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異世界の愚か『もの』 ~世界よ変われ~  作者: ahahaha
デルト王国 ~望んだ望まぬ名声~
53/84

52話 その後②

4月から時間ないですねー


これからも続けますが、時間は結構不定期になるかもです。

あと、感想の返信も遅れると思いますが、しっかり時間をかけて返させていただきますので、勘弁を。


あとこれからは、小出しにしてマル何で話が続いている風にしたいと思います。

自分の命を狙って欲しい。


その令の常人であれば正気を疑うような言葉に対して、セフィリアが最初に感じたのはただ納得。


 あの謁見で令が繰り広げた、あらゆる意味で常識を失った行動の数々。

 令のその行動は、綱渡りどころか糸渡り同然の所業である。

 渡る以前に、その人物の重みにすら耐えられない、死んで当然の愚行。

 令が今生きてここにいるという事実は、それほど奇跡に等しいことなのだ。


 その異常さを、セフィリアは正しく理解出来ていた。

 そしてそれだけのことをした以上、その場を凌げたとしてもこれから先命が狙われるということは容易く予想出来る。

 あの場では、令の手に通信符という反則な代物が存在したために、周りが国民の反応を恐れて行動できなかったに過ぎない。

 もしあれがなければ、周囲の令に賛同していた者以外は、令を八つ裂きにしようと動いただろう。

 ……それが可能かどうかはまた別の問題であるが。

 しかし、それは逆に言えば通信符さえなければいくらでも令を襲うことが出来るということの裏返しである。

 普段から常に通信符を起動状態にしておく、ということは不可能ではない。

 だがその事実を知るのは製作者である令本人のみ。

 人は主観的な生き物だ。

 本人が知ること以外は分からない。

 分からない以上、他の者は自らの常識に当てはめ、通信符は常時使用できるものではなく使っていない時ならばどうとでもなると考えてしまうだろう。

 それを鑑みれば、これから先ずっと令が敵対視される貴族から命を狙われるということは容易く予想出来る。


 そして、そのことに令が気づかないはずがない。

 そうセフィリアは確信している。

 令の普段の行動からにじみ出る知性。

 セフィリアは、この世界で令という『人』と関わりが最も深い人間の一人であるため、その知性の深さを知っている。

 底が知れず、時に恐怖すら抱く深さだということを。


「何故そんなことをする必要があったのですか?

 私には、そんなことをして利益があるようには思えませんが」


 だからこそ、セフィリアは冷静に令に問う。

 それだけの知性を備えた者が、何の意味もないことをするわけがないという確信。

 それは彼女に、思考する余裕を与えてくれた。

 その余裕が、セフィリアに令という人物を見極めようという意志をもたらし、感情を高ぶらせることをさせなかった。


 一方、その言葉を聞いた令は満足そうに微笑む。

 セフィリアという一人の女性の強さに感心していたのだ。


 この一日の出来事は、彼女の常識をはるかに超えた出来事の連続だった筈。

 普通であれば、錯乱して喚き散らしてもおかしくはない。

にも関わらず、セフィリアは自己を見失うことなく問いかけてきた。

 それが、一体どれだけ難しいことか。

 人の内面、それを測ることに長けた令はそのことをよく知っている。

 

「まあ確かにそうですね。

 自分の命を狙わせることによる利益など普通はありえない。

 ですが、ここで重要になるのは命を狙わせるというのはあくまで手段だということ、そして相手があの馬鹿貴族共だということです」


「相手が、彼らだということ……」


微笑みながらのはぐらかすような令の言葉に、思案顔をするセフィリア。

この時点で、彼女の中でいくつかの仮説が組みあがっていく。

 だがこれだけの情報では、その仮説の中からさらに選別するのは難しい。

 

「セフィリアさん、私、人の粗探しって得意なんですよ。

 『人』ではなく、『もの』の粗探しであれば特に」


 そんなセフィリアに、令はさらに言葉を投げかける。

先ほどとは打って変わり酷薄な笑みを浮かべながら。


「…………な、まさかっ!?」


 そしてそのヒントによってセフィリアは正解へとたどり着き、顔色を変える。

 あまりに常軌を逸したその答え。

 だがセフィリアは思ってしまう、目の前の人物ならばやりかねないと。


「貴方は、自分を餌にして貴族たちを罠にはめようとしているのですか!?」


「大正解ー。

 まあ当たっても特に何もないのですが」


 セフィリアが叫ぶと令は笑みを強くし茶化す。

 ふざけた態度である。

 仕草も言動も身に纏う雰囲気も、すべてが人の神経を逆撫でしてくれる、ある意味見事と言っても過言ではない態度。

 だが、その眼に宿る鋭い光。

それだけで今の言葉に一切嘘が無いことがセフィリアには分かった。


 令は自身の命を狙わせることで相手を誘き寄せ、罪人でもない人間の命を狙ったという弱みを握るつもりなのだ。

 その手段は確かに成功すればこの上なく効果的だ。

 今この国の民は、令の策によりその手の謀略の類に極めて敏感になっている。

 自分たちが無力ではないことをあの演説で知ってしまった。

それを上手く利用すれば相手を失脚に追い詰めることも可能だろう。


「駄目ですそんなこと!

 今ですら敵だらけだというのにこれ以上険悪になりかねないことをしてどうするのですか!?」


 だがそれも成功すればの話。


 普通に考えれば成功などまずありえない。

 そして失敗が目に見えているからこそセフィリアは令を止めようと厳しい顔で怒鳴った。

 それに対し令は困ったような笑みを浮かべる。


「あれだけやらかした以上やらなくても大して意味はありませんよ?

 毒を食らわば皿まで、というじゃないですか」


「そうしたのは貴方です!

 本当に貴方という人は……!」


 セフィリアの声にとうとう怒りの色が含まれるようになった。

 令の飄々とした言動は、これまでの会話でささくれ始めていたセフィリアの神経を酷く刺激した。

 自分のことだというのに、その危険性を理解できている様子がまるでない。

 それが見かけだけのことだと分かってはいるが、それでも苛立ちを覚えてしまう。

 それも無理はないだろう。

 あの演説の場で、グランドに敵意を向けていた貴族はかなり多い。

 といっても決して味方がいないわけではなく、むしろグランドに好意的な視線を向けていたものもそれと同じくらい存在していた。

 あの場で貴族たちは、完全に二極化されていた。

敵対的な者は言うまでもなく主に昔からのデルトに仕えていた、世襲制の伝統的な貴族たち。

そして、好意的だった者はそれとは逆、最近になり実力で地位を得た貴族や文官、武官。

その対立は、単純であるが故に根深い。

伝統にこだわり、ぽっと出の成金とも言える者たちを嘲笑する伝統貴族。

実力も伴わずに、ただ家柄を誇り自分たちを新参者と罵るしか能のない愚か者に怒りと憎しみを抱く新貴族。

令の皮肉った内容、文官と武官の対立も在るが、この新旧二派の勢力争いこそがデルトの抱える最大の派閥争い。

つまり、あの演説により令は伝統貴族派を完全に敵に回したのだ。


 見識の浅い者ならば、敵が多くとも味方としても大勢の貴族がいるならば大丈夫ではないかと考えるかもしれない。

 だが、実際のところは圧倒的に令に分が悪い。

 グランドに好意的な者たちは、実力もあり妙な差別的な思想にかぶれてもいない、人として善人と呼ばれる者たちが多い。

 だが、出世したのが最近であるがゆえに周囲との繋がりが弱いのだ。

 己のはっきりとした後ろ盾を持たず、上に立つことに慣れていない。

 そしてこれが最も痛手なのだが、彼らは謀略、奸計、暗殺などの裏の仕事に対しての力が全くないのだ。

 伝統貴族は違う。

 たとえどれだけ無能だろうとそれまでの先祖が積み上げてきた様々な利点、人脈や歴史に支えられた堅固な権力などを受け継いでいる。

 当然その中には裏の仕事、暗殺や諜報活動に優れた人材も含まれる。

 権力者が裏に関わるのは、こういってはなんだが至極当然なことだ。

 民を、国を守るために、汚いことをすることも辞さない覚悟。

 それがなければ人の上に立つ資格などないのだから。


 しかしそれも、今の高潔な精神を失った馬鹿者たちの前には身の丈に合わない玩具に成り下がってしまう。

 やつらは私利私欲のために先人の遺したものを汚すだろう。

己の敵、グランドを消すことで。

 暗愚な貴族たちは、それをためらわない。

 それにもう慣れてしまい、感覚が摩耗してしまっているから。

 セフィリアの祖父、ディックはネストキーパーだ。

 ディックは独立したネストという組織の長の一人であり、国の貴族とは多少毛色は違うものの、一権力者であるがゆえに裏についても少なくない知識と力を備えている。

そして、セフィリアはそれらの危険性についてディックから詳しく説明を受けている。

故に、今の令が置かれている状況の危うさについても理解している。


「本当に、どうして……」


 だからこそ、セフィリアの心は心配で一杯になっていた。

 セフィリアの常識で考えれば、もはや令という人間の命は風前の灯火なのだから。

 もちろん、自分の身も危ないということもセフィリアはきちんと理解している。

 あの演説で、彼女は間違いなく令という異端の関係者として認識された。

 これからどんな災厄が降りかかるか分かったものではない。

 誘拐、人質、命の危険ならともかく、最悪の場合、女であるための最大の悲劇を味わう可能性さえある。

 そんな事態を引き起こされたのだ、当然セフィリアは令にかなりの義憤と少なくはない憎しみすら抱いていた。


 だがそれでも、令と比べればましなのだ。

 セフィリアはあくまで、令のおまけ程度にしか思われていないのだから。

 本命とおまけ、どちらの危険が高いかなど考えるまでも無い。

 この状況で令への怒りを保ち続けるには、セフィリアは優しすぎた。


「……心配してくれて、ありがとうございます。

 ですがセフィリアさん、貴女は私の心配などせずに憎むべきですよ?

 自分の身を危険にさらされてしまったんですから」


「感じていますとも!

 ですが、それよりも貴方を心配する思いの方が勝ってしまうんです」


「……優しすぎますね、貴方は」


 セフィリアは心に余裕がなく気づかなかったが、このとき令の表情には確かな困惑が張り付いていた。

 令の考えでは、この辺りでセフィリアが令を見限り、怒って罵声を浴びせてくれると考えていた。

 自分の命を危険に晒して置きながら、そのことを全く悪びれない。

 そうすれば怒って当然だと考えた。

 別に令に、美女に罵声を浴びせられて喜ぶ性癖がある訳ではない。

 これから申し出ることを考えれば、その方が都合がよかったというだけのこと。

 そしてそうなるように令は言動を操作していた。


「……ああもう。

 予定だだ狂いですよ全く」


 尤も、その目論見は完全に破綻してしまった訳だが。

 令は軽く息を吐き、頭を掻き毟り意識を改める。

 これから話すのはセフィリアが怒ってから話そうと思っていたこと。

 だがその目論見が潰えてしまった以上、話す以外の選択肢はなくなった。


「すみません、セフィリアさん。

 私は貴女に誤解するような話し方をしました」


「え?」


 いきなりの言葉に意味が分からず、首を傾げるセフィリア。


「そんなに心配しなくてもいいんですよ、今回の場合は。

 私の命を奪うなんてことはもとより、セフィリアさんたちに危害を与えることでさえ、私を殺せばどうにかなると考えるような馬鹿には絶対にできませんから」


だが次の言葉に今度は動作が停止する。

 令の言葉にあったのは、自分が強いから大丈夫だという傲慢による過信、ではない。

 それがまるで、ものを上げて手を離せば落ちる、といった絶対の原理を語っているかのような、確信だった。


 セフィリアはそれを理解してはいたが、理性がそれを否定する。

 ありえない。

 何度再試行しても、自らの常識は同じ答えをはじき出し続ける。


「信じられないのもまあ仕方ないですが、これは事実です。

 私を殺すことは、今日起きた事態の解決にはなりえない。

 むしろ状況を悪化させてしまいます」


「ど、どういうことですか!?」


 なのにその考えが令の言葉によって揺らいでしまう。

 さも当然のように次々とセフィリアの処理能力を超えた言葉が繰り出される。

 もはやセフィリアは困惑することしかできなくなっていた。


「とりあえず落ち着いてくださいな。

説明させていただきますから。

 動揺したままではいつまでたっても話せません」


 令がどうどうと馬を落ち着かせるような仕草をとり、セフィリアに落ち着くよう促す。

 その態度に怒りを抱く前に毒気を抜かれてしまって、セフィリアも落ち着きを取り戻す。


「さて、今回私はあの謁見の場において、国民への『演説』と貴族への『宣告』をしました。

これを行なった目的はそれぞれ、『演説』が国民の意識改革、『宣告』が貴族への挑発です。

ここまではお分かりですね?」


 指を二本立てながら問いかける令に、セフィリアは頷く。

 あの演説が国民の心に多大な影響を与えたことは容易く想像出来る。

 あの宣告が、伝統貴族の誇りとやらをどれだけ傷つけたのかも理解できる。


「そして貴女が危惧しているのは、挑発された馬鹿な貴族どもが私たち、グランド、貴女、ディック殿に危害を加えること。

 間違いないですよね?」


 確かめるようなゆっくりとした問いかけに再び頷く。


「確かにその心配は尤もです。

 ですが、狙われる者に私とディック殿が含まれるという点。

 あの演説の結果。

 そして私が宣告の最後に言った、俺を殺してみろという言葉。

これらの要素を合わせますと、私たちの身の危険度はかなり低くなるんです」


「え!?

 その要素って命を狙われる原因にしか思えませんよ!?」


 始めの要素はともかく、他の二つは不味い。

演説による国民への余計な入れ知恵。

宣告での最後の、お前たちごときでは俺を殺せないと言っているも同然の挑発の言葉。

セフィリアには、これらは命を狙われる原因にしか思えなかった。


「確かに一つ一つみただけではそう感じるでしょうね。

 ですが要素を組み合わせるとこれはガラリと印象が変わる。

 演説では貴族の不利益になるようなことをしたわけですが、それは負の面に眼を向けた時の話で、正の面に目を向ければあれにより国民は私の味方になっているんです。

 さて、ここでききましょうか。

 この状態で私が死んだら、どうなると思います?」


 この言葉にセフィリアは目を見開く。

 そうだ。

 今までは危機にばかり目が行っていたためか、そんな簡単なことにすら気づかなかった。

 あの謁見で、貴族は罪をもみ消そうと令を殺そうとした。

 その前科ある以上、人々が導き出す答えはただ一つ。


「貴方が、貴族の陰謀により殺されたと考える……」


 その答えに満面の笑みを浮かべる令。


「そう、私が殺されたら人々はその答えに行き着く。

 いえ、別に殺されたわけではなく例え事故死だろうと、無理やり陰謀だと言い張るかもしれませんね。

 そしてそれが生み出すのは、この国の崩壊です。

 ま、自業自得ですけどね」


 普段であれば、貴族の権力により殺されたという事実は人々に恐怖を与え、反抗の意志を失くさせるだろう。

 だが、この国の人々は既に剣を手に入れてしまった。

 今までは知らなかっただけで、自分たちにも権力に対抗出来る力、法があるのだと知った。

 もちろん、いきなり全員がそこまで過激になる訳ではない。

 むしろ、そう考えるのは少数派だろう、今までの生活で育まれた貴族への恐怖は、そう容易く拭えるものではない。


 だが、決して皆無ではない。


 それが国に、どのようなことを及ぼすか。

 多大な影響か、予測できない奇妙な影響か、それとも全く影響を与えないか。

 どう転ぶかは全く分からない。

 そしてそれは、当事者にとっては相当に性質が悪い

分からないという事実は時に、明確な結果が分かっている時よりも大きな恐怖を与えるのだ。


「それを考えれば、見識在る者は絶対に私たちに危害を加えようとはしませんよ。

 それでも危害を加えようとしてくるのは、先の見えないクズだけ。

 いくら優秀な手勢を持っていようと、頭が馬鹿ではその力は十全に発揮するのは不可能。

 そう言った連中ならばいくら数がいようと、ディック殿の敵ではない」


確かに伝統貴族の歴史に洗練された手勢は強力だろう。

だがそれらは、正しく運用されてこそ有効なのだ。

令を殺した結果どうなるかを考えることが出来ない馬鹿には、絶対に使いこなすことはできない。

そしてそのような最初から半分死んでいる連中の対処など、闇に詳しいディックには造作もない。


「何より私には、ね」


そして、ある意味負の権化とも言えるこの男には、そもそも歯牙にもかけられないだろう。


「さらに、そう言った馬鹿は私の最後の言葉に惑わされてるでしょうからね。

 対処はさらに容易くなります」


「『俺を殺してみるがいい』という発言ですか?」


 セフィリアは今では令の言葉にいちいち反応を示さなくなった。

別に無視をしているわけではなく、一言一句聞き逃してなるものかと集中して耳を傾けていたのだ。

それらを自分の糧とするために。

 その様子を視界に収めながら令の言葉は続く。


「ええ。

 私のあの演説で、あいつらは私の言葉の力を恐れていた。

よくも悪くも、私の言葉は人に大きく影響を与えることを知ったからです。

そして無意識に心の奥底で、こう考えてしまう。

あいつのいうことは正しいんじゃないか、と」


 それは気の迷いとも言える僅かなもの。

 あれだけ人の心に響くことを言う人間の言葉であるが故、無意識に考えてしまうのだ。

 あいつの言葉は正しいと。


「そしてその考えが、私の言葉にさらに信憑性を持たせる。

 そこにあの言葉です。

 無意識に、考えの浅いクズはこう考える。

 あいつを殺せばどうにかなる、とね。

 搦手を使ってこられたらあっちにも勝機はあるでしょうが、これであいつらはグランドを殺すということにこだわるようになる。

 それが相手に与えられた偽装だとは知らず。

 まあ尤も、これに関しては実際のところは、相手がそう考える確率を上げるぐらいの効果しかないかもしれませんがね。

 やらないよりはましということでやってみました。」


 令は肩をすくめてやれやれといったポーズをとる。

 だが気の抜けたそのポーズにも関わらず、セフィリアは背筋が凍る思いだった。


 言葉。

 口を動かして出すことができるただの空気の振動。

 少なくともセフィリアはそう考えていた。

 だがその認識が、音を立てて崩れていくのを感じる。

 よく考えれば、この日令がしたことと言えば言葉を紡いだだけなのだ。

 確かにネギとか使ってはっちゃけたりはしたが、それも話の切っ掛け程度にしか用いていない。

 

 そう、令は言葉だけでこの国をここまでひっかきまわしているのだ。


 果たして、誰がそのようなことが可能だと考えられる?

 しかもそれが王といった社会的地位を持つ者ならばまだわかる。

 だが、令は正真正銘ただの平民である。


「貴方は、一体……」


―――何なのですか


 その言葉を、すんでの言葉で飲み込む。

 あまりにも失礼な言葉だったからだ。

 なので、そのまま令を見つめたままでいることにした。



次に続きますよ

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