表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニート狐たちのフォックストロット  作者: ポテンティア=T.C
21/66

1-20 ひなまつり?5

ところで……。

テレサちゃんがいなくなったことで、食事を早めに切り上げたのには、実は理由がありました。

まさか、テレサちゃんがいなくなっただけで、私が大好きないなり寿司を食べる手を止めるわけが無いじゃないですか。


ではどんな理由があったのかというと……


「……この辺に作ればいいかなぁ……」


テレサちゃんの部屋に、ひな壇を飾るためです。

居間だと主さん()()に迷惑がかかるし、私の部屋だと本棚でいっぱいなので、なんかよく分かんないガラクタだらけのテレサちゃんの部屋なら、片つければどうにか置けるかなぁ、って思ったんですよね。


「アメちゃん?ちょっとそこの荷物退けてくれる?」


私はひな壇の土台を組み立てるのに意識を集中していたので、それ以外の片付けをアメちゃんに頼みました。

するとアメちゃんは、部屋の中にあったガラクタを手にしたまま……立ち止まりました。


「これは……なんぞや?見たことの無いシロモノじゃが……」


アメちゃんが手に持ったそれは…………本編が展開するまでもう暫く口には出せませんが、テレサちゃんがこの世界にきてもずっと一人で作り続けていたものの部品でした。

それを作るためだけに、計算式を覚えたり、工作機械の使い方を覚えたり、コンピュータのプログラムの作り方や、モータの使い方を覚えたり……。

普段は、単に物語を書いていて、運動不足気味に見えるテレサちゃんですけど、多分影では、私なんかよりもずっと努力しているんだと思います。

いつかテレサちゃんの努力が報われる日が来るといいんですけどね……。


「それは……壊さないように、そのままダンボールの中に置いといてあげて?テレサちゃんの大切なモノだから」


「ふむ……。この透明な薄い皮のようなものに包まれた物がテレサの大切なもの……」


私の言葉を受けて、アメちゃんはそう呟きながら、手に持っていたソレを元の場所へと戻しました。


「では、この箱をそのまま横にズラせばよいのじゃな?」


「そうそう。ほとんどガラクタなんだけど、中にはさっきみたいに大切なものが入ってるみたいだから注意してね?」


「うむ。相分った」


ガラガラガラ……


少々乱暴気味に、ダンボールの位置をずらしていくアメちゃん……。

……テレサちゃんの夢は多分……その程度で壊れないはずです。




トントントン……


突貫工事で、ひな壇の設置は続いていきます。

土台の棚が完成したら、その上に赤い布を張って、画鋲で固定。

そして、主さんがくれた金色の飾りを、教わった通りの場所に置いていきます。


「……ルシアよ?30分経ったぞ?」


「うん、ありがと。もう少しだから……」


……どうして2人が時間を気にしているか?

それはもちろん、テレサちゃんがお風呂から上がってくる前に、作業を終えたかったからです。


これまでの計測で、オートスペルの発動開始から、テレサちゃんがお風呂を上がるまで平均して44分23秒。

実験開始当初に、ずぶ濡れのままでお風呂から上がってきた時のようなイレギュラーを除くなら、最速値が39分といったところでしょうか。

つまり、あと9分は作業に余裕があるはずです。

最悪、間に合わなかった場合は、アメちゃんがテレサちゃんの足止めをすることになっています。


……やっぱり、サプライズっていうのは、急に起こるから驚く物ですよね。


「おっけー。あとは人形だけだね」


ようやく飾り付けが終わりました。

次は作った人形を飾っていくだけです。


作った雛人形は10体。

五人囃子に三人官女、そして内裏雛。

本当は上から順に飾っていくべきだと思うんですけど、手元にあった雛人形が五人囃子だったので、そこから飾っていこうと思います。


「まずは……太鼓!」


と言って、私が最初に手にとったのは太鼓……を持ったサキュバスのお人形です。

……もう誰がモデルなのかは分かりますよね?

諸事情があって、誰が五人囃子の何の役割をしているかについては説明できませんが、ここに並んでいるのは……

・ユリアお姉ちゃん

・カタリナお姉ちゃん

・狩人さん

・水竜お姉ちゃん

・ユキちゃん

この5人です。


それぞれに特徴があって……ちゃんと獣耳と尻尾が生えてるんですよ?

ちなみに頭の部分を作ったのは、私ではありません。

狩人さんと一緒に向かいに住んでいるシラヌイちゃんです。


さすがシラヌイちゃん。

手先の器用さでは勝てる気がしません。

こんなに小さいのに眼球が動くなんて……はっきり言って、気持ちわ…………いえ、作ってもらったので文句は言えないですね。


それで、次です。

三人官女は、

・テンポ

・コルちゃん

・ストレラちゃん

このホムンクルス3人です。

やっぱり、黒髪のテンポのお人形が一番まともですね。

まるで買ってきたみたいなお人形です。

……でも、この髪質……なんか本物を使ってそうな…………きっと気のせいですね。


後、この中で気になるのはコルちゃんのことでしょうか。

なんかコルちゃん……テレサちゃんと違って、ちゃんと成長してるんですよね……。

同じ体細胞を使っているはずなのに、成長して背が大っきくなって、胸もおっきくなって……グラマラスになっていくコルちゃん。

……なんか、テレサちゃんが可哀想です……。


……だから……ひな壇の一番上にいるお姫様よりも、三人官女の真ん中のお人形さんのほうが立派なんです……。

……そう。

実は、一番上にいたお人形さんの内、お姫様のモデルはテレサちゃんなんですよ。


……でもダメですよ?

雛人形の中で、お姫様が一番貧相だとか思ったら。

こう見えても、シラヌイちゃんが必死になって、バランスを取ろうとしたんですから。

中身を作った私も大変だったんです。


テレサちゃんのお人形を立派にすると、必然的に周りのお人形も立派にせざるを得ない。

逆に、周りの人形を普通に作ると、テレサちゃんの人形を貧相に作らざるを得ない……。

……言葉には言い表せないほどの、不毛なジレンマです……。


結局、テレサちゃんの人形を違和感のない程度に立派にして、なおかつ他のお人形をあまり目立たないようにする……そんな感じで落ち着きました。

雛人形を作るのって……大変ですね……。


……え?

お殿様は誰か?


それはもちろん…………あれ?

そういえば、このひな壇、女の子しかいない……。

……まいっか。


「……ルシア!そろそろじゃぞ?」


「おっけー。ちょうど全部終わったよ!戻ろっか」


「うむ」


37分を経過したところで、アメちゃんから声が掛かりました。

時間的にはちょうどよかったみたいです。


……流石は、練習しただけのことはありましたね。

って言っても、本番はこれからなんですけど……。

朝に書く、っていうのも悪くないかもしれませんね。

眠い状態で書くのはあまり良いとはいえませんが、朝に書いても夜に書いても眠いことに変わりがないなら、朝のほうがどちらかというと頭の中がスッキリしていて書きやすいのかもしれません。


さて、補足です。

本編でネタが取り上げられるまで、詳しいことが書けないのが辛いですけど、テレサちゃんの件については、1ヶ月以内に書くことができるようになる……はずです。

……お願いだから、早く話を進めてくれないかなぁ……テレサちゃん。


あとは、お内裏様が誰なのかなんですけど、それは次回の話で分かると思います。

……言わなくても分かりますよね?

……癪に障りますけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ