレサ』が聞こえてくるところをみると、まだ入浴を楽しんでいるようです。

さっきまで外が寒かったので、身体が冷えちゃったのかもしれませんね。

頭がおかしくなったのも、身体が冷え……ううん、平常運転です。


……さて。

雪女ちゃんに出したのは、何も白いご飯だけは無かったんです。

流石に小さい子供に対して、白いご飯だけ食べさせるのは忍びなかったので……主さんの好物の『たくあん』とか言う大根の漬物も出しました。

ついに、お茶も、です。

……え?ぶぶ漬け?

なんですか?それ。


まぁ、出したご飯に含まれていた副音声についてはさておいて。

お腹いっぱいに白いご飯を食べ終えた雪女ちゃんに対して、どうして家の前の道路で倒れていたのかについて、早速、問いかけてみようと思います。


「ねぇ、お嬢ちゃん?」


「……?」


「お嬢ちゃんは、どこから来たのか覚えてる?」


「…………」ふるふる


これは、もしかすると……少し面倒なことになるかもしれません。

このパターン、まともな展開にならない気がするんですよね……。


「……じゃぁ、貴女のお名前は?」


「…………?」


そして考えこむ雪女ちゃん……。

もうこれは…………。


と、私が、人知れず、心の中で垂れ下がってくる重い頭を抱えていると……


「これ、雪女よ!演技は、もう止めよ!」


小さいながらも、威圧感のある声で、アメちゃんが言いました。

ドスの利いた声、と言えばいいでしょうか。


「……?!」


その結果……当然、泣きそうになる雪女ちゃん。

彼女が嘘を付いているのかどうか……ちょっと私には判断が付けられないです……。


それから、今にも泣きそうな雪女ちゃんと、彼女に対して鋭い視線を向けていたアメちゃんに対して、私とユキちゃんとユリアお姉ちゃんが、何と声を掛けていいのか悩んでいると……


「……何じゃ?この空気……。上機嫌で風呂から上がってみたら、辛気臭い雰囲気とはのう……。困ったものじゃ。まーた、ユキ殿が激辛スパイスを一気飲みして、雪女嬢を泣かせたのじゃな?」


テレサちゃんが、お風呂から戻ってきました。

彼女の言葉で言うなら……ホクホクな狐になった、といったところでしょうか。


まぁ、イジられた対象のユキちゃんは、ホクホクではなかったようですが……。


「ち、違いますよ!人聞きの悪い……。アメ様が、拾ってきた女の子に対して、折檻していただけです!」


「よっぽど、そっちの方が、人聞きの悪い言い方じゃと思うのじゃが……」


それから、テレサちゃんは、小さく溜息を吐くと、アメちゃんと雪女ちゃんとの間に入って、事情を問いかけます。


「で、何があったのじゃ?」


「此奴が、狐を被っておるのじゃ!」


狩人(ねこ)、では無いのじゃな……」


という短いやり取りで、アメちゃんの言いたいことを察した様子のテレサちゃん。

さすがは、毎朝、アメちゃんの抱きまくらになっているだけのことはあります。


「……ルシア嬢?今、絶対、失礼なことを考えたじゃろ?」


「テレサちゃん、テレサちゃん?早速、雪女ちゃんにどうして来たのかって問いかけてみてよ?このままだと、雪女ちゃん、ちょっとかわいそうだよね……」


……最近、テレサちゃんが鋭いので、話題はさっさと替えるに限ります。

それも、拒否できない形で、です。

なんか、ユリアお姉ちゃんも近いようなことを言っていたようですが、彼女はまだまだ修行が足りないと思います。


「う、うむ……仕方ないのう」


そう言うとテレサちゃんは、俯いてヒックヒックと嗚咽を始めた雪女ちゃんの前にしゃがみ込むと……


「雪女嬢よ……『主は何をするために、ここに来たのじゃ?』」


1日に3回しか使えない最強の魔法である『支配魔法』を行使したんです。

以前にも説明しましたが、この魔法の影響を受けた者や物理現象は、全てがテレサちゃんの思い通りになって、逆らうことができなくなります。

……って言っても、オートスペルによって魔力的に守られてる私や、魔法自体を無効化できるカタリナお姉ちゃん、それにどういうわけかアメちゃんやワルツお姉ちゃん、さらには主さんにも効かないので、万能というわけではないですけどね。

むしろ、ポンコツ魔法って言っても過言ではないと思います。


ただ……雪女ちゃんには効果があったようです。

たとえ記憶が無くなっていようとも、そこに物質として情報を蓄える構造体……例えば脳やストレージデバイスの断片があるだけで、少し壊れていても無理矢理に情報を引き出せるんですから、ある意味、残酷な魔法ですよね……。


その結果、雪女ちゃんは不自然に泣き止むと、ここに来た理由を口にし始めました。


「……おなかがへってたですから」


『……は?』


……どうやら、雪女ちゃんは、お腹が減ったから……この近くを通りがかった、という訳らしいです。

詳しい事情はよく分かりませんが、どうやら彼女は、無理矢理に雪と雪雲を消し去った私や、なにやら『気配』が出ているというアメちゃんのことを探しに来た、というわけではないようですね。

っていうか、この子……本当に雪女なんでしょうか?

……残念でした(?)。

解凍されたのは雪女ちゃんの方ではなく、ご飯の方でしたね。

でも実は……前回の次回予告の話は、終わってなかったりします。

……って言っても、前回の予告が、今回語られる、ってわけではないんですけどね。

だって、テレサちゃんが始めたこの適当予告は……本当に適当なだけの駄文なんですから。


という、どうでもいい話は、キッチンの横にある生ごみバケツの中にでも置いておいて。

今日の分の補足をしようと思います。


……無いです。

なんかあるかなぁ、って探してみたんですけど、余計なことを書くと、次回書くネタが無くなるので止めておこうと思います。

本当、テレサちゃんは、『駄文』とか言ってたくさん余計なことを書いているけど、良くネタがつきないなぁ、って感心しちゃいますね……。


というわけで。

次回、『なんか部屋の中に、影の薄い人がいるみたいだけど……誰だろうね?』乞うご期待!です。

だって……ユリアお姉ちゃんが話す機会もタイミングも無いんだもん……。

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