青春だより 4回目の青春
「うん…。」
「おまえさぁ、最近元気ないぞ?」
「うん…。」
翔が行った後、校内五大美人で銀の親衛隊の一人、由華と、何人かの女子たちが真子の机に来た。
バンッ
由華が真子の机を叩く。
「ちょっとあなた、転校生なのに調子乗らないでよ!」
「そうよ。どうやって翔くんにとりいったのかしら。」
「す、すみません。」
「あなた翔くんとどういうかんけ…」
「やめろよ!」
真子が大きな声におどろき振り返ると、そこには翔がたっていた。
「翔くん…。」
連は…
真子は連を目で探した。
連は教室にいなかった。
由華がおどろいて、口を開く。
「しょ、翔くん。こ、これはちがうのよ。」
「言い訳なんてどうでもいい。ただ、真子をいじめるやつは許さない。」
翔のそのせりふに、教室から「ひゅーひゅー」と歓声が上がる。
由華と何人かの女子たちは、悔しそうに真子の机から離れた。
「なっ?言っただろ。おれが真子を守る。」
「う、うん。ありがとう。でももうちょっと考えさせて。」
「わかった…。いい返事、期待してるからな。」
翔が教室から出て行くと、真子は大きなため息をついた。
これで、連のことを翔に話すのは完全に不可能になった。
真子が翔に助けてもらったことで、真子と翔の仲は教室中に知れ渡ったはずだ。
おしゃべりな子達の口コミなどで、話に背びれや尾びれが付き、学年中、いや、全校中に知れ渡るのはそう遅くないだろう。
真子が深く悩んでいると真子の周りにたくさんの女子たちが顔を輝かせて集まってきた。
「翔くんと仲がいいなんてあこがれるぅ~。」
「うちらと友達になんない?」
「ねえねえ、メアド交換しようよ。」
などと、口々に言う。
真子はあきれた。
さっきまで私のことを白い目で見てたのはなんだったんだよ、と思った。
もちろん真子は、全員の申し出を丁寧に断った。
その女子たちが、真子のことを、翔に近づくための道具としか思っていないのは態度でわかったし、翔と仲良くしなくなったら、手のひらを返したように去っていくことも分かっていたからだ。