青春だより 6回目の青春
翔は、その場で固まってしまった。
動こうとしても体が言うことを聞いてくれない。
翔は、真子たちのほうをじっと見た。
すると、真子が翔の視線に気が付き翔のほうを見て、おびえたような顔になる。
真子が連に何かを言った。
翔は、やっと動くようになった重たい体を引きずり、真子に近づく。
真子が、いっそうおびえた表情になり、連の後ろに半分隠れる。
感情的な翔にしては珍しく、冷たく静かに言い放つ。
「真子、おまえ用事があるっていったよな。それはこいつと帰るためかよ。」
「しょ、翔くん…これはその…」
「あのさ、俺の何がいやなの?」
翔は連のほうに向き直る。
「で?連、お前はなんで俺の真子と帰ってんだァ?」
「は?何俺の真子とか言っちゃってんの?真子の気持ちも知らないくせに。そんなことよく言えたね。」
ガッ
鈍い音がした。
翔が連を殴った音。
真子が目を伏せる
「調子に乗ってんじゃねーよ。」
表情とは裏腹に冷たい声で翔が言う。
「で、真子は俺と連のどっちがすきなの?」
「…。」
「もういいよ。真子はそんなやつだったんだね。見損なったよ。」
翔は、捨て台詞を放つと共に、走り去っていった。
「あ、待って…。翔く…。」
「真子、あんなやつのことはほっとけよ。」
「連…。でもっ…。」