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青春だより 2回目の青春
彼は、幼い頃に両思いの女の子がいたのだ。彼女の名は山村真子。真子は特別かわいい訳でもなかったが、包容力があり、初めて翔が心を許した女の子だった。
しかし彼女は、小学2年のときに、遠くに転校した。あの時のことはまだおぼえている。
「翔くん、私遠くに転校することになったの…。」
「はァ!?」
「わたし翔くんと仲良くしてたじゃない?だから周りの女の子にいじめられてたの。」
「それをおれに言えば俺が何とかしたのに!!」
「でも、もういいの。お父さんが転勤するっていうのもあるし。」
「真子、お前が遠くに行っておれのこと忘れたりしたら許さねぇからな!」
「やっといつもの翔になった。」
「・・・。」
「私とひとつ約束してくれない?」
「・・・。」
「10年たったら必ずこっちに帰ってくるから。」
「そしたら、付き合おうよ。」
「絶対だぞ!」
「うん。」
「なんか、マジでさびしいんだけど。」
「そうだね。」
翔が、“あの時のこと„を思い出していると、ふいに後ろから肩をたたかれた。
「翔くん、わたしのこと覚えてる?」