27話 負け、勝ち、分かり合う
ちょっと話が長くなりそうなんで、切り上げて早めに投稿
次は、頑張って2日後くらいですかね
軽くグロイところがあります、ご了承ください
爺さんは、主人公の妙なスイッチを入れてしまいました
やりすぎてないか心配です・・・
動揺を表情に出さなかった自分を褒めてやりたい。
ここでそんなことをしたらどう対処するかを決めていないのに、自白するようなものだ。
もしあらかじめ強欲商人の死体が発見されていることを予想してなかったら、ボロを出していたかもしれない。
ちなみに周りの4人はレオン以外少し危なかったが、ちょっとばれないように電撃で気つけしてやったら直ぐに立て直した。
レオンはこういう逆境に強いようで、表情が全くぶれていない。
(やはり、心が強いな。)
レオンの評価を上方修正しながらも、思考は止めない。
考えろ。
冷静に考えれば、長が言ったことはまずありえない。
森での生活の影響から、俺は周囲の生物の存在を察知することが出来る。
そして、あの時は常に周囲に目撃者や残党がいないかどうか警戒し続けていたのだ。
居れば気付かないはずがない。
(だが、もしそういう類の魔法が存在するとしたら・・・)
ありえない話ではない。
この世界の知識の無さをこれほど悔やんだことはない、知識さえあればせめて、そのような魔法があり得るかどうかの目安にはなっていた。
とりあえずは情報が足りない、集めなくては。
「勘違いではないのですか?
そんなことをしていない以上、とても信じられる話ではありませんね。」
「目撃者は「魔の森」の近くの崖の上を通った商人だそうだ。
そこで彼は、レティエンスで手に入れた珍しい品を使って遊んでいたらしい。」
「珍しい品、ですか?」
「そうだ、望遠鏡といい遠くに景色が見えるものらしい。
最大で3キロ先のものまでよく見える代物と聞いた。
それで彼はお主の凶行を目の当たりにできたそうだ。」
いつぞやのように、自身の思考速度が急速に速まり、周囲の動きが止まるのを感じる。
その中でゆっくりと考える。
・・・まさか、魔法ですらなくただの望遠鏡とくるとは思わなかった
この世界にちょっと毒されすぎてたな、気を付けよう。
しかし、俺の気配感知の最大有効半径は2㎞。
十分人外の距離であったので油断していた、確かにそれならば俺にばれずに見ることが可能だ。
しかも、凶行なんて上手い言い方をしてきた。
これならば、俺の殺し方がどんな方法であったとしても問題ない。
もし明確な殺し方、例えば剣で切った、などと言っていれば、現実との齟齬から嘘だと判断できたのだが。
俺が考えてることは1つ。
これが真実か、はったりか
どちらも考えられる。
明確に言い方をせずに、凶行などと言う曖昧な言い方をしてきたことから、はったりの可能性が高くはある。
だが、真実の可能性が消せない以上、まったく意味がない。
会話を重ねて、情報をさらに引き出すという手も考えられるが、下手に動けばそれで意外なところからボロが出る可能性があるので得策ではない。
喋れば喋るほどその可能性は高まる。
ならば、今できることはこれだけの情報から、これが嘘だろうと本当だろうと対応できる手段を導くこと。
恐らく彼は、この情報を盾にして報酬の削減と契約を焚き付けてくるだろう。
それだけならば俺は気にしないのだが、このことを持ち出されてはこれから先ずっとあらゆることで不利になってしまう可能性がある以上、受け入れられるものではない。
とりあえず、今考えられる対処は5つ。
1、ネストキーパーを殺す
2、目撃者を消す
3、話を続けて嘘だとしたらボロを出すのを待つ
4、条件付きで受け入れる
5、しらを切り続ける
1と2は話にならない。
1はそんなことをしたら明確な罪状がついてくるだけだし、2はそもそも実在するかも疑わしい。
闇討ちしようとも、もっとも疑わしい人間は殺害前に会話を交わしていた俺だろう。
2にしたって仮に実在したとしても、この人が口を滑らすわけがない。
3はさっき言ったように、ボロが出る可能性があるから却下。
4、これも駄目だ。
今までの会話で俺が主導権を握れたのは、予想外の手で意表を突き、そうしてできた隙間につけ込むことが出来たからだ。
実際の交渉能力で言えば、経験不足の俺はこの人に圧倒的に劣る。
この人の土俵で戦ってしまえば、どれだけの不利な条件をつけられるか分かったものではない。
5、・・・賭けだなこれは
はったりならば問題なし、真実ならばドボン、何とも分かりやすい。
・・・どれも、ろくなものがない
(よくもまあ、あれだけ曖昧な言葉で人を翻弄できるものだ・・・)
ディック殿の言い回しの優れている点は、明確なことを一切口にしていないこと。
普通ならばしっかりと言葉の構成を考え、相手の反論する穴を埋めておくものなのに、彼の言葉は穴だらけだ。
だが、その穴には猛毒が仕込まれている。
しめた、と思って飛びつかれたとしても、その中にはおいしいものは何もなく、いくつも探されているうちに相手の言質を取ってしまい、自滅を誘う。
言葉を尽くして穴をつかれていれば、いずれ自分からボロを出す可能性が高いことをよく知っている。
―――今、俺は追い詰められているのだ
目の前に2つの道があり、どちらも行きつく先は遠く、しかも行き止まりのようなもの。
そして、来た道を戻ることすら出来ない。
完全に詰みの状態だ。
これでどうする?
(ああ。)
すごいな、これが経験の差か
(なんて。)
これが、修羅の道が4年の幼子と、30年のベテランの差か
(本当に、なんて。)
俺はまだまだだったのだな、この人に比べれば
「く、ク、は、あハははハハハハはハ!!!!」
(なんて楽しいのだろうか。)
いきなり顔を右手で押えて狂ったように、いや狂って笑い始めた俺に全員が驚き、そしてディック殿以外が怯えを含んだ視線を向けてくるのを感じる。
彼も冷や汗を流しているところを見ると、不気味に感じているようだ。
だが、今の俺にはそんなことを気にしている余裕がない。
―――楽しい
この人生のままならなさが
この人に敵わない自分が
そして自分を打ち負かしている彼自身が
―――そして、同時に悔しい
ならば、その悔しさを飲み込んでやる
―――まだまだだということはつまり、成長の余地があるということ
ならば、前に進み続けてやる
たとえ目の前が真の暗闇だろうと!
這ってでももがいてでも足掻いてでも!
(そして必ずお前を超えてやる、爺!)
ああ、自分が抑えられない
歓喜と悔しさ、そして自身の将来への希望がどんどん膨らんでいく
駄目だ、話はまだ終わってないというのに
「・・・どうしたというのだ、いきなり。」
そう考えてると、俺にこの世界初めての敗北を与えてくれた人が声をかけてきた。
そのおかげで、ようやく少し落ち着くことが出来た。
「くくっ、楽しくありませんか?、ディック殿。」
まだ喜びの色が消えず、震える声でそう言う。
「楽しいだと?」
「ええ、私は楽しくて仕方ありませんよ。
あなたに負けた自分が。
そしてその敗北を認めることで、これからまだ成長できることが分かったことが。」
「何を・・・言っているのだ・・・?」
「ああ、そうだ。
人生とはこういうものだったんだ。
人は負けて、それを乗り越えることで強くなることが出来る。
すっかり忘れていたよ、最近は負けることは死ぬことだったから勝つことしかできなかった。
引き分けはあったんだがなあぁ。」
あー、くそ、まともに会話することも出来ない。
まだ時間がかかりそうだし、この感覚に浸っていたいんだが、何とかせねば。
「ネストキーパー様、少し、待ってください、クハはっ、もう少しで落ち着くと思いますから・・・!」
「あ、ああ、分かった・・・」
俺の豹変振りに誰もがついてこれてない中、俺はひたすら感情の津波を抑えることに尽力していた。
「ふうぅぅ・・・
あー、やっと治まった。」
そう言うと全員が安堵の息を吐く。
相当不気味だったらしいな、さっきの俺は。
「さっき、お主が負けを認める発言をしたと思うんだが、どうなのだ?」
困惑しながらも、しっかりと聞いていたらしい。
「ああ、そうですね。
この交渉は貴方の勝ちです。
参りました。」
「そんなっ!?」
「れ、レイさん!?」
「それでは貴方が!?」
俺が交渉の負けを認めると、クルス、ルル、エルスが泣きそうな顔と声で言ってくる。
レオンは特に心配してなかったが。
「・・・そうか。
ではグッゾの殺害の件で話があるのだが―」
俺が素直に負けを認めたことに訝しげな顔をしたが、すぐに次に行こうとしてくるディック殿。
「何を言ってるんですか。
私は殺してなんかいませんが?」
「は?(全員)」
そう言うと誰もが驚く。
「・・・お主は負けを認めたのだよな?」
「はい。」
「儂の勝ちだといったのだよな?」
「その通りですね。」
「ではお主が殺し―」
「てませんよ。」
無言でお互いを見つめる。
「・・・ふざけておるのか?」
「いえいえ、私の負けは認めますよ?
でも、それはあくまで「交渉」での負けであってですね、その意見を認めるというわけではないのですよ。」
「言葉遊びをしているのではないのだぞ!」
「そんなの分かってますって。」
俺の態度に怒って怒鳴り始める長。
そう仕向けてるから無理もない。
「分かっているのなら―」
だが、急に言葉に詰まる。
俺の発した異常な気迫と、邪悪な笑みに気圧されて。
周りの皆は顔色を青くする。
そして告げる。
「ここまでの「交渉」は、本当に貴方の勝ちですよ。
ですが、貴方の言うそれだけは認めるわけにはいきませんのでね。
これから始めるのは、「交渉」ではなくただの「力押し」です。
論理も理屈もない、ね。」
―――行く道が行き止まりならば、こじ開けて進めばいい
ただそれだけのことなのだ。
「さて、それではまずは状況の整理といきましょうか。」
それに対する答えはない。
この場の空気は完全に俺が支配した。
「貴方は、私があの豚を殺したのではないかと言っているのですよね?」
「ぶ、豚だと?」
「ええ、あんな外見のやつは豚でしょう?」
「こ、小僧、分かっているのか?、その発言は―」
「いいんですよ。
私が言っているのはただの外見のことですから。
いくら集めても証拠足りえませんのでね。
それで、あの豚が馬車に乗って移動していたところを私が殺したと言いたいんですよね?」
「な!?、馬車とは言ってないのに何故いきなり自分からそんなことを言いだすのだ!?」
「おや、貴方が求めてるのはこういうことを私が言うことのはずだと思ってたんですが、違いましたか?
ああ深読みしないでくださいね?、商人が馬車に乗るのはごく自然なことですからこれも証拠にはなりませんので。
そうだ、もしかして豚は王都に行こうとしてたのではないですか?
極上の品とやらを持って、ね。」
「貴様は、何を考えている・・・!?」
いきなり暴露大会を始めだした俺に完全に混乱するディック殿。
自分の求めていた言葉を、自分の首を絞めると確実に理解しているはずの人間が次々と自白していることが信じられないらしい。
「自棄になったのか!?
そんなことを自分から言い出して、捕まったらどうする!?」
「おやあ?、貴方の狙いはそこではなかったのですか?」
「っ、違う!
分かっていてそんなことを聞いて、何のつもりだ!?」
「ええ分かってますとも。
ああ楽しいな愉快だ爽快だ解放された気分だ。
これから用意してた切り札を一枚切ろうというのにまったく悪い気がしない。
それもこれも全て貴方のおかげですよ、ディック殿。」
全員がまるで悪魔にでも会ったような顔をしていたが気にしない。
「さて、まあ早い話が貴方は私になにか要求をしたいわけですよね?
その情報を盾にして。」
「・・・ここまで交渉を滅茶苦茶にされてしまった上に、元から気づいてた奴にもう隠す意味は全くないな。
その通りだ。」
「ですが、それは私が捕まってしまうような状況に置かれた場合に限る。
だから貴方は私に豚を殺したことを認めさせたい、と。」
「そうだな。」
そこで俺は実に綺麗な笑みをつくる。
「その考えは実は破綻してるんですよ。
仮に私が本当に豚を殺していたとしても、そして私が世界に追われたとしても、私が捕まることは絶対にありえませんから。」
「どう・・・いう、ことだ・・・?」
その表情にはもはや恐れが見える。
全く未知のものに対しての恐れが。
「ところで皆さんに質問したいんですが。」
右手を顔に当てる。
そして俺は、用意しておいた切り札の1つをためらいなく切る。
「私のこの顔が素顔だと一言でも言いましたっけ?」
「っっっ!!!???(全員)」
手をどかすとその顔は、間違えてなければ金髪の白人男性のものになっているはずだ。
顔だけではなく、瞳も、肌も、服も、目に見える部分がすべて変わる。
「こっちの犯人の特定方法って、似顔絵がせいぜいですよねー。
ですが私はこのように顔を変えることが出来ますから、なんの意味もないんですよ。
お分かりいただけましたか?」
自分のものではない顔で笑顔でそういってやる。
茫然自失、誰も動けない。
これを「偽装」魔法と俺は呼んでいる。
身体の表面に極めて薄い特殊な膜を張ることで、自由に外見を変えることが出来るのだ。
まあそういう方法だから、髪を伸ばせなかったり体型は変えられなかったり色々と制限があるんだが。
しかしそんな些細な欠点を補いあまりある有用性があることは、ちょっと見識がある人間であれば用意に想像がつくだろう。
これは、俺の「目的」の核となる魔法なので、こんなとこで使う気は本当になかったのだが、この交渉がとても有意義なものとなったことと、ディック殿に対しての敬意から後悔は微塵もしていない。
・・・そもそも、知られたからといって、どうこう出来る代物ではないしな
「さてディック殿、ご理解いただけただろうか?
仮に私があの豚にとどめをさした瞬間を見たものがいたとしても、まったく意味がないことを。」
さっきまでの顔に戻り、告げる。
ちなみに当然だが、俺の素顔はこれだ。
白人なんかではない。
だが、相手はそんなことを知るわけもないのでこれでいいのだ。
どちらの顔、あるいはどんな顔が素顔なのかの判別がつくわけがない。
「・・・そうだな。
お主がとどめをさす瞬間を見たものには、何も言わないように言っておく。
藪をつついて竜を出してもなんの意味もない。」
もう何を信じていいのか分からなくなってるのか、意気がない。
そして、
「あーあ。
言っちゃいましたね。」
「何?」
「何だ、やっぱり貴方のはったりだったんですか。
うわ、これまでのやり取りに何の意味もなかったとは・・・
楽しかったからいいですけど。」
この人も混乱していたのだろう、とうとうボロを出した。
本来であれば、そして俺が普通の人間であればありえないものだったが。
分かっていないこの人に、説明をする。
「いやね、仮に私があの豚を殺したとしますよね。」
とりあえずもう意味もないのだがそう前置きして、クルス、エルス、ルル、セフィリアさんには聞こえないように、風魔法で真空の膜をつくり彼らを包み込む。
中には空気があるので息はできる。
何か言っているようだが無視。
「私なら直接手を下したりはしませんよ。」
「・・・?」
「そうですね、確かあの辺りには狼が生息してました。
私なら、生きながらあいつらに喰われてもらいますね。」
「うっ・・・(残り2人)」
楽しくなりながらさらに続ける。
「知ってます?
あいつらって獲物を見つけたらまず喉に穴をあけて仲間を呼べないようにするんですよ。
そうしたら空気が喉から漏れるんでヒューヒューって音がするんです。
以前あれを聞いたことがあるんですが、なかなかにいいものでしたね。」
思い出す。
喉から必死に空気を漏らして、泣き出すことすらできずにいた奴のあの音を。
「それでも獲物は生きてるんですよねー。
あいつら噛み方が神憑ってまして、絶妙な力加減で殺さないように穴を空けるんです。
そしたら今度は生き胆を食らいます。
どんな痛みなんでしょうね、一体。
人って脳さえ残っていればある程度の時間は生きてられますから、全て喰われても生きてるんです。」
思い出す。
途中から突然大きくなった空気の抜ける音を。
恐らく叫びたかったんだろうな。
「それから手足を喰って、最後に頭です。
どうです?
あのような商人に相応しい末路だと思いませんか?」
「・・・・・・(2人)」
吐き気を必死に堪えている2人はそれどころではなかったようだ。
放っておいて、彼らを解放する。
「いきなり何をするんですか!(4人)」
案の定、一斉にそう言ってくる。
「いいじゃないか、ただ動きが制限されて外の声が聞こえなくなるだけなんだから。
それとも、君らもああなりたかったのか?」
2人の様子を見た途端、すぐに顔を青ざめさせて首を横に振る。
「そういうわけで、「私がとどめをさす」ということはありえないし、それを見た人間も存在するはずがないのですよ。
まあ、貴方は今それどころではないみたいですが。」
「やってくれたものだな・・・
最初に食事を摂らせたのはこのためか。
何とも小さいことをしてくれる。」
「小さいですが、効果はそれなりでしょう?
吐き気に加えて胃の中のものが出てくるのを抑えなければならない。
交渉の場でそんなことになればどうなるかなんて、言うまでもありません。
残念ながら、今回の交渉での役には立ちませんでしたがね。」
「・・・俺、完全に無関係じゃねえかよ・・・」
「ん?、なんだ、幻聴か。」
「おい!」
俺が食事を振る舞ったことの裏の理由がそれだ。
雑音は無視。
「儂も老いたかの・・・
こんな単純な手にも関わらず、お主の嘘を読み取れなんだとは・・・」
「あー、それは読み取れなくて当然ですよ。
私にはあの場では嘘ついてませんから。」
「?」
「あなたがこれを使うような舞台を作り上げてくれなければ、これは使えませんからね。
ですからあの時は、本当に単純に私の厚意だったんですよ。
使えなければ使えないで、貴方の私に対する心象が少しでも上がるでしょうから、それでもいいですしね。」
「・・・ふ!、はははははは!!!」
そう説明すると、今度は長が突然笑い出した。
「ふ、お主はどのような人生を歩んできたのだ!?
どんな経験をしたらそこまで用心深くなれるのだ!?
ああ、本当に面白い若造だ!
その年で儂を論破するとはな!
それに加えAランカー相当の力に常識外の魔法も持ち合わせてる!
お主は本当に人間なのか!?
ははははははは!!!」
心底楽しそうに笑う。
その様子はとても晴れやかだった。
「まあ「悪魔」とか「人でなし」とか「不幸を呼ぶもの」とか、色々と呼ばれてはいましたが、一応は人間ですよ。
酷いことを言いますね。」
少し昔を思い出しながらそう言う。
仲間が少し悲しげな表情をしたが気にしない。
「しかしディック殿、1つ間違いがありますね。
私は貴方を論破なんてしてませんよ。」
「何?」
「さっきのは、自分の以上なスペックにものを言わせた論理にすらなっていないただの暴論です。
単純な言論の力では私は貴方にまったく及びません。
あんなものを論破といっては、世界の言語学者が怒り狂いますよ。」
「は、儂が認めてるのだ、いいではないか。」
「私が違うと言っているのです。」
「・・・なかなか頑固なものだな。
相手がお主の勝ちだと言ってるのだぞ。」
「嫌がってるのに無理やり勝ちを押し付けてくるような人間に、頑固だなんて言われたくありませんね。」
「・・・・・・・・・」
無言で見つめあう。
「くっ・・・」
「ふっ・・・」
「ハハハハハハハハハハハハ!!!
楽しいなあ、爺(小僧)!!」
同時に吹き出し、笑い出す。
俺たちの周りの彼らは、驚き、呆れ、そして微笑みながらそれを見ていた。
余裕があり、面白いと思ってくだされば是非評価を