青春だより 3回目の青春
「…。」
「…。」
翔の視線の先にいたのは忘れもしない真子だった。
「…おまえ真子か?」
「翔君久しぶり。あのね、言いにくいことがあ…。」
翔は、真子の話をさえぎって話を続けた。
「まじで真子かよ。久しぶりじゃん。すっげー嬉しい。おれ、家かえって親に伝えてくる。」
「えっ、ちょっとまってよ…。」
翔は、真子の言葉を聞かずに走り去っていった。
真子は翔の後姿を見送りながら、大きなため息をついた。
実は、真子には彼氏が出来ていた。
西蘭高校に通っている、宮木連だ。
そのことを、“暫定”彼氏だった、翔に伝えようとしたのだが、無理だった。
家に帰ると真子は、頭痛がしてくるほど考えた。
翔に連のことを伝えるべきか、そうではないか。
伝えたほうがいいのか、だまっておいたほうがいいのか。
考えた末、真子は翔に連のことを話すことにした。
バックの中からケータイを出し、電話帳から翔の名前を探しクリックする。
プルルルルルルルル プルルルルルルルル プルルルルルルルルル
無機質な機械音が真子の耳に響く。
ただいま電話に出ることが出来ません。ピーッという…
翔はでない。
もう一度かけなおしたが、やっぱり翔は出なかった。
少々後ろめたさはあったものの、結局真子は、翔に連のことを伝えるのをあきら
めた。
次の日、真子は西蘭高校に転校した。
翔はいつになく嬉しそうだ。
真子は複雑な心境だった。
真子の教室、2-Aには、翔と連がいる。
真子は、もし翔に連のことがばれたら…と、心配だった。
翔と連は犬猿の仲だ。
2人の間に流れる空気がそれを物語っている。
真子がいろいろと考え事をしていると、ふいに後ろに翔がたっていた。
「しょ、翔くん…。どうしたの?」
「このクラスのやつらにおまえのこと彼女って紹介していいか?」
「ちょっとまってよ、そんなことしたら、あたし女の子たちにいじめられちゃうよ?」
「心配すんな。おれが守ってやる。」
「えっ、でもぉ…。」
「おれに守られるのがいやなのか?」
「それはちがうけど…。」
「…そこまでいうならやめといてやる。」