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異世界の愚か『もの』 ~世界よ変われ~  作者: ahahaha
初めての異世界 ~楽しき満たされぬ日々~
9/84

9話 この世界について

皆様のご協力のおかげで総合評価が100を突破しました!

これからもよろしくお願いします。

それと、お時間があれば文章・ストーリー評価+感想をください!

励みになります。

今回で魔法の解説する予定だったんですが、次回に持ち越しになってしまいました・・・

―――side クルス


クリミル王国は農作物を主要生産物とした自然豊かな国だった。

僕はそこの公爵家の長男として生まれた。

基本的にのどかで、国土の多くを平地に恵まれているため見通しが良く、魔獣が現れても対処しやすく平和そのものだった。

そんな国で育ったせいか、僕は争い事が嫌いでいつもエルス姉さんに頼っていたと思う。

姉さんは王国の中で有数の水の魔導士で、とても強かった。

他の国から平和ボケと揶揄される国の人間にも関わらず、その強さから他国からの勧誘が、そしてその容姿から縁談が絶えない程で、僕の自慢であり憧れだった。

争い事は嫌いだけどその分、僕は勉学に興味を持ち、それに打ち込んだ。

誰よりも勉強して、いつも頑張って働いている領民の人たちにより良い暮らしをしてもらえるようにすることが僕の夢だった。


そして半年前、その夢は脆くも崩れ去った


隣国のデルト王国が、宣戦布告も無しにいきなり攻め込んできた。

デルト王国は、「危険域」である「魔の森」が国内にあるせいで、普段から魔獣の出現が多い。

そのために、国の騎士団は戦い慣れているため精強で、練度もクリミル王国の騎士団とは桁違い。

初めから戦いになるはずが無い。

僕ら姉弟の故郷は瞬く間に全域が戦火に包まれる。

確か占領までにかかった時間はたったの10日。

だけど僕はデルト王国に対して、当時も今も憎しみを抱いてはいない。


本当に憎むべきだったのは、クリミル側の貴族


「デルト王国が攻め込んできた」


その報告を聞いた瞬間の貴族どもの反応には呆れるしかなかった。

緊急会議で出てきた議題は、デルト王国がどれだけ礼儀知らずな行為をしたか、そしてどう「和解」するか、その2つだけ。

デルト王国への罵声、自身の身の安全をどう保障するのか、それだけが会議の机上を飛び交う。

その間にも兵は死んでいるというのに。

父様はその様子を見てもうこの国は終わりだと考えたのだろう。

いや、見る前からこうなることを予想していたのだ。

そうでなければ、逃亡の用意などあらかじめさせておかない。


「私はこの国の国民に対し、貴族として果たさなければならない義務がある。

 だがそれはお前たちが背負うべきものではない、ゼフィールド殿のご子息と一緒に逃げなさい。」


何かを悟ったような様子で僕らをそう諭す。

当然僕らも抵抗したが強引に馬車に乗せられ、走り出す。

姉様と共に後ろを振り返り、父様を見る。

父様は最後に、


―――幸せに生きろ


そう言っているように見えた。




ゼフィールド様のご子息で幼馴染のレオンさんとルルには直ぐに合流出来、父様と姉様は領民に慕われていて助けてもらえたので、割と楽にクリミルから逃げられた

そしてそんな僕らは、父様とゼフィールド様が死んだことを知る

デルトの兵にではない




息子たちをデルトに送り、情報を流した裏切り者として、クリミル側の貴族に処刑されたのだ









それからのことはよく覚えていない。

僕はただ漫然と日々を過ごしていた。

そして気が付けば奴隷商人の馬車の中。

レオンさんと姉様は何とか抜け出せないか考えているようだった。

ルルもそんな2人を見て勇気づけられ、まだ希望を捨ててはいない。

そんな強い意志を持つ彼らに自分は何をしてあげられるのだろう?

何もできはしないではないか。

なんて情けない話だ。


僕はただ願った

この世の不条理を打ち破る力を

この世の理不尽を乗り越える術を

何よりこの間違った世界で皆と生き抜くための強い意志を!




その瞬間爆音が響いた。

皆も何が起こってるのか分からず、困惑している。

この中では音しか聞こえないのだ。

だがその音だけでもある程度推測できた。

何かが、絶大な力を以って周囲の人間を殺戮しているのだ。

ここで僕は生気を取り戻した。

力を望んだ瞬間にこのような事態。

何と都合がいいことか!

そしてしばらくして馬車の荷台の扉を開けた、その殺戮の主に、



僕は恐怖と警戒、そしてそれ以上のどこまでも深い「崇敬」の念を抱いた




―――side out










馬車は街道をひた走る。

ちなみに御者は意外なことにクルスだ。

何でも昔から動物好きで、世話をよくしていたそうで、得意らしい。

今俺は馬車の中でレオン、エルス、ルルの3人にいろいろ教えてもらっていた。


「へえ、レオンが19歳、エルスが17歳、ルルが15歳、そんでクルスが14歳か。

 上と下で5歳差か、結構離れてるんだな。」


「ああ、それでも両親同士の仲がいいから俺たちは小さいころからよく遊んでいた。

 幼馴染という奴だな。

 俺なんかクルスのおしめを取り換えたことが有るくらいだぞ?」


「ち、ちょっとレオンさん何をっ!?」


レオンが意地悪げな表情を浮かべそう言うと、クルスが悲鳴を上げる。


「意外だ。

 レオンも人をからかうことが有るんだな。

 珍しいものを見た。」


「まだ会って1時間も経ってないだろうに・・・

 それにこの中で一番性格の悪いお前に言われたくない。」


「それもそうか。」


まあ最近人にまったく会ってないから忘れていたが、俺は基本人をからかうのが大好きだからな。

高校で友人についやり過ぎて気まずくなったことが何度もあるくらいだ。

それにこの4人は世間慣れしてない分反応が面白いんだよな。

・・・やり過ぎないように気をつけねば。(止める気はない)


「そういえばあなたは何歳なのですか?

 レイ様。」


「俺は18だ。」


「な!?

 年下だと!?」


エルスの問いに答えると今度はレオンが大声を上げる。


「そこ、驚くことなのか?

 お前の方が身長高いだろうに。」


「所詮外見だろう。

 お前の老練さと老獪さから年上だと思っても不思議ではないと思うが?」


「・・・好き勝手言ってくれるな。」


後でなんかヤルとしよう。

身長だが、俺→約180 レオン→約185 エルス→約170 クルス→約150 ルル→約160 となっている。

ちなみにさっきのエルスの俺の呼び方だが、これにはひと悶着あった。

それというのもはじめに俺を読んだときの呼び方が、


「ご主人様、少しよろしいでしょうか?」


これだったのだ。て、


「ルル!

 エルスをやっと矯正させたと思ったら今度はお前か!」


俺はそんな名前で呼ばれて悦に浸る趣味など断じてない!


「あ、すみません。

 従者と言うとこの口調なのでつい・・・」


「はあ~・・・

 次から気をつけてくれ。」


「分かりました。

 レイさん。」


ルルは素直で助かった。

エルスは何故かあの呼び名に執着を持っていてなかなか納得しなかった。

30分かけて話すはめになるとは・・・


「それでなんだ、ルル。」


「一般的な常識についてお話しなくてもいいのでしょうか?」


「あ・・・」


「おいおい。

 最初の目的忘れるなよ。」


「やかましい。

 ご主人様なんて呼び名で人間としての尊厳を貶められるところだったんだ。

 そんなこと気にしてられるか。」


何だそりゃ、とレオンが呟くが無視する。


読者の皆様、先ほどの私の発言をご不快に思われたのであれば心から謝罪いたします。

どうかお許しください。


「さて、読者の皆様への謝罪も終わった。

 教えてくれ。」


一斉に何を言ってるんだと訝しげに見てくるが、ちゃんと説明はしてくれた。

それによると、


この世界の通貨は価値が低い順から鉄貨、銅貨、銀貨、金貨となっていて、それぞれ100枚で価値が1つ上の通貨と同じ価値を持つ。

向こうに換算すると、鉄貨=1円であることから、銅貨=100円、銀貨=1万円、金貨=100万円というわけだ。

平民の月収は大体銀貨10枚ほど。

・・・つまり強欲商人が言っていたひと月金貨20枚はとんでもない破格の待遇だったようだ。

知った今でも応じる気など微塵もないが。


冒険者が集まる施設はネスト(巣)と呼ばれている。

昔はギルド(組合)だったそうだが、冒険者が自由を重んじることから、ただ集まるだけの場所というイメージの強いネストに改名されたのだとか。

ネストの詳しい説明は、ネストで聞いた方が早いし分かりやすいということで省かれた。


そして国だが、これは小さい国まで含めると数十にも及ぶらしいので、主だった5つの大国について教えてくれた。


まず、この世界の宗教の総本山であるスルス教国。

大国の中で最も版図が小さいが、宗教というものはやはり侮れなく、世界中に存在する信徒により、すべての国に対して発言権を得ている。

・・・宗教は絶大な権限を指導者に与える分それに溺れやすい。

腐敗が始まってなければいいが。


次に、商業国家レティエンス共和国。

共和国だけに合議制を採っていて、その資本はその気になれば中規模の国を買い取れるほどだとか。

実際はそんな金があったとしても、様々な理由で不可能だからあくまで比喩だろう。


戦士の国、デルト王国。

その呼び名の通り、国の地理的条件から優秀な戦士を数多く抱えている。

Bランクの冒険者を2ケタ、Aランクでも片手の指の数だけ囲っているといううわさもある。

質だけなら最強だな。

そして今俺たちがいる国。

この話をするとき、レオンたちは苦い顔をしていた。

詳しく聞くことはしなかったが、その反応だけで大体予測がつく。

クルスだけがまったく平気そうな理由は分からなかったが・・・


魔導国家、エリュシオン公国。

魔法の研究の最先端国。

この国の貴族は全員が他国とは比べものにならない優秀な魔導士だとか。

戦争における瞬間的な突破力は最強だそうだ。

魔導国家という性質上スルスと仲がよく、デルトと仲が悪い。


最後に。最大の版図を持つベグニス帝国。

この国の特徴は何と言ってもその領地面積と比例した膨大な兵力で、なんでもこの世界中どの国が相手であっても、一国であれば飽和攻撃を仕掛けられるほどらしい。

つまり、この国を相手にした場合その時点でほぼ負けが決定するということだ。

それなのにこの国の天下になっていないのは、他の大国同士が同盟を結んでいるからだ。


そのほか、法律や習慣についても教えてもらった。




「へえ。

 まあ大体わかったよ。

 ありがとう。」


「いや、取引だからな。」


普通に感謝して、それに普通に答えてくれる。

馬車全体に和やかな空気が漂う。


「さて、あと聞きたいことは今のところひとつだな。

 最後まで頼むよ。」


「ああ。

 なんなんだ?」


「魔法についてだ。」


「それなら私がお答えします。

 この中で本職の魔導士は私だけですから。」




さて、やっと自分の独自魔法との違いが分かるな。


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