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あなたには赤い薔薇が似合うんだ
髪の毛を滑っていく指。
頬に冷たく柔らかな感触。
ねえ、起きて?
そんな愛しげな声にようやく目を覚ます。
見上げた先には、優しげに曲げられた唇。
紡がれた言の葉はまるで水銀のよう。
愛と一緒に致死量の毒をもたらすのは、そう。
愛しいあなた。
愛しい愛しい、僕だけの存在。
とても我儘で、とびきり優しくて。
力強くて、繊細で。
醜いけれど美しい。
矛盾を着こなす誇らしいあなたには。
血染めのように赤い、真紅の薔薇が似合いそうだね。