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異世界の愚か『もの』 ~世界よ変われ~  作者: ahahaha
行動開始 ~純粋な愚か者の願い~
19/84

19話 依頼

今回は戦いません。

期待してくださった方、いらっしゃいましたら申し訳ありません・・・

それと半分寝ながら書いたので、あとで大量改稿するかもしれません


魔獣の名前、漢字で通した方がいいでしょうか。

それとも横文字の方が合いそうなときは横文字にした方がいいでしょうか。

ご意見お願いします

―――side レオステッド


ひでえ

酷過ぎるよあいつ

まさかあの場面であんなことを言ってくるなんて・・・

的確に俺の急所を狙い撃ちしてきやがった


今俺はベッドの中で涙している。

いわゆる泣き寝入りという奴だ。

・・・少し意味が違うか?

まあそんなことはどうでもいい。

問題はいくら気持ちを切り替えようとしても、心の奥から湧きあがってくる喜悦を抑えられないことだ。

まったく眠れやしねえ・・・

あいつ恋心が分からないとか絶対嘘だ。

でなけりゃこんなに人の心を弄べる訳がない。

そういえば「落として上げるのは俺がよく使う手だ」とか以前言っていた。

あの時は意味が分からなかったが、今はとてもよく分かる。

その効果の程も、自分で身を以って思い知った。

最初にまたからかわれるだろうと決めつけてしまったのが失敗だった。

ああ考えるのもあいつの想定内だったに違いない。

そうして土台を造った後で、予想と真逆の言葉を飛ばしてくるとはな。

ただ落差をつけるだけで俺の心をここまで揺さぶることが出来るなんて、もう感心することしかできない。




最初にあいつから受けた印象は良いものでは無かった。

いや、はっきりと悪いと言えるだろう、目の前(実際に見てはいないが)で人間を殺して平然とされれば当然だ。

だが直ぐにその印象はよく分からないというものになった。

冷酷かと思えば辛そうな表情を見せ、かと思えば飄々と権力者と取引をする。

しかも、従者になれとか言っておきながら俺の言葉使いを窘めることも無かったし、そもそも俺たちへの接し方も対等の仲間と、いや家族と接するような感じでまったく偉ぶった様子がない。

そんな面も確かにその印象の変化に貢献しただろうが、俺にとって一番影響を与えたのがこれだ。


―――『友達』


あまりにもありきたりで簡単な言葉。

だが、レイという人間が言うとその言葉の深みが桁違いだ。

友達だとかその手のことを普段絶対に口にしない人間だというとも原因だろうが、それ以上に今までからかわれ続けていた理由がそれだったというのが、最たるものだろう。

からかわれていたこと自体、あれだけされても不思議と傷つくようなことが無かった。

恐らく、その辺もあいつがコントロールしていたんだろうな。

そこであいつに対等の存在で、しかも『友達』だと言われてしまえば、もう怒る気も起きなくなってしまう。

・・・完全にあいつの掌の上で遊ばれてるな

しかもそれでもいいと思えてきているのだから恐ろしい。

あいつのすごいところは他にも、その言葉をなんの抵抗も無く信じ込ませてしまえるところだろうな。

あいつが言うことなら、俺たちはどんな嘘でも信じ込まされてしまいそうだ。

ホント、僅か2日でどうしてここまで信用することが出来てしまったのか。

この半年、人の世の厳しさをあんなに思い知らされた。

それなのに俺たちは全員、あいつを信用、いやほとんど依存してしまっている。

もはや、あいつが俺たちとともにいないことのほうが異常であるかのようにすら感じる。

あいつは本当に、いろんな意味で、しかも良い意味でおかしすぎる。

だから俺たちも頼ってしまうのだろう。




だが、それでは駄目なんだ。

ああ言われてから、その思いは余計に強くなった。

あいつは本心で俺のことを友人だと思ってくれている、そう信じられる。

ならば、頼っては駄目とは言わないが、こちらも頼られるような存在にならなくてはならない。

そう、過去を自分から語ってもらえるほどに。

あいつが部屋を出ていく前に見せた、悲しみと後悔をひたすら煮詰めたかのような表情。

その原因であろうその話を。

そう決意を固めた時、ノックの音が聞こえた。

ふと周りを見ると明るい。




え、もう朝?




―――side end









馬車に揺られながら街道を行く。

馬車の中には、俺たち5人とネストでノックアウトした3人の計8人、御者はクルス。

そして空気は重い。

クルスは御者を任せると喜んで席へと避難していき、彼を他の皆はネスト陣も含めて羨ましそうに見ていた。

俺はそんな空気も気にすること無く、チクチクとやっていた。

ネストの3人の視線は俺を向き、その中には恐怖が多く含まれていた。

目的が達成されていたことを確認し、満足する。

まあこれから一緒に戦うとなるとこのままは不味いので、なんとかする必要があるだろう。




ディック殿から依頼されたものは、「岩餓鬼」の討伐。

なんか大層な名だが特徴を聞いたところ、要するにただの岩場に生息するゴブリンだった。

まあ、ファンタジーでの雑魚の定番だが、やはり一般人には脅威らしく、増え過ぎたら数を減らす必要があるらしい。

今回は、前回討伐を頼まれていた奴らが外せない理由によりすっぽかし、それの報告を担当者が忘れ、さらにそれが判明したのが昨日、ほったらかしにされていた期間が安全とされている期間の3倍の6か月、という呆れる結果になっていたそうだ。

つうか2か月がリミットで前回の依頼が3か月前だったというし、その時点で管理が杜撰過ぎる。

それなりの理由があったらしいのだがこれは流石に無い。

そして焦ったディック殿が丁度いいからと俺たちにお鉢を回してきた。

初心者に不確定要素が多い依頼を任せることに抗議の声も多かったのだが、長の鶴の一声で治まった。

なんか期待されているようで、婉曲ではあったがかなり高く買われていることがこの時の発言から分かった。

今回の依頼での成功条件は「岩餓鬼」の数を脅威でない数、具体数で20ほどまで減らすこと。

ただし、あまりにもほったらかしにされていたために、現在何体生息しているのかさっぱりだそうだ。

改めて考えると相当ひどい状況だ、ネスト陣の空気が重いのはそのせいもあるのだろう。

それなのに形だけでも了承しているのは、もし対処できないようなものだった場合は、特別に逃走も許可されているためだろう。

普通は評判が下がるなどの弊害があるのだが、今回は周りからの同情的な意見も多かったのでそんなこともない。

つまり今回の件で失敗すると、実質損をするのは無茶なことを持ちかけたことになるディック殿だけ、ここまで期待されていては失敗出来んな。




そして今馬車は目的地の岩場へと移動中。

距離はこの馬車で約1日だそうだ、明日の朝には着くだろう。

俺はまずはこの空気を何とかしなくてはならないのだがどうしたものか、と依然チクチクやりながら考えている。

そこでエルスが耐え切れなくなったというように言って来た。


「あの、レイ様、まずは自己紹介をしませんか。

 お互いのことを全く知りませんよ私たち。」


「あれ、やってなかったっけ?」


「はい、やってませんよ。

 今日朝に会った時も気まずい感じでろくに会話しませんでしたし。」


「ん・・・

 そういやそうだったな、不味いな、人として最低限の礼儀を忘れてしまっていた。」


昨日ネストでしたからすっかりやった気になっていた、だがこれで切っ掛けがつくれるな。

俺は作業を中断して話し出す。


「では皆さん、もしかしたら昨日ネストで聞いているかも知れませんが改めて紹介させていただきます。

 まず、先ほどから御者を務めている金髪の少年がクルスといい、こちらの金髪の女性、エルスの弟です。」


「よろしくお願いします。(2人)」


そう言うと2人は自分から挨拶した。

ネスト陣は突然の事態の変化に戸惑いながらも、曖昧な返事を返す。


「そしてこちらの銀髪の少女がルルでそっちのの妹になりますね、血縁上は。」


「こん、にちは・・・」


消え入りそうな声で挨拶をする。

そういえば顔見知りなんだったなこの子は、俺の背から顔だけ出して言った。

だがこの小動物的な仕草がネスト陣に受けたらしく、和んだ様子を見せた。

後はこいつでこの空気を払拭できるだろう。


「おい、どういう意味だそれは。

 そして俺の紹介がないんだが。」


「これがレオン(笑)です。」


「(笑)ってなんだよ!?

 俺に何か笑う点があるってのか!」


「あるぞ。

 ノック無しで家族のような関係とはいえ女性の部屋に入り、ボロ雑巾にされただろ。

 あれは爆笑ものだった。」


「・・・治してくれたのは感謝する。

 だがあれを見て笑えるお前は間違いなく人でなしだ。」


「今更だな、レオン(哀)。」


「哀れんでるのか!?

 哀れんでるんだな俺のことを!

 お前は本当に俺のことを昨日の言葉のように思ってくれているのか!?」


荒れていたエルスを落ち着かせるのに、ちょっとした約束をする必要まであったので、ちょっとここでこいつに犠牲になってもらおう。

いや、あれが無くてもこうなっただろうか。


「そして私がこの3人と1頭の主人ということになっているレイです。

 以後よろしくお願いします。」


「頭ってなんだ、家畜かよ!

 それが俺の問いに対する答えなのか!?」


「・・・・・・」


「お、おい、何だそのなに当たり前のこと聞いてんだこいつ的な視線は?

 くっ、お前らからもなにか・・・ってなんで目を逸らす!?

 誰も否定してくれない!?

 いや、目を逸らすということは肯定しているというのかお前たちは!?」


「ぷっ・・・!」


「くっく、はは・・・!」


「何をしてるんですか君らは・・・」


そうして、1人は笑いを堪え、1人は堪えられなくなり、1人は呆れたように、だが楽しそうにそう言った。

それにつられ皆も笑い出し、馬車の中は笑いで溢れていった。

項垂れている1人を除いて。









それからは無駄話をする余裕も生まれ、スムーズに話が進んでいく。


赤い髪の男は名前をサムスと言い、全身を鎧で包み腰に剣を差した騎士の格好をしていて、このチームのまとめ役をしているそうだ。


そして茶髪の大柄の男はライガン。

いかにも力持ちの戦士といった軽装の格好で、武器はハルバード。

ちなみにこの人が俺の急所への一撃を受けた人。


最後にくすんだ金髪の少々やせ気味の男がフルート。

黒のローブを着こみ、杖を持っている姿から分かるように魔導士。


そして俺は作業を続けながら、サムスさんに今の内に言っておこうと思っていたことを言っておく。


「今回私たちは初めての依頼なわけですから、今回の全体の指揮はサムスさん、貴方にお願いしたいのですがよろしいでしょうか。」


そういうと全員が驚いた表情を浮かべる。


「いいのかそれで?

 俺たちはあっさり全滅させられたわけだから、てっきりお前が仕切るのかと思っていたが。」


他全員もそう思っていたらしく、不思議そうにしている。

なるほど、この世界ではこういう時でも実力主義なんだな。

だが、それだといろいろと不味いこともある。


「ふむ、確かに私ははっきり言って貴方たち全員を合わせたより1000倍は強いですし、そこらの1流よりもよっぽど戦闘経験もあります。」


「て、てめえは本当にはっきり言いやがるな・・・」


そうライガンさんが言う。

他2人も顔が引きつっているし、皆は苦笑を浮かべている。


「ですが、自分以外の人間が一緒での戦闘経験は皆無なんですよ。

 ですから、指揮はそういうものに慣れている方にお願いしようと思うんです。

 そもそも個人がいくら強いといっても、それで油断していては予想外の不意打ちで簡単に逝ってしまうこともありますし。

 俺1人ならばそれでもいいのですが、それに誰かを巻き込むわけにもいきませんからね。

 そんなわけで、どうかお願いできませんでしょうか。」


そう説明すると、しばらく考え込んでいたようだが納得してくれた。


「分かった、俺もこんなに大勢を仕切ったことはないんだが、何とかやってみるさ。

 まあ数があまりにも多いようだったら直ぐ逃げるから、こんな会話の意味も無いかもしれねえがな。」


そういい苦笑を浮かべる。

状況が状況だからそう思うのもしょうがない。

「岩餓鬼」は単体でのランクはFでしかないそうだが、それでも数が多ければ馬鹿に出来ない。

だが俺はそんな彼らに笑いながら語る。


「ははは、そんな心配は要りませんよ皆さん。」


皆が首をかしげているようなので続きを話す。


「D以下の雑魚が何千匹いようと、殲滅するのは私にとっては、手で木の葉を払うのと手間は変わりません。

 もし貴方たちと皆に対処出来ないような数であれば、即座に私がこの世から消し去りますから問題なしです。」


俺にとっての当然の事実を、軽く口にする。

ネスト陣は、その嘘や虚飾がまったく含まれていない声音に本気だと分かっても、理性がそれを許さないのだろう、ただ困惑を浮かべていた。

それが事実だと今までの実績から否定しきれない皆は、改めて畏れを抱いているようだ。




あらかたの話し合いが終わったところで、また作業に移ってチクチクとやっていた俺にフルートさんが意を決したというふうに聞いてきた。


「と、ところであなたはさっきから何をやっているんですか?、レイ君。」


そう言うと他の全員も気になっていたようでそれぞれ反応を見せた。

大分打ち解けたようだったが、まだ怯えがあったようで誰も聞いてこなかったのだろうな。


「見ての通り刺繍ですよ。

 今までずっと無地だったんで、ここらで一度心機一転しようと思いまして。」


俺はこの馬車に乗ってからずっとそれをやっていた。

牛のような魔物の皮からつくったこの服、今まではただ黒いだけだったのだが武器屋でなぜか染料が売っていたので、例の魔物の糸を染めて刺繍し模様をつけることにした。

と言っても、当然実用も兼ねている。


「ほう、これは魔法陣ですか。

 しかし見たことがまったくないものですね。」


そう、この世界ではそれを使うのが一般的なようなので、少しでも違和感を消すためにそのような細工をすることにしたのだ。

つける模様は、向こうでの最もポピュラーな魔法陣である六芒星だ。

とりあえず自分が魔法と聞いて真っ先にイメージするモノにしてみた。

もしかしたら本当に効果がある図形も存在するかもしれないので、これからいろいろと試そうと思っている。


「ええ、この辺りにこれを知っている人間はいないと思いますよ。

 私の故郷にしか存在しないものですからね。」


そう言うと全員が六芒星を興味深そうに見てきた。

この世界の他の図形とは違って、これはかなり簡単な形をしているので、珍しいのだろう。


「なんかかなり簡単な形してんな。

 もっと複雑なものの方がいいんじゃねえのか?」


そう思ってたらライガンさんがそのまま聞いてきた。


「まあ私にとってはこの方がやりやすいんですよいろいろと。」


なんか特に説明する意味を見いだせなかったんで、テキトウに答えておいた。

雑な扱いに意外にも少し傷ついたようだったが、何も言わないでいてくれた。


「・・・お前が最初に話しかけてきた時から気になってたんだが、何故敬語を使うんだ?

 俺たちをあっさりねじ伏せるような奴だからそのあたりのことを気にしない奴だと思ってたんだが。」


その疑問に答える。


「あの時はあなたたちはどちらかと言うと敵でしたからね。

 私は敵には徹底的に容赦しないようにしているんですよ。

 ですが今は仲間なんで普段通り目上の人に対する接し方をさせてもらってます。」


「・・・なるほどな。

 ということはお前たちの敵にさえならなければ良好な関係を築けるということだよな。

 これからは気を付けることにしよう。」


これは俺の基本方針の1つで、恐らくこれからもずっとこのままでいくことだろう。

彼らはこの極めて分かりやすい方針を簡単に呑み込めたようで、サムスさんはそういってくれた。

それからはテキトウに全員で談笑しながら過ごし、ただ時間が経つのを待った。









そしてようやく目的地の到達し、行動を開始する。


「さて、まずは敵の所在を確かめなくてはな。

 ここらを一周して捜索しよう。」


そうサムスさんが告げる。

確かに普通はそれしか手は無いだろうが、それではかなり時間がかかる。


「サムスさん、それでは時間がかかるので私のやり方で捜索してもいいでしょうか?」


「ん?、なにか良い手でもあるのか。

 まさかその手の特殊な魔法を使えるとかか?」


「いいえ、魔法は使いませんよ。

 ですが、テキトウに歩き回るより100倍手っ取りばやいです。」


困惑を浮かべるサムスさんたちネスト陣だが、手間が省けるというなら断る理由もないので了承する。

許可された俺は足を踏み出す。

地面ではなく空中(・・)に。

そしてそのまま階段を上がるように、空を駆け上がっていく。

その様子を全員が呆然と眺めている。

・・・ネスト陣はともかく、皆は俺がこういうことが出来ることを知ってるはずなんだがな

そして空中約40メートルという高所で立ち止まり、周りを見渡す。

もともと目はいい方だったのだが、闘気で視神経を強化すればこの距離でも地表の様子がはっきりと見ることが出来る。

しばらく探すと、今の全員がいる地点からそう遠くないところに醜悪な小人(小鬼?)が居た。

場所を記憶した後に、下へ一気に飛び降りる。

足の動きで衝撃を吸収し、あまり派手な音を立てることもなく着地する。

そこでは俺の非常識さに慣れていない人たちが未だに呆けていた。


「エルス、水をかけてやってくれ。」


「はい。」


エルスが軽い詠唱をして3人に水球をぶつける。

すると息を吹き返した彼らが一気に捲し立ててきた。


「何なんだ今のは!?

 あんなことが魔法を使わないで出来るってのか!?」


「お前は一体何なんだよ・・・

 ネストでも俺たちを変なので気絶させやがったし。

 ・・・俺は急所の一撃だったが。」


「ですが、確かに風の魔法なんかではあんなふうに何かを踏んだような動作は出来ません。

 ということは私たちのまったく知らない魔法、そうでなければ闘気を使ったんでしょうか?」


そんな風にそれぞれ好き勝手に言ってくる。

まあ答えられる範囲で答えておこう。


「フルートさん正解です。

 今のは足元に障壁をつくってそれを足場としたんですよ。

 まあ誰でも考えつきそうなことですがね。」


そう、この程度のことは接近戦を行う人間ならば誰でも考え付くだろう。

であるのにここまで彼らが驚くのには、おいそれとそれが出来ない理由がある。


「ホントかよ・・・

 お前、そんな体のどこにそんな化け物染みた体力があるんだ?

 いや、それとも無いとは思うが、お前は体力の勘定も出来ないくらいパーなのか?」


そう、それがその理由。

闘気を使った障壁はかなりの体力を消費する。

具体的には手のひら大のものでも、展開した秒数分だけ全力疾走したぐらい消耗する。

そんなものを戦闘時以外に連発してるんだから、そう言われてもしょうがない。

それに加えて足の裏に障壁を造るのがかなり難しいということもあり、より混乱させてしまったのだろう。


「おや、失礼ですなライガンさん、まあ当然の疑問ではありますが。

 心配しなくても私はそれなりに頭もいいと自負していますしそっちは問題ありません。

 私がこれをできるのは独自に改良をすることで燃費の問題をクリアできたからです。」


その改良したというところでまた呆然とした表情を浮かべる。

こんな若造がそんな画期的なことをやってのけたのだから当然か。


「それでレイ、どこに敵がいたんだ。」


「ああ、この岩山を1つ超えた向こうだ。

 サムスさん指示をお願いします。」


「お、ああ、分かった。

 それじゃあ行こう。

 なるべく足音を立てないようにしろよ。」


その指示に従い動き始める。

と、俺はそこで1つ言い忘れていたことに気が付く。


「ああ、皆さん、それに皆。

 言い忘れていたことがあるんですが。」


全員がこちらを見る。





「私がもし、これは皆さんでは駄目だと判断したら逃げるように指示しますので従ってください。

 私の本気(・・)に巻き込んでしまいかねませんので。」


真剣な表情でそう言うと、今度は全員は畏怖を抱きながら頷いてくれた



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